総務委員会(平成14年6月4日 議事録)
〇玄葉委員 玄葉光一郎です。私は、民主党の総務部門の責任者でもありますので、冒頭、基本的な私たちの党内の議論あるいは考え方を申し上げたいというふうに思っています。私たちの党内も、自民党も恐らくそうであるかもしれませんけれども、さまざまな意見があるのは事実であります。ただ、比較すれば、民営化するべきだという人たちがほかの政党よりは多いだろう、そう思います。一方、それはあってはいけない、そういう意見があるのも事実であります。ただ、これから少し申し上げることについては、既に昨年の十一月あるいは十二月ぐらいの時点で党内のコンセンサスとして決めたことであります。端的に、六点だけ申し上げたいというふうに思います。昨年の十一月ですからやや抽象的ですけれども、一つは、郵政公社発足時の改革は、郵便業務に関する民間参入については、全面的な民間企業参入を認めるけれども、参入企業に対してはユニバーサルサービスを義務づけるということが一つですね。二つ目は、現行の郵便局ネットワークは原則維持する。三つ目は、郵貯、簡保それぞれ預入限度額あるいは加入限度額がありますけれども、これらについては引き下げる。四つ目は、旧三公社に対する課税を念頭に公社に一定の課税を行う、また民間銀行における預金保険料相当分を国庫納付するということ。そして五点目、特定郵便局制度を改革しなければならない。六つ目は、メルパルクとかメルモンテあるいはファミリー企業の問題、これも改革をしなきゃいけない。こういう六点については、いろいろな議論がありましたけれども、昨年の十一月、十二月の時点でもうコンセンサスとしてまとめています。その上で、この四法案でありますけれども、この四法案に対する賛否は、今申し上げた点に加えて、これからさまざまな質問が私たちの党内からも出ると思いますけれども、それに対する答弁、そして利用者の立場、ネットワークの維持、そしてマクロの経済、金融、これらを総合的に勘案して判断をしたい、そう考えております。以下、質問をさせていただきたいと思っていますが、具体論に入る前に、一つ総論としてお聞きしたいと思っています。それは、この法案が本会議で議論されたときに、小泉総理大臣は、本法案により郵便事業へ民間が参入できるようになるということは、私としては、民営化に向けた一里塚であると考えております、こういうふうに答弁をしているわけでありますが、総務大臣も同じ認識だというふうに考えてよろしいですか。
〇片山国務大臣 冒頭、玄葉委員からいろいろなお話がございました。基本的に我々と考え方が似ている点も多々ございますので、一層の御理解と御協力をよろしくお願いいたしたい、こういうように思っております。そこで、今の質問でございますが、当面我々は、この四法案で国民に大変いいものができたなと喜ばれるような公社制度にしたい、今すべてのエネルギーをそっちに注いでおりますけれども、御指摘の小泉総理の発言につきましては、総理は昔から郵政民営化が御持論ですよね。これは一貫されておるので、公社化後についてはという総理としてのお考え、願望を言われたものと私は思います。具体的には、公社化後のあり方につきましては、現在、総理直属の懇談会でいろいろ議論して意見を集約している段階ですね。だから、これが恐らく夏ごろかということでございますが、取りまとめが行われる。私は、その後は、国民的議論で、国民の選択にまつべきではないかということを総理にも申し上げ、総理もそうだ、こう言っておられますから、そういうことで進むべきではなかろうか、こういうふうに思っております。
〇玄葉委員 内閣総理大臣が、この法案の位置づけとして、民営化に向けた一里塚だと、内閣総理大臣が発言をしていて、これは基本的に小泉政権の認識というふうに普通だったら考えるであろうと思いますけれども、そういう認識でよろしいですか。
〇片山国務大臣 総理は何度も、自分は民営化が持論だ、自分の考えだと。ただ、広く御意見を聞いてどうするかを考えたいということで、総理の郵政三事業を考える懇談会というのをおつくりになって、そこで今けんけんがくがくの議論が行われているわけでありますからね。その際、総理は、冒頭のあいさつで、自分は民営化論者だけれども、どうぞ自由に御議論ください、それで皆さんの意見を集約してください、こういうことを言われておりますので、私は、その総理懇談会の結論によってどういうふうにするか、最終的には、何度も言いますけれども、国民的議論の中で方向を決めていくのが正しいのではなかろうか、こういうふうに考えております。
