予算委員会(平成16年3月5日 議事録)
〇玄葉委員 民主党の玄葉光一郎です。
締めくくりということで、六つのテーマをこちらでも用意させていただきました。できるだけ端的に聞いていきたいというふうに思います。 まず最初に、今、長妻委員からも話が出ました年金資金のむだ遣い。これは、総理がいらっしゃらない間も、この一カ月間の衆議院の予算委員会の審議で、本当に数多く出されました。池田委員や海江田委員や生方委員中心に、何度も何度も繰り返し出されました。繰り返す必要はないと思いますけれども、給付以外で五・六兆円支出をしている。グリーンピア、サンピア、あるいは金融市場でも大変な損失が出た。こういったことに対しての再発防止策というのは、一番大きいのはやはり責任の所在を明確にすることだと思うんですね。総理、この責任の所在をどのように明らかにしていきますか。
〇小泉内閣総理大臣 今までの議論で、改めなきゃならない点が多々あったと思います。これは率直に反省しなきゃいけないと思っております。責任、やはり政治だと思いますね。これをみんな要求にこたえて認めてきたんです。こういう点を改めて、より適切な、貴重なお金の使い方、これはやはり政治がやっていかなきゃいかぬと思っております。
〇玄葉委員 おっしゃるように、官僚だけではない、むしろ一番責任があるのは政治だと思います。ただ、先ほども天下りの話も出ましたけれども、確かに驚くばかりのところもあって、たしか、二十八法人で関連法人があって、二百三十一人が天下り役員なんですね。報酬のことは今まで出ましたからもう繰り返しませんけれども、これらも含めて責任の所在を明らかにすることが大事だ。いつの、だれに、何の、どんな責任があったのかということについて明らかにしなければならないというのが我々の立場であります。それで、厚生労働大臣は、第三者委員会をつくって責任の所在を明らかにしたいということでございますけれども、それでよろしいですね。
〇坂口国務大臣 これは、前回からもお話が出ておりますように、スタートのところは、国会の衆参における本会議決議。そしてまた、昭和四十七年におきまして、衆議院、参議院の委員会におきます附帯決議。この附帯決議では、もっと拡大をすべきであるというふうに書かれているわけでございますから、そうしたことでスタートをした。しかし、時代が変わってきた。ここでこれをどう展開するかというのが今後の大きな課題でございますし、そして、その変化の時期が少しおくれたのかどうかといったようなことについては、よく検証をしていかなければならないというふうに思っております。
〇玄葉委員 いいんですよ。そういう国会決議なんかも含めて、そしてまた変化の時期をとらまえることができなかったということも含めて、すべてきちっと検証したらいいと思うんです。それは、本来、第三者による委員会、できれば独立した委員会で検証するのが望ましいわけですけれども、厚生労働大臣、質問に答えていただきたいんですが、第三者委員会をつくって、そこで検討するということをおっしゃっているわけですけれども、それでいいんですね。
〇坂口国務大臣 検証する限りは、身内でやっておってはいけませんから、一般の皆さん方にも御参加をいただいてやるということだと思います。
〇玄葉委員 では、第三者委員会をつくるということでおっしゃっていただいたと思いますが、いつまでにこれをやっていただけますか。
〇坂口国務大臣 スタートは早くしなきゃいけませんけれども、そこでどういう問題が出てきて、どういうふうな議論になっていくか、これはわからないわけでありますから、いつまでこれはかかるとか、そういうことは私の口からは申せませんけれども、スタートは早くさせる、スタートはこの国会が始まっております間に行うということであります。
〇玄葉委員 今国会中に始めるということでありますけれども、これは……(発言する者あり)外野席からは、今国会中から始めるということは、今の答弁いいということですけれども、ただ、年金のいわば負担増をお願いする法案を出しているわけですよね。これは率直に言って、国民の皆さんは、こういったことに対してけじめがつかないと、残念ながら、聞く耳を持ってもらえないというのが私は今の国民の受けとめ方ではないかと思うんですね。やる気なら一カ月、二カ月で私は回答を出せると思います、やる気ならね。厚生労働大臣、いつまでにやりますか、もう一回答えてください。
〇坂口国務大臣 出口のところまでは簡単に私が申し上げるわけにはいきません。お願いをしましたその皆さん方によってそこは議論が続けられていくわけでありますから、しっかりそこは議論をしていただきたい。国民の皆さん方に対しては、これから一体どうするかということをお示しを申し上げる。これは過去の問題ですから、過去の問題を検証をやっていただく。そして、今後の問題としてはどうする、今まで引きずってまいりました問題をどうするということを明確にして、法律とともに御理解をいただくということだと私は思っております。
〇玄葉委員 ですから、今厚生労働大臣がおっしゃったように、明確にして御議論いただくということなんですけれども、明確にしないまま議論が続く可能性が非常に強いんだと思うんですね。ですから、年金の議論の前提としてこの問題にはっきりけじめをつける、つけた後議論を本来だったら開始する、これが本当だと思います。余りこればかりやっていると締めくくり総括になりませんから、今のことを指摘させていただいて、次のテーマに移りますけれども、三位一体の問題も、これは与野党を問わず厳しい指摘があったのではないかというふうに思います。この問題、もう一度、お配りをしたレジュメといいますか、グラフを見ていただきたいんですが、そもそも、我々の考え方は一度説明いたしましたからもう繰り返しませんけれども、同じ政府案の土俵に乗って議論したとしても明らかにおかしいなと思われるのは、平成十六年度予算において、補助金が一兆円、正確には一兆三百億円削減されたんですけれども、税源移譲は四千五百億円にとどまっている、極めて単純な話であります。かつて竹中大臣が、経済財政諮問会議で、この三位一体の問題について基本方針をおつくりになられた、そのときにはこういうふうにおっしゃっていた。義務的経費については十割移譲します、その他は八割ですと。大体、この言葉を信じて、多くの自治体の関係者の皆様もそのようにされるんだろうというふうに思ったわけでありますけれども、これを見るとそうなっていない。そういうはずじゃなかったんですか、十割、八割。
