平和安全法制に関する特別委員会(平成27年6月1日 議事録)
平成27年6月1日 衆院 平和安全法制に関する特別委員会
○玄葉委員 玄葉です。
先ほど後藤さんが質問をした点、大事な論点だと思うんです。つまり、軍事的な影響あるいは波及、観点、脅威がない中で、自衛隊が地球の裏側まで行って集団的自衛権を行使するのかしないのか、これは詰めていかなければならない論点の一つではないかというふうに思います。
先ほど岸田外務大臣が、九八年の高野北米局長の答弁が維持されている、その答弁について撤回する、しないという議論がありましたが、それは後藤さんにお任せいたしますが、その質問が出たので、その当時の議事録を読んでおりました。ガイドラインは九八年に議論をいたしましたけれども、まさに岸田外務大臣もおっしゃった、法制定のときの議論の最終盤の議事録をずっと読んでおりましたらば、こういう議論でございます。
つまりは、高村国務大臣、外務大臣だと思いますけれども、「法案の中で平和と安全といった場合に、それはやはり軍事的観点が中心になると思われますので、単に経済的側面だけから、それが日本にとって大変重大な影響を及ぼすとしても、この場合の日本の平和と安全ということにはならないのだろう、軍事的観点を中心とした概念である、こういうふうに思っております。」、こういうふうに答弁されています。
これは、まさに軍事的な波及、影響なしでは周辺事態たり得ないということを言っている意味だろうというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○岸田国務大臣 軍事的観点ということでありますが、周辺事態というのは、日本の平和と安全に重要な影響を与える場合で、経済的のみならず軍事的な観点も含めて日本の平和と安全に重要な影響を及ぼす場合をいう、これは政府としての考え方ですが、要するに、観点、この事案の中に軍事的な観点がどこにも存在しない、経済的な観点のみであるならば、こうした周辺事態には該当しない、これが政府の見解であると認識をしています。
○玄葉委員 おっしゃったように、少なくとも、軍事的観点中心の概念であるというこの答弁は、当然、これは重要影響事態でもまさに維持されているということでよろしいですね。
○岸田国務大臣 結論から言いますと、重要影響事態でも同様であります。
軍事的な観点がなく、経済的な観点のみであったならば、これは該当しない、これが基本的な考え方であります。
○玄葉委員 まさに今おっしゃったように、重要影響事態の定義というのは、周辺事態の定義から「我が国周辺の地域における」という言葉を削除しただけでありますから、おっしゃったとおり、重要影響事態というのは、やはり周辺事態同様、軍事的観点を中心とした概念であるというふうに言わざるを得ないということだろうというふうに思います。
あわせて申し上げれば、そうなると、これまで御議論あったように、存立危機事態というのは重要影響事態をより深刻にした概念である、事態であるという答弁がなされているわけでありますから、論理必然的に考えると、どうしても存立事態も軍事的な観点中心の事態と考えざるを得ないというふうに思いますけれども、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 存立事態は、そもそも三要件がございまして、我が国に武力攻撃が発生したこと、あるいは我が国と密接な関係に対して武力攻撃が発生したことでございますから、これはまさに武力攻撃が起こったということでありますから、軍事的観点そのものでございます。
○玄葉委員 まさに今冒頭申し上げたように、総理御自身が盛んに具体例として挙げられたホルムズ海峡の機雷掃海というのは、果たして軍事的観点を中心とした概念である存立危機事態に入るのかどうか。明白な危機といった場合の事態の性質、ここがまさに問題なのでありますけれども、やはり存立危機事態は軍事的観点中心の概念である、こういうふうに断言していただけますか。
○安倍内閣総理大臣 まさに我が国に対する武力攻撃が発生した、そして我が国と密接な関係にある国に対する武力攻撃が発生した、そのことによって我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由そして幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険という状況が第一要件に定められているわけであります。
すなわち、我が国に対する武力攻撃が発生したこと、あるいはまた、我が国と密接な関係にある国に対する武力攻撃が発生したこと。