〇玄葉委員 これは大事な問題だと思うんです。なぜかというと、結局、この法案が民営化に向けて一里塚として出された法案なのか、そうではないのかで、公社の制度設計のありようもこれは議論が変わってくる可能性がありますね。例えばさっき出資規定の議論なんかもありましたけれども、議論が変わってきますよ。だから、いずれにしても、どちらなのか。民営化に向けた一里塚としての法案なのか、いや、そうではないということなのか、イエスかノーかでお答えいただけますか。
〇片山国務大臣 せんだって、玄葉議員から日本郵政公社法案外三法案に関する質問主意書が出されまして、それについて、内閣として答弁書を出しております。「御指摘の平成十四年五月二十一日の衆議院本会議における「私としては、民営化に向けた一里塚であると考えております。」との小泉内閣総理大臣の答弁は、政府として郵政三事業の民営化を決めたということを表明したものではなく、郵政三事業についての政治家としてのかねてからの持論を述べたものである。」こういうふうに閣議として、正式に政府として決めて、答弁させていただいておりますので、ひとつ御理解を賜りたい。
〇玄葉委員 そうすると、今の質問主意書への答弁という形で読まれた見解が政府の統一見解、こういうふうに考えてよろしいのですか。そして、それは小泉総理も納得の上そのような答弁書を、当然、主意書でありますから、これは閣議決定されるべき、そのような理解でよろしいですか。
〇片山国務大臣 本日の閣議でこれを正式に決めましたので、これは総理の見解であり、内閣の考えであります。
〇玄葉委員 本会議で言われたことを撤回して、いわば個人的な考えなんだ、それを本会議で述べた、こういうことですね。私は、言葉として非常に軽いなというふうに言わざるを得ない。ただ、そういう統一見解だということがきょうはっきりしたわけであります。(発言する者あり)後でまた詰めていただければと思います。次に、信書便法案について質問をしたいと思います。メディアは、この信書便法案について、改革のいわば本丸のような扱いをしているわけでありますけれども、私は、果たしてそうなのかなという感じが率直にしています。仮に小泉さんの立場に立ったときに、胸を張るのですけれども、胸を張るような法案なのかという気が私にはしているのですけれども、一つは、まず、法案の目的が一条に書いてあります。法案の目的は、信書、いわば封書とかはがきなどの送達業務について、あまねく公平な提供を確保しながら、もう一つは、利用者の選択機会の拡大を図る、これがいわば法案の眼目、目的だというふうに思います。さて、最も話題になった、参入するのではないかと言われたヤマトが参入断念をしましたが、これからまだどうなるかわかりませんけれども、参入断念そのものをどう考えているのかということもありますし、そういう発表を受けて、そもそも、この一条の目的というのは、この法律をつくっても本当に達成できるのか。あまねく公平な提供を確保して、かつ、さっきも若干出ていましたけれども、利用者の選択機会の拡大を図ると。果たしてこの目的は達成できるのか。いかがですか。
〔委員長退席、稲葉委員長代理着席〕
〇片山国務大臣 我々は、総理のお考えで、民にできることは民にやってもらう、こういうことでございますから、郵便事業への民間参入、これはやってもらう。ただ、郵便事業というのは、これは事業の特殊性もありまして、ユニバーサルサービス、あまねく公平な提供ということが一つある。そこで、もしそのユニバーサルサービスの提供を民間参入の事業者の方に義務づけないとしましたら、いいところをとるに決まっていますね、それは企業の論理として。クリームスキミングが起こる。そうなりますと、もうからない、悪いところだけが全部公社になるわけでございまして、それは公社の経営がもちません。そうすると、公社の経営がもたないから、公社も自律的、弾力的な経営ですから、悪いところをやめていく。