〇竹中国務大臣 補助金等の削減、改革と、それに伴う税源移譲のルールについては委員御指摘のとおりでございます。これは基本方針にも書き込んでいることでございます。ただし、その際に、当然のことながら、必要な所要額をしっかりと見直す、見直した上で、必要なものについて、義務的なものは十割、それと、その他のものについては八割、そのような認識でこれは一致しているというふうに思います。これはよく財務大臣が、その中に、財政のスリム化というのも、地方、国を通して巨額の赤字を抱える中で、そのスリム化そのものも重要な要素なんだと。したがって、必要なものを精査した上で、その上で、今、玄葉委員御指摘のように、一〇〇%、八〇%というその原則を決めているわけでございます。
〔委員長退席、杉浦委員長代理着席〕
〇玄葉委員 スリム化だということを、たしか財務大臣も予算委員会の初日のときにおっしゃっているわけでありますけれども、要は、スリム化だというのは、引き続き地方が主体となって実施する必要がないものだからこれはカットしたんです、こういう話でよろしいですか。
〇谷垣国務大臣 はい。もう地方でやっていただく必要がないものについては、税源もお渡しする必要はないわけでありますから、それは省いてございます。
それで、その必要なものについて、先ほど委員がおっしゃったように、義務的経費には十割、そうでないものは八割というようなことで整理をさせていただいたということであります。
〇玄葉委員 まさに今おっしゃったように、必要がないから税源移譲の対象としていない、こういう事業は必要ないから税源移譲の対象にしないんだということなんですけれども、でも、実際はどうなんでしょうかね。さっきお示しをした五千五百億円、税源移譲の対象となっていない部分ですね。これのほとんどは、事業そのものがなくなったわけじゃないんですね。ここにありますけれども、それぞれの科目は全然なくなっていない。まあ全然とは言いません、ほとんどなくなっていないんです。要は、事業そのものは全部残っていて、その額が減っただけなんですよ。要は、量が減っただけなんですよ、あるいは件数が減っただけなんですよ。今の話と矛盾しませんか。
〇谷垣国務大臣 十五年度の補助金改革で、地方に事業が残るとされたものに係る財源補てん措置のうち、国負担とされたものは二千五十一億、それから、十六年度の補助金改革でそのように判断されたものは二千百九十八億、そこで合計額を四千二百四十九億としたところでありまして、今おっしゃったような矛盾は、私はないと思います。
〇玄葉委員 これは、量が必要ない、こういう議論がありますけれども、本来だったらこういうことなんだと思うんですよ。結局、これらの五千五百億円については、基本的には、事業が必要ないという判断を基本的にされているわけだから、これそのものを、事業そのものをなくしちゃうんですよ。なくしちゃって、その八割を税源移譲の対象にするというのが私は本来のあり方だと思うし、多くの関係者の皆さんは、最初、基本方針が出たときに、そう思ったのではないかと思いますよ。違いますか。ほとんどの人はそう思ったと思いますよ。事業そのものはなくなっていないんですからね。これは総理も見ていただいていますけれども、全部額が減っただけなんです。これは、今何が起きているかといいますと、額が減っただけだから、結局、逆にその補助金が希少価値になっちゃって、希少価値ですよ。額が減って、その額を求めて、ますます政治家を頼り、東京に通ってくるんです。ますますそういう状況が起きているんです。国から地方へと思ったら、地方から国へになっちゃっている。これが今の実態なんですよ。総理、いかがですか。
〇谷垣国務大臣 今お挙げになった中で、公共事業関係の国庫補助負担金、これについては、国ももちろんですけれども、厳しい財政事情のもとですから、地方でもスリム化が求められているわけですね。それで、事務事業の廃止とか縮減によるスリム化を図って、それが基本であって、税源移譲の対象とすることは私は適当ではないと思っているんです。仮に、地方がみずからの判断で、国が廃止した事業を実施する場合があるとしますね。それでも、公共事業は建設公債発行対象でございますから、この厳しい財政事情のもとでは、補助金廃止によって地方にお譲りするものというのはないんです。からっからなんです。さらに、最近の地方の投資単独事業の実際の執行額というのは、地財計画で既に財源の手当てがなされている計画額の規模を大きく下回っているのが実情ですから、地方が自主的な判断で単独事業として執行する余地が残されているわけでありまして、こういう観点からも、税源移譲によって地方に新たにここの財源をお渡しする必要はないというふうに考えております。