つまり、武力攻撃が発生しているんですから、軍事的な観点であるということは明らかでございます。
○玄葉委員 それはつまり、軍事的観点、軍事的影響、軍事的波及、軍事的脅威、それぞれ言葉があるわけでありますが、先ほど来から、これは軍事的観点といえば、例えばホルムズ海峡による機雷掃海は、直接の軍事的脅威はないけれども、軍事的観点といえば存立事態になり得るのだ、しかし軍事的脅威はない、こういうことですか。
○安倍内閣総理大臣 つまり、機雷を敷設するということは、これは武力行使に当たります、国際法上。そして、機雷について、いわばこれを当該敷設した国が停戦を行い、しかし、もうこの機雷について、いわば武力行使の一環としてここにある、存在するものではないということが明らかになってきた中においては、これは遺棄機雷でありますから、こちらがそれを排除することは武力行使には当たらないわけでございます。
ですから、機雷掃海を行えば常に当たるということでもありませんし、常に集団的自衛権の行使たり得るということでもありません。
そこで、私たちが申し上げていることは、しかし、国際法上まさに武力行使が行われて、機雷掃海ではありますが、国際法上これは集団的自衛権の行使たり得るという中において、しかし、これは受動的であり、制限的であるから、第三要件にも当たり得る。ただ、第一要件に当たるかどうかというのは総合的に判断をしていかなければならないわけでありますが、今、玄葉委員が議論をしておられる観点からいえば、まさにこれは武力攻撃に当たっているということでありますから、軍事的な観点からもこれは武力攻撃が発生したということであろう、密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生したということであろう、このように思います。
○玄葉委員 私は、軍事的な脅威が日本に及ばない中で、ホルムズ海峡まで行って、集団的自衛権の行使として武力行使を行うというのはやはりどうなのか、こういうふうに思っているところであります。
また、別の観点からこの重要影響事態法について質問させていただきますが、周辺事態法は日米安保条約の枠の中、範囲内であったわけでありますけれども、この重要影響事態法は日米安保条約の目的を超えたという理解でよろしいですか、外務大臣。
○岸田国務大臣 現行の周辺事態法ですが、まず、周辺事態は地理的概念ではありませんが、この制定時において、中東あるいはインド洋において生起することは現実の問題として想定されない、このように答弁をしてまいりました。そして、周辺事態法では、支援の対象は、日米安保条約の目的達成に寄与する活動を行う米軍に限られておりました。
一方、重要影響事態については、まず、地理的概念でないこと、これは周辺事態と同様であります。そして、安全保障環境が大きく変化した現在においては、重要影響事態が生起する地域からあらかじめ特定の地域を排除する、これは困難である、このように考えております。
そして、安保条約との関係でありますが、重要影響事態における後方支援活動の実施に当たっては、あくまでも日米安全保障条約の目的の達成に寄与する活動を行う米軍への支援となりますが、これに限られるものではない、このように考えております。
具体的に申し上げるならば、重要影響事態に対処する上では、日米安保条約の目的の達成に寄与する活動をする米軍だけではなくして、国際の平和と安全の確保という国連憲章の目的の達成に寄与する活動を行うその他の外国軍隊等との連携を強化すること、このことが我が国の平和及び安全を確保する上で不可欠である、このように考えているところであります。
○玄葉委員 そうすると、日米安保条約の目的は超えたということですね。
○岸田国務大臣 今御説明させていただいた意味におきまして、日米安全保障条約の目的達成に寄与する活動を行う米軍への支援に限られるものではない、このように考えております。
○玄葉委員 目的は超えたということですね。
○岸田国務大臣 今申し上げたとおりであります。
こうした米軍への支援に限られるものではない、これが重要影響事態であります。
○玄葉委員 周辺事態安全確保法では、日米安保条約の「効果的な運用に寄与し、」ということで、まさに日米安保条約の枠内であったわけですけれども、今回は目的を超えたのだということだと思います。つまりは、地理的概念が取っ払われたということと、同時に、支援対象が、今おっしゃったように、国連憲章に寄与する外国軍隊。
この外国軍隊というのはどこを想定していますか。