そういうことになりますと、結果としては、国民が今のサービスよりもっと悪いサービスを受けざるを得なくなる。そこで、我々は、全面参入してもらうけれども、ユニバーサルサービスの確保はこれはぜひお願いしたい。そういうことで、この法律の目的にその二点を書いているわけでございまして、そういう体力があって、その辺をお見通しの者が入ってくれることによって、私は、競争が促進して、サービスがよくなって、料金が下がって、あるいは公社の方も、やはり競争ですから、自分の方でもいろいろなことを考えて、体質を強化しなければということで、プラスの効果があるんではなかろうか、こういうふうに考えております。今、具体の事業者の名前をお挙げになりましたが、この問題について、私は具体的な事実を確認しておりません。報道しか知りませんので、事情はわかりませんけれども、今後国会の議論でいろいろなことがさらにわかってくる、あるいはこれから、何度も言いますけれども、ガイドラインで信書の範囲を明らかにさせていただいたり、いろいろなユニバーサルサービスの条件も細かく決めさせていただくことによって、よし、それならやってみよう、こういう事業者の方が出てくることを我々は期待しておりますし、特定サービスの方は今何社かそういう具体的な動きがあることを我々は承知いたしておりますが、これは、少なくとも、それについての需要があるとすれば、私は、国民にとっては大変なサービスの向上になる、プラスになるんではなかろうかと考えております。
〇玄葉委員 民間参入の条件が、いろいろこの法案には規定されているわけであります。ユニバーサルサービスの定義にもいわば関連するような話だろうというふうに思いますけれども、先ほど私が申し上げましたように、うちの党内も、また私自身も、ユニバーサルサービスの確保というのは必要だ、ネットワークの維持は必要だというふうに思っています。思っていますけれども、その民間参入の条件というのは必要最小限のものじゃなきゃいけない、一方でそう思うわけですね。その考え方自体はどうですか。
〇片山国務大臣 我々も必要最小限度のものでいい、こういうふうに思っておりまして、ポストの数ですね、差出口を幾らにするか、今後いろいろな状況を見ながら検討していかなければなりませんが、少なくとも、今郵便局ネットワークが持っているほどの差出口の必要はないんではなかろうかと考えております。例えば、料金の最高限度だとかあるいは配達方法等については、これは全国あまねく一通でも引き受けて配っていただく、そういう体制をとっていただかなければ、こういうふうに考えております。具体的な条件は法律のゆえんに基づいて細かく省令で決めさせていただこう、こういうように思っておりますが、決める際にはできるだけ透明度を高くしまして、広く意見を聞いて、国民の皆さんから見て納得できるようなものにしていきたい、こう考えております。
〇玄葉委員 繰り返しますけれども、私もユニバーサルサービスの確保というのは必要だと思っているんです。ただ、必要最小限のものでなきゃいけないだろうというふうに思っています。この法律を最初に読んで、本当にこれは必要最小限なんだろうか、必要以上の規定というのがあるんじゃないかと正直思いましたね。例えば、二十四条にこういう規定がありますね。「総務大臣は、」「許可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときは、同項の認可をしなければならない。」として、二号に、「一般信書便役務を提供するための協定又は契約でないこと。」わかりやすく言えば、例えば、A社とB社が協力してユニバーサルサービスを確保する、これはだめですよということですね。わかりやすく言えばそういうことですね、この二十四条の二項の二号というのはそういうことだと思いますよ。A社とB社が協力して利用者の立場に立ってユニバーサルサービスの確保をきちっとしましょう、これはだめだと。これは、なぜだめなんですか。
〔稲葉委員長代理退席、委員長着席〕