〇玄葉委員 いや、それなら、本当にこの科目はおかしな話になっちゃうんですよね。全部とは言いません、これは言い過ぎですが、ほとんど科目は残っているんですから、額を減らしただけなんですから。やはり本来のあり方をもう一度、この政府案の土俵に乗った上でもお考えをいただきたいなというふうに私は思うんですよ。先般、年金の支給の話で、モデル世帯というのがほとんどなくて、でも給付は五〇%だ五〇%だという話を、どうも誇大広告じゃないかという話がこの委員会の中でも議論がありましたけれども、義務的経費は十割移譲します、その他は八割ですというのも、このままいくと誇大広告ですよね。普通考えたら、一兆円補助金を削減したら、義務的経費は十割、その他は、ここでいえば五千五百億円の八割は移譲する、それで自治体の首長さんたちは腕を振るえる、それが本来なんじゃないですか。今回、腕を振るえる余地は全くと言っていいほどありませんからね。ありますか、財務大臣。
〇谷垣国務大臣 それはやや玄葉さんとも思えない誇張なおっしゃり方であって、これは私が御答弁するか、あるいは文部科学大臣に答弁していただいた方がいいのかもしれませんが、例えば教育だって、地方の自由度、保育もあると思うんですね。そういう意味で……(玄葉委員「少しはそう」と呼ぶ)少しは、少しはとおっしゃるけれども、いや、やはり全体のその自由度も高めて、責任も負っていただくという姿になっていると思いますよ。
〇玄葉委員 もう余り繰り返しませんけれども、義務教育については若干そうなったかもしれません。だけれども、公立保育所の問題なんというのは、ほとんど縛ったままというか、最低基準は変わらないということは、この間、坂口厚生労働大臣が答弁したとおり。今回、そこの部分、その範囲内だけで自由度が増しただけなんですよ。それ以外では何もないんですよ。これでは、地方の裁量権が拡大します、その結果潜在力が発揮されますと、もともと小泉総理大臣がおっしゃっていたような目的に合致しない、到達しないまましぼんじゃう、こういうことになりますよということを警告として申し上げて、同時に、もっと申し上げれば、提案として、同じ土俵で議論したとしても、さっき申し上げたような公共事業の縮減あるいは廃止の部分は、それはそっくり事業そのものをなくして、そして八割を移譲する、そういうことだったら裁量権の拡大はできますね、こういう話です。麻生大臣、そう思うでしょう。
〔杉浦委員長代理退席、委員長着席〕
〇麻生国務大臣 なかなか安易にさようでございますと言えるような感じではないんですが、基本的に、玄葉先生の言っておられるところで、今のその図面で五千五百億のところですけれども、御存じのように、図をもう少し正確にかいていただくと、まちづくり交付金の分の一千三百億とか、それから奨励的補助金のところの約一千億等々がありますので、そういったところも計算して引いていただくと、純粋な削減額は三千二百億ということになるんだと思うんですね。そこのところは、現場の町長さん等々は、調べていられるところはよくおわかりいただけているところなんで、ただ、今言われましたように、財務大臣からも答弁があったように、基本的には、これは玄葉さん、ある程度地方のはスリム化していただく、二年でやるところは三年でやってもらうとか、いろいろな手口は必要と思っております。そういった意味で、私どもは、いろいろやっていただきますけれども、それでも、なおかつ、どうしても仕掛かり品等があってできないというところにつきましては、いわゆる再建債等々いろいろなものでそこのところは詰めていかないかぬところだと思っていますので、八千億やら何やらのものを拡充するなり弾力利用するなり、いろいろな形で個別のものについては対応させていただきたいと思っています。ただ、これは地方によってすごく違いますので、なかなか一概にはこれがというのが言えないところが難しいところだというのが正直な実感です。
〇玄葉委員 余り深追いしませんけれども、このままでいくと、総理、国から地方へというのが地方から国へということになっていますと。この実態をよく理解をしていただいた上で、次の質問に移りたいと思います。ただ、今回、三年間で四兆円補助金を削減する、一定の税源移譲をする、こういう方針を立てたわけですけれども、当然、それによって事務は減るわけですから、その分の国家公務員は減る、こういうふうに考えていいですね。
〇麻生国務大臣 通告を受けておりませんのであれですけれども、基本的には国家公務員というものは、これだから減るということではなくて、その他を含めて全部減っていく傾向にありますので、今回、警察官一万人増員した上で純減というのが実態でありますので、基本的には、ICT化される、いろいろな面から考えましても、国家公務員の絶対総数は純減します。
〇玄葉委員 いやいや、これも深追いしませんけれども、独立行政法人になって国家公務員が減るとか、いろいろあると思います、IT化によって。でも、今回の、規制だとか、許認可だとか、補助金の額だとか減るわけですから、基本的には、その分は国家公務員の減少に拍車をかけるものとしてやはりカウントして、これから計画をつくっていかないといけないんじゃないんですかということを改めて申し上げておきたいと思います。次に移りますけれども、今回の予算審議の中では一度も出なかったんですが、いわゆる有事関連法案について一言だけ触れておきたいというふうに思います。我が党としては、この有事関連法案、特に国民保護法制、これについてはその制定を急ぐべきだということを申し上げてきているわけですから、基本的にそういう立場で議論をしたいというふうに思いますけれども、その他の関連法案、特に、我々、基本法を制定すべきだということを申し上げて、先般の武力攻撃事態対処法を成立させるときに自民党と民主党で合意をしているわけでありますので、その基本法を前提に関連法案についてしっかりと議論をしたいというふうに思っております。そこで、一つ二つだけ確認をしておきたいんですけれども、国民保護法制というのが間もなく閣議決定される予定だということでございますが、この中に新たな概念が出てまいります。緊急対処事態、大規模テロが対象だということだろうというふうに思いますけれども、この緊急対処事態というのは具体的にどのような事態を言うのか、例示を挙げてほしいと思いますし、あるいは、この認定の要件、基準、こういったものを挙げてください。