○岸田国務大臣 この外国の軍隊については、個別具体的に事態を総合的に勘案した上での判断となります。事前にこの国であるということを決めているものではないと承知をしています。
○玄葉委員 例えば、オーストラリア軍とかインド軍だとかということではないかと思いますが、日米安保に寄与していない米軍、これも含みますか。
○中谷国務大臣 含まれます。
この法の目的が、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態という場合の外国軍隊の支援ということでございます。
○玄葉委員 そうすると、ぜひ政府に申し上げたいんですけれども、日米安保条約の枠内であった周辺事態法、目的を超える重要影響事態法、目的を超える具体的なケースをぜひ出してもらいたい。
言葉を言いかえれば、周辺事態法には当たらないけれども重要影響事態には当たる、こういうケースを具体的に示していただけますか。
○安倍内閣総理大臣 具体的に申し上げれば、重要影響事態に対処する上において、先ほど来答弁をしておりますように、日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っている米軍だけではなくて、国際の平和と安全の確保という国連憲章の目的の達成に寄与する活動を行っているその他の外国軍隊等との連携を強化することが我が国の平和及び安全を確保するために不可欠であるという考え方でございます。
また、ある事態が重要影響事態に当該するか否かは、その事態の規模、態様、推移等を総合的に勘案して、個別具体的に判断するわけでございまして、一概にこれが当たるということは申し上げるのは困難でございますが、しかし、その上であえて申し上げれば、例えば、仮に中東、インド洋などの地域で深刻な軍事的緊張状態や武力衝突が発生した場合であって、我が国に物資を運ぶ日本の船舶に深刻な影響が及ぶ可能性があり、かつ米国等がこうした事態に対応するために活動をしている状況が生じたときは、その他の状況も勘案した上で、当該事態が重要影響事態に該当することはいわばあり得る。
ただ、これはあり得るというわけでございまして、実際には、十分に慎重な判断がなされるわけでございます。
○玄葉委員 今一つの例を総理は出されたわけです。つまり、今までの周辺事態法だったら入らないけれども、重要影響事態法だったら入り得るということだと思うんですね。それは、一つは地理的周辺が取っ払われたから。もう一つは、先ほどの議論はまだ続いているわけですけれども、重要影響事態は間違いなく軍事的観点中心の概念だということは維持されているというふうにおっしゃっていましたから、軍事的観点がその事態で、今挙げた例の中にあるのかないのかというのはわかりませんけれども、ただ、なり得るということなんだろうというふうに思います。
これは、周辺事態法のときに、私も議論に参加しておりましたけれども、あのときには周辺事態法に当たる具体例を六類型という形で示したわけです。ですから、今回のケースも、いわゆる周辺事態法には当たらないけれども、重要影響事態法には当たるというケースを、今のようなケースをぜひ類型化して政府として出していただきたいと思いますけれども、いかがですか。
○中谷国務大臣 今後、具体的にも御議論をいたしたいと思いますが、一例を挙げますと、かつてテロ特措法、また補給支援法に基づいて、洋上における燃料補給をいたしました。あのときは、米国を含む十一カ国に対して燃料支援活動を行った実績がございますので、これに関して、我が国の重要影響事態であるかどうかという認定をした上で適用されるかどうか判断されますけれども、こういった事例等もございますが、各ケース等につきましては、今後、質疑を通じて話していきたいと思っております。
○玄葉委員 まさに冒頭議論した、いわゆる軍事的観点が入っている事態なのかどうかということも恐らく検討しなければならないのだろうと思いますけれども、確かにそれは一つの検討対象になる、いわゆる自衛隊による給油、九・一一後のですね、それもそうなのかなというふうに思います。
ぜひ、委員長におかれましても、議論のまだ最初ですけれども、どこかの段階で具体的な例を類型化して政府に出させるようにお取り計らいをお願いいたします。
○浜田委員長 理事会で協議させていただきます。
○玄葉委員 次に、ホルムズの事態とは別次元の問題だと思いますけれども、南シナ海の事態についてお尋ねをいたします。
この週末、シンガポールでシャングリラ・ダイアログ、アジア安全保障会議が開かれて、中谷防衛大臣が出席をされて、さまざまな発信をされました。スプラトリー諸島での岩礁の埋め立てを鋭く批判されました。私もそのとおりだというふうに思いますけれども。