〇片山国務大臣 どういう形態が予想されるかわかりませんが、やはり郵便事業というのは信書ですし、そういう意味では責任が明確でなきゃいかぬ、こういうことでございまして、どういう協定になるのかということも実はありますので、我々も大分、それは大変検討したところなんですよ。公社化研究会の方もそういうことは適当でないという御意見でございましたので、今回はそういう格好にさせていただきましたけれども、これは私個人の意見ですけれども、状況によってそれは検討の余地があると私は思っております。
〇玄葉委員 私は、これは最初に驚きましたね、一読して。つまり、最初からオミットなんですよね、最初から。今、協定の中身がどういう中身になるかわからないといったら、じゃ、協定の中身を許可制にしたらいいわけですよ、率直に言って。最初からオミットなんだから、A社とB社が協力してユニバーサルサービスの確保をしますと。私は、最初にも申し上げましたけれども、ユニバーサルサービスは確保しなきゃいけない、そして、利用者の立場に立たなきゃいけないということですよ。利用者の立場に立ったら、どういう形であれ、基本的にユニバーサルサービスが確保されていればいいんじゃないですか。第一義的にはまずそこから始まらないと、答えを間違えるんじゃないか、そう思うんですね。ですから、必要以上の規定にどうしてもなっちゃっている。責任区分という話がありましたけれども、例えば、仮に二社でやったら、仮に二社とも違反したら二社とも処分すればいいわけで、方法は幾らでも私はあり得るんだろうというふうに思っています。私には、二十四条というのは、果たしてどうなのかな、必要以上の規制に見えます。今後検討していく、個人的には検討の余地があるということでありますから、これから期待をしたいというふうに思いますし、私はこういう条文を読んじゃうと、いや、本気なのかなと思っちゃうんですよね。総務省は民間参入を目的とする法案を、第一条で目的に書いておきながら、本当に本気で参入させたい気でつくっているのか、そうじゃないのかというのが私はわからなくなっちゃうわけですよ。目的にかかわる話なんです。本気なんですね、させたいんですね。どうなんですか。
〇片山国務大臣 それは、わざわざ信書便法案という法律を出すということは参入させたいんです。ただ、ユニバーサルサービスは確保しなければならない、そのための、例えばその安全度というか確実度といいますか、そういうことを念頭に置いている、こういうことであります。
〇玄葉委員 私たちの党内にはこういう議論もあります、あるいは党内だけじゃありませんけれども、これはそもそも論ですけれども、議論の紹介という形で申し上げますけれども、そもそも公社の監督者がいわば総務省ですね。その公社の監督者が民間参入をする許認可を握っている、許認可省庁になっている。俗によく、親子が一緒に審判とプレーヤーをやっている、こういう議論がありますね。そもそも、仮に民間の立場に立てば、確かに嫌は嫌ですわね。もしこれが総務省じゃなくて、例えば違う省庁の、あるいは内閣府なんかの委員会に許認可権を持たせるということも考え方としてはあり得たんだろうと思いますけれども、そういう考え方は全くあり得なかったんですか。
〇片山国務大臣 いや、それは全くないとは言えませんけれども、玄葉委員、日本は法治国家ですから、法律に基づいて我々は行政をやっているんですよ。法律に基づいて、仮に公社を監督するならしますし、民間の事業者の参入についても監督するわけで、むしろ両方がわかる方がバランスがとれるんです、よくわかるから。それで、別々に判断してやるよりは私はずっといいと思うし、それは法律によって行政の仕事をやっているんで、恣意的にやるわけじゃないんですね。それから、役所というのは、御承知のように、釈迦に説法ですけれども、機能によってきちっと組織が分かれておりまして、それはそれぞれ、今言いましたように、法律、政令、その他に基づいて行政をやっているわけでありまして、そこが混同するんなら、これはもういろいろなそれについてのチェックの仕方やあるいはいろいろな行政処分だとかそういうことはあるわけであります。いろいろな議論はあると思いますけれども、私はその点はぜひ、総務省なり、総務省のつくる法律に基づく行政ですから、そこは信用していただければ大変ありがたいと思っております。