〇井上国務大臣 国民保護法案要綱の中の緊急対処事態についての定義をお尋ねになったと思うんでありますが、国民保護法案の要綱上、緊急対処事態は、武力攻撃の手段に準ずる手段を用いて多数の人を殺傷する行為が発生した事態または当該行為が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態で、国家として緊急に対処することによりまして国民の生命、身体、財産を保護することが必要なものといたしまして、内閣総理大臣が認定をし、閣議決定されたものでございます。こうした認定を行うことによりまして、今お話しの大規模テロなんかが発生した場合におきましても、武力攻撃事態におきまして、国民保護のためのいろいろな措置をとります。避難でありますとか救援という、こういった措置がこの緊急対処事態におきましてもとられる、こういうことであります。具体的な事例は何かということでありますけれども、この定義にありますように、かなり広範な事態を想定して規定をしないといけませんので、なかなか難しいのでありますけれども、一、二の例を挙げてみますと、原子力発電施設の破壊でありますとか、炭疽菌等の生物剤を用いた生物テロ、あるいは航空機によります多数の死傷者を伴う自爆テロなどの事態を想定いたしております。
〇玄葉委員 だれがどのように認定するのかということと、オウム真理教の事件なんかは入るんですか。
〇井上国務大臣 事態の認定は内閣総理大臣が行いますので、具体的には内閣官房が中心になりまして総合的に検討いたしまして認定をする、こういうことですね。要件といたしましては、今申し上げましたように、武力攻撃事態に準じた手段で多数の人が殺傷される、そういう事態が発生した、あるいは発生されるということと、もう一つは、国民の生命とか身体、財産を保護することが必要である、こういう認定をされる、そういう状況ですね。それから、オウム真理教なんかの場合、これは、いつの時点で認定するかというのは非常に難しい問題があると思うのでありますけれども、仮にああいうようなのが一時にばっと出てまいりますと、一時に、あるときにああいう事態が起こりますと、それはそういうようなことになろうかと思うのでありますけれども、順次ああいう事態がはっきりしてくるものですから、これはなかなか、認定の時点というのをあらかじめこうだという特定をすることは非常に難しいと思うんですよね。割かし具体的な事例といたしましては、地下鉄サリン事件なんかがありましたけれども、ああいう事態が起こりますと、やはり多数の人が殺傷される危険性というのは多分にありますし、いろいろな措置をしないといけないということでありますので、ああいう事態はまさに緊急対処事態になるんだろう、こんなふうに思います。
〇玄葉委員 この概念、まだ漠然としていますから、いずれ法案審議の中ではっきりさせなきゃいけないというふうに思っています。それと、概要をずっと拝見して、よくわからないなと思ったのは、米軍との関係が一つありまして、余り細目に入るつもりはありませんけれども、武力攻撃事態になったときに、自衛隊は、武力攻撃事態の適用除外の法律は、今というか、まさにつくったし、これからもつくるんですけれども、国内法の規制を受けるわけですよね。だけれども、米軍は受けないわけですよね。ただし、日米地位協定があって、尊重義務があるからそれでオーケーだ、こういうことで済まされるのか、それとも、ここの調整をするために何らかの法整備を検討するのか。今回、関連法案でてっきり検討するんだろうと私は思っていたんですけれども、全然入っていないようにお見受けするんですが、いかがですか。
〇井上国務大臣 米軍の行動につきましては、まだ詳細発表しておりませんので、全体の御理解がいっていないと思うのでありますけれども、委員御承知のとおり、日米安保条約で米軍の駐留を認めておりまして、米軍に関することがこの日米のいわゆる地位協定の中に規定されているわけですね。この地位協定の十六条におきましては、御承知のことだと思いますが、日本国において、日本国の法令を尊重し、及びこの協定の精神に反する活動を慎むことは、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにこれらの家族の義務である、こういうぐあいに規定しているわけですね。この規定自身は、一般国際法上の考え方に合致するものでございます。一般国際法上、駐留を認められた外国軍隊には、特別の取り決めがない限り接受国の法令は適用されないが、接受国の法令を尊重しなくてはならないことは、当該軍隊を派遣している国の一般国際法上の義務でありまして、このことを受けているわけでございます。この尊重義務は、武力攻撃事態の中でも当然のこととして適用されるのでありますが、その中で、米軍が応急の道路工事を行う場合の関係機関への通知でありますとか、米軍の行為に係る損失補償を政府が実施するようにしておりまして、しかるべき必要な点につきましては適切な措置を講ずることにいたしているわけであります。特別の規定をこの法律の中に規定をしたい、そんなふうに考えております。