安倍総理大臣、現在、南シナ海で起きていること並びに中国の特にナインドットラインという主張について、安倍総理大臣の評価をお聞かせいただきたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 日本の基本的な立場は、力による現状変更は許せないということであります。まさに、それに対しては国際社会が一致協力して声を上げていかなければならない。
本年のシャングリラ会合においても、中谷大臣から日本の立場について明確に申し上げたところでございますが、私も、昨年のシャングリラ会合に出席をさせていただきました。そこで、法の支配の三原則について提示をしたわけでございます。
主張する際にはそれは国際法に基づいていなければならない、武力や力による威嚇は行ってはならない、何か問題があればこれは国際法にのっとって解決すべきだという三原則を提示いたしまして、多くの国々から支持をいただいたところであります。
我々は、ASEANの国々、そして、米国を初め志を同じくする国々とともに、こうした考え方をしっかりと確立していかなければならない、このように思っているところでございます。
○玄葉委員 中谷防衛大臣は、東南アジアのいわゆる能力構築、キャパシティービルディングは大事だ、こういう話をされておられました。私もそれはそのとおりだというふうに思いますけれども。
新しいガイドラインでは、平時からの協力措置が盛り込まれています。カーター国防長官は、新たなガイドラインに言及して、南シナ海問題への対処を念頭に日米協力強化を示唆したという報道がございましたけれども、例えば、現行法でもできますけれども、今後、共同計画に基づいて、南シナ海において平時からの警戒監視、これを自衛隊が行うというふうにするのですか。
○中谷国務大臣 自衛隊の任務としましては、我が国の平和と安全、国際社会の安全に関与するということでございます。
自衛隊的に、法的に許されていることにつきましては警戒監視というものがありまして、やはりこの地域の安全、安定というのは大事なわけでございます。
現在は、我が国周辺ということで、東シナ海を中心に情報収集・警戒監視活動をしておりますが、非常にこの地域の問題につきましては関心を有しておりまして、具体的な計画や実施はいたしておりませんが、今後の課題であるというふうに思っております。
○玄葉委員 東シナ海が手薄にならないようにだけはしなければならないと思いますけれども。
スプラトリー諸島をめぐって中国とフィリピンが武力衝突を起こしてしまった、アメリカとフィリピンは相互支援条約がございますので、フィリピンに対して米軍がいわば加担をする、こういうことになった。場合によっては、中国が機雷を敷設する、こういうこともあり得るかもしれない。そういうケースは、存立危機事態あるいは重要影響事態、それぞれ要件が該当すればなり得るのですか。
○中谷国務大臣 存立危機事態とか、また重要影響事態について当たるかどうかということでありますが、これも、限られた要件、前提条件だけで判断できるものではなくて、また、特定の国を挙げた仮定のお尋ねでございますので、お答えすることは差し控えますけれども、該当するかどうかにつきましては、実際に発生した事態の具体的、個別的な状況に際して、全ての情報を総合的に、客観的かつ合理的に判断することになるわけでございます。
○玄葉委員 要件を満たせば、重要影響事態にもなり得るし、存立危機事態にもなり得る、こういうことでよろしいですね。
○安倍内閣総理大臣 今例として挙げられた南シナ海でありますが、基本的には、余り特定の地域についてコメントは行わないところでございますが、あえて申し上げますと、この南シナ海のケースにおいても、我が国が輸入する原油の八割、そして天然ガスの三割が南シナ海のシーレーンに依存しているのも事実であります。しかし一方、これは、ホルムズ海峡と同様ではありますが、他方、ホルムズ海峡の場合は原油を輸入する上で迂回路がない、ホルムズ海峡の場合は迂回路がございませんが、南シナ海におきましてはさまざまな迂回路があるわけでございまして、ホルムズ海峡とは、迂回路があるかないかということは大きく違うんだろうと思います。
また、実際問題として、周辺国にとって、広い海ですから、あそこに大量の機雷を敷設するということは、これは全ての国にとっても、沿岸国にとっては大変なことにその後もずっとなっていくわけでありますから、余り想定し得ないのでございますが、今申し上げましたように、ホルムズ海峡とは違うという状況等についてはお話ししたとおりでございますが、いわば法律との関係においては、法律的には、まさにこれは三要件に合致するかどうか、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断をしていくものであります。