〇玄葉委員 そのテーマはこれでやめますけれども、民間参入の条件で、先ほどの議論の中で、許可の基準は九条その他にいろいろと規定してありますけれども、具体的な基準というのは、とにかく省令で、ガイドラインでということになっているようであります。これは、例えば、先ほど議論が出たような郵便ポストの共有なんという話が新聞に出ましたけれども、これはもう絶対考えていないという答弁があったように思いましたけれども、そのとおりですか。
○佐田副大臣 先般出たニュースの話だと思うんですけれども、これにつきましては、先ほどの大臣の答弁もありましたように、これは研究会でも議論されましたけれども、あくまでも別にやらせていただく、こういうことになっております。
〇玄葉委員 次に、信書の定義ですけれども、確認していきますから、端的に答えていただけますか。一つは、一般に民間事業者が、この法案ができて、現在配送しているものまで扱えなくなるんじゃないか、こういう心配をする声、向きがあります。メール便だとか商品券、ギフト券、そういうものがありますけれども、それは現行どおり、従前どおり、こういうことでよろしいですか。
○佐田副大臣 信書の定義でありますけれども、委員御指摘のとおりでありまして、先ほども答弁にありましたように、昭和三十三年に最高裁の判例が出ておりまして、それにのっとって今まで判断もしてまいりました。そういうことを考えますと、私は、基本的に変わるということはありませんし、今後ガイドラインでこれも議論をしていきたい、こういうふうに思っております。
〇玄葉委員 メール便とかギフト券とか商品券、従前どおりだということですが、例えば、クレジットカードとかDM、ダイレクトメールとかはどうですか。
○佐田副大臣 ダイレクトメールにつきまして言えば、一般にDMとは、商品、サービスを購入する見込みのある人に直接郵便で届ける広告とされているものであるが、そこに付されている文言や送付される対象の広がり等を含め、多様な形態が想定されるというふうに考えております。また、今お話がありましたけれども、クレジットカードについては、発行者から特定の会員に対して意思を表示し、または事実を通知する通信文が記載された信書に該当すると解釈してきておるところでありまして、クレジットカードの支払い手段として利用されているという側面に着目した場合に、記載された文言は通信文とは解せないのではないかということも言われておりまして、これらの事例を含めて、信書の概念への当てはめについては、具体的に整理するために、いろいろと御意見を聞きながらガイドラインを作成していく所存であります。
〇玄葉委員 何か今の答弁、ちょっとよくわからないんですけれども、そうすると、何となく今のニュアンスだと、クレジットカードでも、あるいは特にDMなんかは、細かい話なんだけれども、例えば同じDMの中でも、これは信書ですよ、これは信書ではありませんよというふうに、DMを幾つかに分けてガイドラインをつくっていく、そういうイメージですか。例えば、あるカード会社が全会員に商品の案内を出した場合あるいは特定の会員に商品の案内を出した場合、これは分けるとか、そういうイメージですか。
○佐田副大臣 今委員が言われたように、いろいろな考え方がありますけれども、やはり基本的に、例えば、すべての者に知らしめる、そういうものにつきましては信書ではありませんけれども、特定の事実を特定の方に伝えるというものになれば、信書になってくるわけであります。
〇玄葉委員 そうすると、ちょっと細かい議論なのでもうやめたいんだけれども、同じDMの中でも分けることをしていくということですか。例えば、DMだって、不特定多数じゃない場合だってあるわけでしょう、特定のメンバーなんかはいいよとか、特定のメンバーだけに出すDMとか。
○佐田副大臣 ですから、今ちょっと抽象的な言い方をしましたけれども、DMというものがすべて完全に定義されているわけじゃありませんから、そういう意味におきましては、今、委員の言われたような形になろうかと思います。