〇玄葉委員 もう一つだけ、簡単に、端的に答えていただければいいんですが、ACSAの改正がありますね。武力攻撃事態のときに物品役務を日米で融通し合う、これは武器弾薬も含めてだ、これはこれで私はいいと思います。問題は、今回、有事ACSAを整備するんだろうというふうに思っていたら、それだけではなくて、平時のACSAも入っているんですね、改正には。つまり、例えばアフガンとかイラクとかああいったところで平時の、政府は平時という理解だと思いますけれども、そういうときに日米で物品を融通し合えるというのも入っていて、私はてっきり有事ACSAの法案なんだろうと思っていたんですけれども、どうもそういうものが入っていることに違和感を感じますね。平時のACSAの中身自体は、私は、それはそれでなるほどと思う中身なんですよ。ただし、そういったイラクとかアフガンのああいう話というのは、これは特措法じゃなくて恒久法ができたときにあわせて整備するというのがどう考えても本来の姿なんですよね。これはもう指摘だけにしておきたいなというふうに思います。それでは、今回の補正予算あるいは本予算の審議でもたびたび議論のあったイラクの問題に移らせていただきたいと思いますけれども、一つは自衛隊の安全確保策についてでありますが、自衛隊の安全確保策を考える上で最重要なのは、私は情報の収集だというふうに思っています。政府としては、この情報の収集あるいは伝達、活用、もちろんその前に分析がありますけれども、そういったものをサマワにおいてあるいはイラクにおいてどのようにされているのか、御説明いただきたいと思います。
〇石破国務大臣 御指摘のとおり、情報の収集、分析、評価が肝要であります。
これは、現地で治安の維持に当たっておりますオランダ軍、あるいは今整備されつつありますイラクの警察、あるいは民間のそういうような防衛組織、あるいは部族長等々、そういう方々と緊密な意見の交換を行っております。あるいは、関係各国からいろいろな情報を入手いたしております。あるいは委員もごらんいただいたかもしれませんが、昨日、サマワの番匠幸一郎一佐と私との間で、テレビ電話でお話をいたしました。現地から入ってくるいろいろな情報をリアルタイムで画像そして音声で私どもの方に伝えることができ、それを分析、評価ができるというような体制も今回整備充実を図っておるところであります。委員御指摘のとおり、情報の収集、分析、評価、これが最も肝要であると思いますので、今後ともさらに努力をしてまいりたいと存じます。
〇玄葉委員 サマワで治安を担当しているオランダ軍、このオランダ軍とイギリス軍との間で、二、三カ月前でしょうか、イギリスからオランダ軍が治安にかかわる情報をいただけなかった、機密情報だといって隠されてしまった。これが大分オランダでも話題になって、議論になったということでありますけれども、日本の場合は、そういったオランダ軍との関係、あるいは米軍、イギリス軍との関係、大丈夫ですか。
〇石破国務大臣 オランダとイギリスとの関係について私言及する立場にはございませんが、先般、イギリスあるいはオランダを訪問いたしまして、情報の交換については本当に万全を期す、現地の治安の状況についての情報は適時適切に日本側に提供するということを大臣同士で確約いたしておるところでございます。現在に至りますまで、情報の提供等々で私どもが不都合、ふぐあいを感じたということはございません。今後もそのようなことがないように努力をしてまいります。
〇玄葉委員 もう繰り返し申し上げる必要はないと思いますけれども、情報収集が一番大事だ。ただ、今回、委員会審議の冒頭で大分議論になりましたけれども、サマワ市に評議会があるかないかということについて政府の中で混乱をする、こういう事態が現実にあるわけですね。これは自衛隊の生死に直結しますからね。体制は手直しされたんでしょうか。
〇石破国務大臣 実際に、今、現地に部隊が入りまして一カ月以上が経過をいたしました。態勢も整いつつございます。この委員会の審議の最初の部分でいろいろと御迷惑をおかけいたしました。その反省、教訓も踏まえまして、きちんと自分の目で見て確かめる、そして、一方からの情報だけではなくて複数からの情報を総合して、まさしく評価、分析するという体制をさらに充実させておるところでございます。
〇玄葉委員 二度とこういうことが繰り返されないようにしていただきたいというふうに思います。それで、さんざんイラク特措法の議論のときに恐らく論点になったと思いますけれども、改めて、イラク特措法のいわば落とし穴を幾つか指摘しておきたいと思います。つまり、今の自衛隊の安全とかというのは、万国共通で、それぞれ軍隊を送っているところはそれぞれの軍の安全確保策に一生懸命になるし、それは当然、それぞれの国にとってのリスクなわけですよね。だけれども、我々はイラク特措法で自衛隊を派遣したがために日本独特のリスクというのを有してしまった、これは私はあると思っています。一つは、よく議論されるところだと思いますけれども、サマワで、オランダ軍と共同行動といいますか、行動を自衛隊とオランダ軍がしている。それで、自衛隊に危害が加わったときにオランダ軍は自衛隊を守ってあげられる。だけれども、オランダ軍に危害が加わったときに自衛隊は守ってあげられない。これは、こういう事態が起きたときは、私は大きく国益を損なうことになろうかというふうに思います。まず、そのリスク認識を持っておられるかどうかということが一つ。もう一つは、公明党の神崎代表が、サマワでオランダ軍がやられたときにそれを守ってあげるというのは、国際法上、正確には何と言いましたか、大丈夫だということをどこかでおっしゃっていますよね。オランダ軍を助けることは可能だというふうにおっしゃっていますが、ここはいかがなんですか。