ただ、今申し上げましたように、なかなか、この南シナ海というのは、それは想定し得ないのかな、これはさまざまな迂回路がある中においてどうなんだろう、このように思います。
○玄葉委員 機雷掃海以外の、例えば、いわゆる集団的自衛権の行使、武力行使、これは全く想定し得ないですか。機雷掃海以外の武力の行使、集団的自衛権の行使、これは全く想定し得ないですか。
○安倍内閣総理大臣 集団的自衛権の行使については、まさに、申し上げておりますように、これは三要件に当てはまるかどうかということに尽きるわけでございまして、我が国あるいは、まさに我が国と密接な関係にある国に対する武力攻撃が発生して、かつ、我が国の存立が脅かされ、国民の生命や自由や幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険、これが存在しなければならないということでありますし、そしてまた、もちろん、これを排除するために、国の存立を全うして、そして国民を守るために他に適当な手段がないという状況に立ち至らなければならないわけであります。
それまでは外交努力もするわけでありますし、国連の場においてしっかりと議論をしながら、そういう状況を取り除いていくという最大限の努力をする上においての判断であるということでございます。
○玄葉委員 ここに新ガイドラインがございますが、ここで言うアセット防護、これは防衛大臣、何を指しますか。
○中谷国務大臣 アセットというのは武器装備でありまして、それを防護することでございます。
○玄葉委員 例えば、そうすると、非戦闘員を退避させている米軍機、これをいわば自衛隊が警護するというか警戒するというか、そういう事態というのは存立危機事態において行われ得るということですよね。新ガイドラインのこのD項というのは「日本以外の国に対する武力攻撃への対処行動」で、「武力の行使を伴う適切な作戦を実施する。」、こういうふうに言っているわけでありますから、当然そういうことでよろしいですね。
○中谷国務大臣 アセット防護については法律で規定をするわけでございますが、そこに書かれていることにつきましては一つの例示になりますけれども、我が国による武力行使を伴う作戦として行うものでございますので、憲法上、あくまで新三要件、これを満たす場合に限られるわけでございます。
○玄葉委員 当然、新三要件を満たすときが存立危機事態なので、そのときにそこまでやるかということでありますし、例示をしているわけですから、やるということですよね。これは当然、他国の領域においてもやるということですよね。
○安倍内閣総理大臣 他国の領域ということにおいては、いわば他国の領海、領空、領土ということでおっしゃったんだろうと思いますが、それについては、再三答弁させていただいておりますように、第三要件にございますように、必要最小限度を超えて実力行使をしてはならない、必要最小限度の実力行使にとどまるべきことということが書いてあります。
これは憲法との関係でございまして、その上において、一般に海外派兵は許されないというのが基本的な立場でございます。
○玄葉委員 そうすると、こういうアセット防護のようなことは、公海上は行うけれども、他国の領域については慎重に行う、こういうことですか。
○安倍内閣総理大臣 今まで再三答弁をさせていただいておりますが、まさに一般に許されないということでありますから、いわば公海におけることと他国の領海等で行うことについては、この当てはめについては、それはもう慎重の上にも慎重となる、こういうことでございます。
これについては、既に法制局長官からも答弁しているとおりでございます。
○玄葉委員 この間、安倍総理大臣になってからの安保法制懇、十五事例というのが盛んに議論されました。
そのときに、この十五事例のうち、事例八から十五まで、これは武力の行使に当たり得る活動である、こういうことで例示をされているわけでありますけれども、これは、存立危機事態にあってはそれぞれ集団的自衛権の行使として行うということでよろしいですね、総理大臣。
○安倍内閣総理大臣 例えば船舶検査、これは武力の行使ではございませんが、八から十五まで、これが全部武力行使ということで申し上げているわけではありません。
○玄葉委員 いや、これは武力の行使として整理されていますよ、政府の方で。
