『シアター・プノンペン』 (カンボジア) ソト・クォーリーカー監督、マー・リネット
『ミモザの島に消えた母』 (フランス) フランソワ・ファブラ監督、ローラン・ラフィット
『帰ってきたヒトラー』 (ドイツ) デビッド・ベンド監督、オリバー・マスッチ
『シン・ゴジラ』 庵野秀明総監督、樋口真嗣監督、長谷川博巳、竹野内豊
『トランボ』 (米国) ジェイ・ローチ監督、ブライアン・クランストン
『君の名は』 新海誠監督、安藤雅司作画監督、上白石萌音、神木隆之介
「シアター・プノンペン」は、ポルポト時代の暗黒の映画史。
2012年7月、アセアン会合でカンボジアを訪問した際にポルポト時代の政治犯収容所に足を運んだ。 凄まじい拷問場の跡が脳裏に焼き付いて離れない。 ソト・クォーリーカー監督の父親もその時クメール・ルージュに殺されている。被害者もまた加害者もさらには両者の遺族たちも苦しみ悩んでいるさまを映画は描いている。専門家からは未熟さの 指摘もあるがカンボジアで新しい映画人が育っているということも知らせてくれる。
「ミモザの島に消えた母」は、タチアナ・ド・ロネの小説が原作のサスペンス。 ストーリー展開や風景がいい。
「帰ってきたヒトラー」はかなりの秀作。
ヒトラーが現代によみがえり物まね芸人として現れる。多くの人が外見も内面もヒトラーそっくりの彼(というか本物のヒトラー)を受け入れていく。間違いなく当時のドイツの国民は投票で彼を選んだのだということを改めて強く意識させられる。現代においても人間的魅力のあるカリスマが出現したら、人々はその人を選ぶのか。現代社会の脆弱性をついている。
「シン・ゴジラ」は話題作。
3.11がモチーフとなっている。政治家や官僚を必要以上に揶揄していないので、当事者に近かったものとしては好感をもって鑑賞できた。総理執務室や官邸の危機管理センターは特にリアリティーがある。米国との関係は、あそこまで従属していることはない。 ところで、特撮の元祖は円谷英二氏。福島県須賀川市の出身。 庵野監督が設立した ガイナックス。それとは直接は関係ないようだが、ガイナックス福島が3.11後、三春町にアニメの制作会社を設立。須賀川も三春も私の地元であり「縁」を感じる。庵野監督は、「アニメと特撮のアーカイブをつくりたい」とのこと。できる限りの協力をするつもりだ。
「トランボ」は、赤狩りの標的とされた天才脚本家が、理不尽と闘い続けるさまを描いた作品。米国にもそういう時代がつい最近まであったのだ。
「君の名は」は、少年と少女が夢の中で入れ替わるアニメ。
青春の恋物語。都心と地方の原風景が美しい。繊細なタッチは日本アニメらしく世界をも魅了するのではないか。
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