〇石破国務大臣 リスク認識をどう考えているかということでございますが、この点も、オランダに参りましてカンプ大臣とかなり議論をいたしました。その場でカンプ大臣がおっしゃったことが日本経済新聞に同じような内容でインタビューに応じておられますが、そこでオランダの大臣が言っておるのは、こういうことであります。我々は日本の助けを必要としていない、ムサンナ州の治安維持は我々オランダの任務である、日本は政府が決めたことを実施することが大切であって、認められていないことまでやることは期待していない、オランダの議会も世論もこの点を問題にしていない、同じことを議論し、その確認をいたしました。すなわち、私どもは治安維持の任務を負っておりません。主に人道支援をやるわけであります。オランダは治安維持の任務を負っております。そのオランダが日本の助けを必要とするような状況が本当に現出をするかといえば、まず、そのような状況は現出するとは考えられない。そしてまた、私どもは、この法律十七条に定められておりますような武器使用の権限を有しております。これは、何度か答弁を申し上げたことでありますが、自分の身の安全を守る、いわば、自己保存のための自然的権利というふうに申し上げておりますが、このことにおいて、私は、権限も装備も訓練の状況も全く遜色があると思っておりません。他国に比べて全く遜色があるとは考えておりません。そのように、いいかげんなことで出しておるのではありません。委員御指摘のように、オランダがやられた場合に助けられるか助けられないかということは、まさしくこの十七条が予定しておるような武器使用の状況がその場合において出現するかどうか、現出するかどうか、そういう問題でありますが、委員御指摘のように、オランダはそのようなことを期待しておりませんし、そのような状況にもならないということでございます。それから、神崎代表がどのようにおっしゃったか、私、直接承っておりませんのであれこれ申し上げる立場にはおりませんが、それは、恐らくこの十七条が予定をしておるような状況になればということだろうと思います。委員も既に御案内のことかと思いますが、これはオランダが自衛権を行使するという形ではございませんので、直接、集団的自衛権の問題と直結する話ではございません。
〇玄葉委員 でも、私は、そのリスク認識は、石破長官、甘いと思うんですね。今、そういう現象だということ、あるいは状況だということでありますけれども、もしそうなってしまったときには、オランダの世論も大丈夫です、軍も大丈夫ですといったって、仮にそういう状況が起きたら、国際社会から見れば、どうしたことかということになるのは目に見えているわけです。仮にそういうことが起きたら、これは国益の損失であることは間違いありませんよ。基本的に、やはりそういうことを頭に入れておかないといけないということをまず一つ指摘しておきたいと思います。もう一つは、これもさんざん議論したんでしょう。非戦闘地域が戦闘地域に変わってしまった、そういった場合、自衛隊は法律によって一時中断して、あるいは休止をして、場合によっては避難をする、こういうことであるのでしょう。だけれども、他国の軍隊は、休まないかもしれない、中止をしないかもしれない、あるいは、外務省の職員だってその場に残るかもしれない、NGOの職員だって残るかもしれない。だけれども、自衛隊だけは帰る。帰ると言うと大げさかもしれないけれども、一時休止をして、中断をして避難する、こういうことが起こり得るんですね。これも、国際社会から、こういうことが起きたら、これはやはり一体日本の自衛隊って何なんだろう、日本という国は何なんだろう、こういうことになるんじゃないですか。
〇石破国務大臣 このイラク特措法というもの、あるいは憲法との関係、もう一度英語に訳し直してみまして、これを英語に訳すとどうなるんだという作業をやってみました。それを説明いたしました。私どもは、法治国家でございますので、法に反した行動はできません。それが国益に反するのかどうかといえば、それは議論の余地があるかもしれません。しかし、私どもはなぜ非戦闘地域という概念を設けたかということをここでもう一度説明するつもりはございませんが、そういうような場合になれば、委員御指摘のように、一時中断、休止し、実施区域変更の指示を受ける等を待つ、こういうふうになっております。これは、日本国憲法九条の規定をきちんと遵守する、それを二重に担保する意味で設けた規定でございまして、これは、私どもとして変えるわけにはまいりません。そういうような状況になったとして他国がどうなるか、それはわかりません。しかし、そういうような状況になっても、委員まさしく御指摘のとおり、すぐ引くというようなわけではございません。状況がどうなるか、法に定めたような要件を満たすようなことがあるとすれば、それは、実施区域を変更して活動を続けるということもあり得るでありましょう。いずれにしても、日本の国益は何であり、それを損なわないようにどうするかということは、またよく議論をさせていただきたいと思っております。外務省の職員が撤収するかどうか、そのことは私がお答えすることではございませんが、普通、自衛隊が撤収するような状況ということが仮にも起こるとするならば、それは、外務省も同じような対応をおとりになることがあるのではないかというふうに推測はいたします。
〇玄葉委員 もちろん、隊員の安全ということもといいますか、一番大事でありますけれども、今申し上げた二つのリスクは、間違いなく、我々はといいますか、日本政府は抱え続けるわけです。これは、重い重い現実だと思いますね。今回、イラクに自衛隊を派遣することを小泉総理は決断されたわけです。今申し上げたリスクも含めて、効果といわば総合勘案をしてお決めになられたということだと思います。このイラク派遣の記者会見等々を聞いていますと、小泉総理は、常に繰り返し繰り返しおっしゃっている言葉がある。それは、日本は信頼に足る同盟国でありたい、アメリカにとって信頼に足る同盟国でありたい、このことを繰り返し繰り返しおっしゃっているんですけれども、この信頼に足る同盟国、小泉総理が考える信頼に足る同盟国というのはどういう同盟国のことをいうのか、御説明いただきたいと思います。