○安倍内閣総理大臣 武力行使の一環として行うということについては、一環として船舶の検査を行うということについては、これは当然三要件の中で行い得るということでございます。
○玄葉委員 基本的には、事例八から十五まで、基本的には行うということでいいですね。
○安倍内閣総理大臣 これは、今お示しになっているものが武力の行使になり得る、そして集団的自衛権の行使になり得るということについては、三要件によるということでございます。
○玄葉委員 ですから、三要件に合致したならば、これらは日本国として、自衛隊が武力の行使をこういった事例においては行うことは可能だ、こういうことですね。
○安倍内閣総理大臣 それはまさにそのとおりでありまして、そのための安保法制懇での議論を積み重ねてきたわけでございまして、集団的自衛権としての武力の行使においては三要件に当てはまらなければならないということでございますが、三要件に当てはまれば行い得るということでございます。
○玄葉委員 こういう武力攻撃を受けている米艦の防護も含めて、だんだん具体例が出てくるわけでありますけれども、これら事例八から十五、それぞれ、政府としては三要件に合致すれば行い得るのだというふうに総理大臣は答弁をされましたけれども、これは他国の領域においてもそうなのか、改めて問いたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 他国の領域につきましては、三要件の第三要件にありますように、必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと、こう書いてあります。これは、いわば憲法の要請でございます。
そこで、政府としては、海外派兵は一般に許されないという立場でございまして、武力の行使を目的としていわば自衛隊を海外派兵するということは一般に許されないという立場でございます。
○玄葉委員 本当にそれは成り立つんでしょうかね。少なくとも、今出されている法律からは読めません、今出されている法律からは。私はてっきり、他国の領域でもこれはやるのかと思いました、あの法律を読む限りでは。
本当に、総理大臣、よろしいんですか。
○安倍内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、いわば第三要件の、非常にこれは厳しいものでありますから、一般にというものは、ほとんど、これがまさに通例であるということ、一般にということはほとんどのものが該当していくということでございまして、ですから、その上において、果たして、では例外は何かということで念頭にあるのはまさにホルムズにおける機雷掃海でございまして、これ以外のものは念頭にはございません。
○玄葉委員 いや、念頭にないと言ったって、今、事例八から事例十五までも、これはもう行い得るのだということをおっしゃっているわけですよね。(安倍内閣総理大臣「公海でね」と呼ぶ)ああ、いわゆる他国の領域で念頭にあるのはホルムズ海峡の掃海活動だけである、あとは念頭にないということですね、それでは。
私は、かなりこれは法律では読めないので、本当にそれでよいのかという感じがしますが、もし本当にそういうことであれば、きちっと法律に書いた方がよろしいと思います。
○安倍内閣総理大臣 つまり、これは憲法上の要請でございますから、憲法上の要請として、ここで再三答弁をさせていただいておりますように、武力行使を目的として自衛隊を海外に出す、派兵するということについて、これは一般には許されないというのが基本的な一貫した立場であります。
繰り返し申し上げているとおりでございまして、同じ議論を実はさせていただいているんですが、その際、法制局長官からも答弁をさせていただきましたが、これは同じでございますが、いわば外国の領土、領空、領海に入っていくのは公海等とは全然要件が違うわけでありまして、まさにこれは一般に許されないという中に入ってくるわけでございますから、その中において、果たして、一般にの中においての外になる、例外に当たるものは何かと考えたときに、我々は、ホルムズ海峡しかないであろう、このように考えているところでございます。
これは政府の見解であり、いわば憲法上の要請でございますから、既にこれは、法律にあえて書く必要はない、このように考えているわけでありますし、三要件については、三要件自体が法律に事実上書き込まれていると我々は考えているところでございます。
○玄葉委員 抑止力を高めるためにこの法案を出したのだというのでありますけれども、余りそういう答弁が続くと、本当に抑止力が向上するのかなという感じが一方でしないわけでもございません。
別の質疑を改めてさせていただきますが、集団的自衛権が本来国際法上持っている歯どめの議論をさせていただきたいと思います。
集団的自衛権には国際法上歯どめがございます。集団的自衛権の行使における国際法上の要件について、事前に通告しておりますので、岸田外務大臣にお聞かせをいただきたいと思います。
まず、お答えいただけますか。
○岸田国務大臣 一般国際法上、ある国が集団的自衛権を行使するための要件ですが、三つ考えられています。
一つは武力攻撃を受けた国からの要請または同意があること、他に適当な手段がないこと、そして必要最小限度の実力行使であること、このように一般的に考えられております。
○玄葉委員 そうすると、ホルムズ海峡における機雷掃海ケースが今回たびたび出ておりますけれども、その場合、武力攻撃を受けた国の要請または同意となると、どの国の要請または同意になるのですか。
○岸田国務大臣 ホルムズ海峡の際にどの国の要請または同意が必要なのかということですが、これは、発生した場所によって、その領海を領有している国になるかと思います。
○玄葉委員 普通、ホルムズの海峡というのは、まさに先ほどの機雷を敷設する蓋然性という話が南シナ海とホルムズ海峡でありましたけれども、ホルムズ海峡の場合だったら、イランかオマーンしか、あの領海を見ればないと思いますけれども。
○中谷国務大臣 その前に、この法律上は、我が国と密接な関係にある国に武力攻撃が発生したということで、その国から要請を受けたということがまず前提です。
○玄葉委員 ですから、ホルムズ海峡の機雷掃海のケースはどこの国ですか。
○安倍内閣総理大臣 それは、例えば、敷設をされてしまった、いわば領海が属するオマーンあるいはイラクでございますが、同時に……(発言する者あり)イランでありますが、オマーンとイラン、また同時に、例えばここを航行していて触雷してしまうということが発生した場合、触雷した場合もこれは想定し得るだろう、このように思います。
いずれにせよ、あらかじめ今それを特定することはできないと思います。
○玄葉委員 これ、本来、集団的自衛権を行使する際の、今、三要件、三要件と政府はおっしゃっているのでありますが、これも極めて大事な要件だと思うんですね。要請または同意、これがなければできないわけですけれども、なぜこれを四要件として入れないんですか。
○岸田国務大臣 集団的自衛権の行使をするに当たって、この要件、三要件に加えてもう一つ、要請、同意、こうした要件を入れるべきではないか、こういった御質問です。
武力攻撃を受けた国の要請または同意が必要なこと、これは、先ほど申し上げましたように、国際法上、当然の前提であります。こうした国際法を遵守するということ、これは大前提であり、こうした国際法の遵守、国際法の原則においては、従来の法制におきましても、国際法を遵守する、これは当然のことでありますが、具体的に国際法上の要件を法律の中に明記していない、こういったケースは多々あると思います。
我が国として、武力行使をする新三要件、これは、国際法上、国際法を遵守する、これは当然のことであるということ、これは再三申し上げているとおりであります。実態は、こうした国際法上の要件に加えて、我が国が武力行使を認められるのは、新三要件、国民の命や暮らしを守るために他に手段がなく、そして必要最小限の場合に限られると考えております。
○玄葉委員 要請または同意は当然である、こういうお話でありますけれども、これは国際法上の要件ですけれども、自衛権の三要件に似ているんですね。二は、他に適当な手段がない、三必要最小限の実力行使。二と三は一緒なんですよ。
だったら、いわゆる存立を脅かす事態であるというだけでいいという話になっちゃいますよ、当然のことだということであれば。この二、いわゆる他に適当な手段がない、必要最小限度の実力行使、これも当然のことだと言ってしまえば、まさに存立危機事態の三要件のうちの第二要件、第三要件は要らないという話になっちゃいますよ。
○安倍内閣総理大臣 これは、今議論しているのは国際法上の要請でございまして、まさに三要件につきましては、憲法上の要請においてこれは設けられた要件でございまして、この趣旨は法律に書き込んでいる。
当然、集団的自衛権の行使がなぜ許されるかというと、これは国際法上合法である。合法の中においての要件としていわば要請があるということでございまして、攻撃を受けた国の要請または同意は、我が国が独自にこれを法律で定めるまでもなく、国際法上の明確な要件であるということでございます。このため、存立危機事態の要件として重ねて規定する必要はないと考えております。