〇小泉内閣総理大臣 これは、信頼ということは、人間の、個人間の間にあっても、企業にあっても、あるいは国家間におきましても、私は最も大事なことだと思っております。アメリカと日本の間におきましての関係におきましても、日本にとって、アメリカは信頼に足る同盟国だと思っております。同時に、日本もアメリカにとって信頼に足る同盟国でなければなりませんし、国際社会にあっても、責任ある一員として、信頼に足る国でなくてはならないと思っております。
〇玄葉委員 幾つか別の角度からもお伺いをしたいと思うんですけれども、例えば、総理としては、これを繰り返し繰り返し、自衛隊派遣を決めたときに、あるいは決めた後に、信頼に足る同盟国でありたいんだ、こういうことをおっしゃったわけですけれども、仮に、今回、自衛隊を即イラクに派遣しなかったならば信頼に足る同盟国たり得なかった、このようにお考えになられますか。
〇小泉内閣総理大臣 私は、今回、イラクに自衛隊を派遣して、イラクの国づくりのために復興支援活動あるいは人道支援活動、これは国連の要請にこたえて行ったわけであります。国連におきましては、すべての加盟国にイラクの復興支援に協力を要請してきております。日本は、国連の一員として、信頼に足る一員でありたい、そして、将来、このことはイラク国民から評価されるであろう、そういう点から派遣したわけでありまして、アナン事務総長が、国会の演説におきましても、イラクが苦しんでいる、イラクが復興に努力している、それに対して日本は率先してこの挑戦に立ち向かってくれたという評価をしております。そういう意味において、私は、自衛隊を派遣しないで、復興活動にも参加しない、人道支援にも参加しないということにおいてよりも、はるかに日本の国際社会の中での活動というのは評価されていると思っております。
〇玄葉委員 国連か日米安保かという議論もこの予算委員会を通じてあったんですが、私は、国連か日米安保かという議論をする以前に、日米安保同盟のあり方論を少し議論させていただきたいなと実は思って質問をさせていただいているんです。改めて、今回、繰り返し繰り返し総理は日米安保同盟をお出しになられて、信頼に足る同盟国たらんとして自衛隊を派遣するということも含めておっしゃっているわけですけれども、私がお聞きしたのは、もし自衛隊を即今回のように派遣しなかったならば、日本はアメリカにとって信頼に足る同盟国たり得なかったと思われますかということをお聞きしたんですけれども、もう一度御答弁いただけますか。
〇小泉内閣総理大臣 私は、何が信頼に足る行動かということで考えているわけであります。何をしなかったら信頼に足りない、そういうことではないと思うんですね。
〇玄葉委員 我々は、今回、イラクの自衛隊派遣に対して慎重な考え方をとったわけですね。あのときに、査察を強化、継続するべきだというようなことを申し上げた。私自身は、実はイラクの特措法の委員会にも入っていませんし、なかなか立場をといいますか、自分の意見を申し上げる機会がなかったんですけれども、もし我々だったら恐らく慎重な立場をとった。しかし、アメリカがそれでも先制攻撃を行ってしまったとしたら、積極的に支持をするというのが基本的には総理の立場だったと思いますけれども、我々だったら、理解するとかその程度になったんだろう。復興支援活動に、じゃ、参加しなかったのかといったら、必ずしもそうではないと思います。本格的な治安の回復を待って、例えば自衛隊を出すということもあったかもしれないし、あるいは空自だけを何らかの形で出していくということだってあり得ただろう。何が言いたいかというと、さっき申し上げた二つのリスクを、イラク特措法をつくって即出されたから、ずっと有し続ける。我々だったら、その二つのリスクは有することはなかっただろうということもあります。あるいは、今、川口さんが外交活動をされておられて、フランスだドイツだ、さまざまな国に働きかけをしていると言うけれども、もし慎重な態度をとっていたら、恐らくより説得力を持って、フランスとかあるいはドイツとか、そういった国々にイラクの復興支援活動への関与を働きかけることができたんじゃないか。こういう考え方も十分成り立つわけだし、我々は、そういうことだったんじゃないだろうか、そういう思いも実はあるから、改めて自分の意見も含めて申し上げたわけでございます。総理は、集団的自衛権の議論も、この予算委員会を通じて、たしか大野委員の質問にお答えになられているんですけれども、たしか本予算案の一日目の答弁のときは、改正するのもいいし、解釈を変えるのもいい、こういうことをおっしゃっていたんですが、報道とあと議事録によると、参議院の本会議、二十七日ですか、やっぱり解釈改憲はだめだ、正面から憲法改正するのが筋だ、こういうふうにおっしゃっているんですが、一体どちらなんでしょう。
〇小泉内閣総理大臣 私の考え方、答弁は一貫しております。
今までの積み重ねてきた政府の憲法解釈を尊重したい、しかし、憲法の条文をめぐって国民の間にはいろいろ解釈があり、解釈も変わってきた経緯があるということは承知している。ある時期においては自衛隊も憲法違反であると言う方々も、時代の変遷によって、いや、やはり自衛隊は憲法違反ではないなと変わってきている。自衛隊を海外に派遣する、PKO活動に派遣するということに対しても、これは自衛隊に海外派遣するということは許されないんだから、これは憲法違反であるという考えをとってきた方もいる。しかし、当時はそういう考え方の人たちも、今では、PKO活動なら海外に自衛隊を派遣してもこれは憲法違反ではないなと変わってきている。だから、憲法解釈というのは人によって変わってくる。しかし、集団的自衛権に関しましては、今まで政府は、これは解釈はいろいろな国会の議論で積み重ねております。憲法を改正しないで、解釈によって集団自衛権の行使を認めろという議論は多々あります。しかし、私は、それはやるんだったら憲法を改正した方が望ましいということを言っているのは、望ましいと言っているのは一貫しております。そういう点を言っているんです。政府の解釈は一貫しているんです、積み重ねてきた議論は尊重したいと。しかし、今まで憲法違反と言っていた人の中には、違反じゃないと変わってきている事実も厳然として存在しているわけであります。そういったことを言っているわけであります。
〇玄葉委員 もう一つだけ、これに関連して指摘をしなきゃいけないなというふうに思っているのは、日米安保というのは私も極めて大事だというふうに思っています、アジア太平洋の公共財だと思っています。この日米安保の維持の仕方というのは、総理、もしかしたら、自衛隊を派遣しなかったら信頼に足る同盟国ではないというふうに答えるのかなというふうに思ったから、大分厳し目にやろうかなと思っていたんですが、今回、私、日米安保の議論で少しどうかなと思うのは、若干国民の中に、日本はアメリカに、実際は違ったとしても、黙ってついていっているんじゃないか……(発言する者あり)いや、こういうふうに思われている節があるんですよ、実際。思われている節があるんですよ。これは、今回の決定もさることながら、外務省の情報発信力の問題でもあるかもしれません、実際の行動のせいかもしれません。これは、やはり日米安保をいい形でマネジメントするためには改めなきゃいけないというか、直していかなきゃいけないというか、このことは改めて申し上げておきたいというふうに思います。もう一つ、若干関連しますけれども、普天間の議論もこの委員会で何回も出たんですね。新聞報道が数多くあって、それは誤報だ誤報だということで答弁があるわけでありますけれども、改めて確認したいんですけれども、一つは、在外米軍の再編というのがまず現実行われようとしている、その中には、まず、在日米軍というのも含まれるのか否か。イエスかノーかで結構です。そしてもう一つは、そもそも普天間基地が持つ抑止の機能、これは、川口大臣は、沖縄の在日米軍の問題については、抑止力と沖縄の負担の軽減、この二つで考えていきますということをおっしゃっているわけですけれども、普天間の基地の抑止の機能というものを日本政府そのものがどういうふうに評価しているか。簡潔で結構ですから、お答えください。
〇川口国務大臣 まず、最初の方の質問の、イエスかノーかということですけれども、これは、再三再四申し上げているように、なかったということでございます。(玄葉委員「違う違う違う、米軍の再編。在日米軍が入るかどうか」と呼ぶ)ごめんなさい。失礼しました。米軍の再編ということには、当然、在日米軍も含まれるということであると考えます。それから、普天間の持つ抑止力の機能ということでございますけれども、簡単に申し上げますと、これは、在日米軍がそもそも全体として抑止力を持っている、これは問題なくお考えでいらっしゃるというふうに思いますので、その説明はスキップをいたしますけれども、その在日米軍の中で海兵隊というのが、これは御案内のように、高い機動力とそれから即応力を持っているということでありまして、在日米軍の中では非常に重要な一翼であるわけでございます。普天間飛行場につきましては、第一海兵航空団第三十六海兵航空群所属の航空機、これを中心とします海兵隊の航空機の運用を支援する、そういう重要な役割を果たしているということでございます。日本において有している抑止力、これは、在日米軍の持っている抑止力というのは重要であって、その中で、沖縄にある海兵隊、これは機動力、即応力という意味で重要であって、そして、その中で普天間の役割というのが、この航空機の運用、これを支援するという重要な役割を持っているということを申し上げているわけです。
〇玄葉委員 極めて重要な役割を担っている、抑止力に普天間基地そのものがなっているんだ、こういう認識でよろしいですか。とすれば、例えば仮に代替なしの返還みたいな話があったときには、それは抑止力を減ずることになるので、とても私たちとしては応じられません、こういう話になるんですか。
〇川口国務大臣 前提としていらっしゃる、代替なしの返還ということをおっしゃっていらっしゃるわけですけれども、これは、現にそういうことではなくて、平成十一年の閣議決定に従って辺野古の沖に代替の施設をつくるということで、これは地元の公共団体とも御相談をしながら、そのように今動いているということでございます。
〇玄葉委員 結局、正面から私は説明すべきだと思うんですけれども、今申し上げたのは、私は、代替なしの返還というのが仮にあったらば抑止力が減ずることになるというふうに基本的に考えるということだと思うんですよね。つまり、普天間の抑止機能を高く評価しているという認識だと思いますから、仮に代替なしの返還ということは抑止力を減ずることになるから、低下させることになるから、日本としては応じられない、こういう立場だというふうに当然理解されるわけですけれども、イエスかノーかだけで答えてください。
〇川口国務大臣 現在、この地域における問題を考えましたときに、抑止力が維持をされているということは重要であるということを我々は考えているということでございます。
〇玄葉委員 これは水かけ論に終わりますけれども、私、こういう議論というのは正面から、戦略論と戦術論と戦力論と国会でもやるべきだというふうに思っている一人でございまして、ぜひ今後、そういうことも含めて、正面から議論をさせていただきたいなというふうに思っています。 筒井委員にお譲りをいたします。ありがとうございました。