なお、存立危機事態に至ったときは、政府は、対処基本方針を策定し、直ちに国会の承認を求めることになりますが、対処基本方針には存立危機事態の認定の前提となった事実を明記することが法律上義務づけられています。このため、攻撃を受けた国の要請または同意については、この認定の前提となった事実として明記することになる、このように思います。
○玄葉委員 私は、やはりしっかり、同意または要請があるというのは一つの歯どめですから、きちっと入れるべきだと思います。
最後に、問題提起だけしておきますが、国連憲章五十一条、集団的自衛権行使が許されるのは安保理措置がとられるまでの間に限定されているということを明確に規定しているわけでありますが、ホルムズ海峡の機雷掃海のケースで、途中から集団安全保障措置になった場合は、そのまま集団安全保障としての活動を行うのか、撤収するのか、イエスかノーかで結構ですから、お答えください。
○安倍内閣総理大臣 それは、集団的自衛権の行使から、今委員がおっしゃったような条件が整って集団安全保障措置に変わったとしても、それが三要件であり続ければ、当然、機雷掃海は行い続き得るということであります。
これは、例えば、個別的自衛権を発動している中において、安保理の決議があって、それが集団安全保障措置に変わったとしても、個別的自衛権の行使をやめるわけではないのとこれは同じ理屈というふうに御理解をいただければと思います。
○玄葉委員 集団安全保障措置を行う、集団安全保障活動としての武力の行使を行う要件と、自衛権の要件が同じであるというのは、私は何か腑に落ちないんですね。
つまり、今、そういうことでしょう。つまりは、集団安全保障活動を行っていて、そして新三要件に該当しなくなれば、撤収するということでしょう。そうじゃないんですか。撤収しないんですか。
○安倍内閣総理大臣 まず、新三要件に該当しなくなれば、これは終わります、撤収する。しかし、当たれば、例えば、集団的自衛権の行使の一環として機雷掃海を行っている、しかし、そこで国連決議等々があって、これは集団安全保障措置となったとしても、三要件に該当すれば、当然それは継続するということであります。
それで、個別的自衛権の話を例に出しましたのはわかりやすくするためでありまして、我が国に攻撃があって、日本が個別的自衛権の発動をしている、これは集団安全保障措置がとられるまでの間でありますが、しかし、それは、国連決議があって集団安全保障措置として行うということになったとしても、日本が個別的自衛権の行使を、なったらやめるということにはならない。要件が整っていれば、日本に対する武力攻撃が続いているのであれば、当然、個別的自衛権を行使し続けるのと同じこれは理屈であって、そのまま要件が続くのであれば、当然続いていくという理屈になっているというふうに御理解をいただきたいと思います。
○玄葉委員 いや、これは、要は、集団的自衛権の三要件に該当するのでホルムズ海峡で機雷掃海をしています、途中、安保理決議がありました、安保理決議があって、今度はもう集団的自衛権の行使はできないわけですよね。少なくとも行使はできない、これは国際法上の要請です。そうすると、集団安全保障措置の活動に変わりますね。そうですよね。それは確認できますね。
○安倍内閣総理大臣 それは、つまり……(玄葉委員「そのとおりでしょう」と呼ぶ)そのとおりでありまして、つまり、正確に言うと、武力行使を続けるということでありまして、その武力行使を続ける形態が、先ほどもちょっと言い間違えましたけれども、個別的自衛権が集団安全保障措置に変わった中における武力行使が続くということでありまして、集団的自衛権におきましても、集団的自衛権が集団安全保障措置になれば、集団安全保障措置の中の武力行使が続く、こういうことでございます。
○玄葉委員 だから、そうすると、冒頭私が申し上げたように、集団安全保障措置を行うための、集団安全保障措置としての武力の行使を行うための要件が事実上重なっているわけです、集団的自衛権行使の要件と。それは私は奇異に感じるというか、腑に落ちないところがある。
だから、これは恐らく、私は、国際法上からの議論が未整理というか熟していないままここに出されてきたんじゃないかという不安があるんですよ。だから、聞いていまして、だから今、総理も、いろいろどうしても混同してしまうというところがあります。ですから、これは問題提起としてきょうは申し上げておきたいと思います。
以上で私の質疑を終わります。ありがとうございました。