〇玄葉委員 そうすると、DMの中でも分けていく、こういうことですね。 あと、これは余り議論していると時間がなくなっちゃうんですが、ただ、意見も含めて申し上げるんですけれども、私、この民間参入という議論は、どうも目標みたいなのがはっきりしない、そういうところがあるような気がしているんですよね。だから、何となく国民に十分な理解がされないという側面があるんじゃないか。何かわかりやすい目標みたいなのがないというか。例えば民間参入が図られて郵便料金が安くなりますとか、例えばですよ、そういう話なんかがあるととてもわかりやすいんですけれども、法案の目的の利用者の選択機会の拡大というのは、そういう料金の引き下げということも含む概念なんですか。含んでいるんですか、どうなんですか。
〇片山国務大臣 競争原理を導入する、いい競争をやってもらうということで、料金が安くなるとか今よりサービスがもっと丁寧になるとかということを、我々としては一応期待いたしているわけであります。
〇玄葉委員 確かに、料金の引き下げは結構大変だと思うんですよ。ただ、ファミリー企業の問題だとか、コスト高の原因はいろいろあるわけですよ、率直に言って。例えば、そういうことを削ることで料金を安くしますと一言仮に言えたら、これは一気に浸透しますね。これは意見も含めて申し上げておきます。次に、郵貯、簡保の議論をさせていただきたいと思います。公社化法の施行法案には、郵貯の預入限度額、簡保の加入限度額については現在の水準を維持する、こう書いてあるわけであります。そこで、まず総務大臣に確認をしたいというふうに思いますけれども、千四百兆円余りの私たちの国の個人の金融資産の中で、二百四十兆円プラス百十兆円の郵貯・簡保資金、もっと言えば、全体で五百数十兆の公的金融、この規模は果たして、日本全体のことを考えた上で、日本全体の金融も考えた上で適正規模だ、こういうふうに総務大臣はお考えになっておられますか。
〇片山国務大臣 その適正規模ということの概念があれでございますが、郵貯の立場から言わせていただきますと、御承知のように、平成十二年度、十三年度の定額貯金の集中満期による払い戻しでかなり減ってきましたね。二十兆以上減少してきましたし、また、その減少傾向は続くと我々は思っております。民間の方はふえているんですね。それから、簡保につきましても、本年度と来年度で十年満期養老保険が満期になるんですよ。だから、これも私は減少してくると。基本的には、金融資産に占めるシェアというのは大体郵貯が二割、それから簡保が一割ぐらいですね。これを適正と見るか適正でないと見るか、こういうことでございますけれども、我々の立場からいうと、全国あまねく公平に、しかも小口、個人を対象に今まで業務をやってきたわけでございますから、我々は今の状況を、今の委員の言葉をかりれば、まあ適正ではないかと考えております。
〇玄葉委員 適正であると。行政が考えるんじゃなくて、国民が考えるんだというやじがあったんですけれども、例えば、では政府は一方ではこう言っているわけですよ。いいですか、これは総務大臣も入っておられる会議だと思いますけれども、平成十三年の六月二十一日と九月二十一日のそれぞれ経済財政諮問会議ですね。それぞれ経済財政諮問会議で、とにかく、私たちの国の金融について、従来の預貯金中心の貯蓄優遇から株式投資などの投資優遇へと金融のあり方を変えるんだ、こういう決意を大方針として出しているわけですね、大方針として。あるいは、これまで我が国の金融は間接金融に大きな比重を置いてきた、しかし、起業、創業を支え、経済のダイナミズムを取り戻すとともに、家計が保有する金融資産の多様化を図るんだ、そして直接金融へシフトしていくんだと。これは政府の大方針でしょう。いや、私も、それこそ選挙のことを考えたら、預け入れ限度額とか加入限度額を引き下げろなんて本当は言いたくないんですよ。ただ、全体のマクロの金融とか日本経済を考えたときに、本当にどうなんだろうかと思うわけですよ。一方で、政府は、こうやってリスクマネーをどんどん出せ出せと言う。公的金融が肥大化し過ぎると一方で言っていて、今度総務省は、リスクマネーを出すな、こう言っているのと同じだと思うんですよ。一体政府の方針というのはどっちなんですか、総務大臣も入っていたと思いますけれども。
〇片山国務大臣 私も、経済財政諮問会議のメンバーでございますけれども、日本の金融市場について、間接金融中心で長い間推移してきていますよね、まだ。アメリカなんかに比べると大変直接金融のウエートが低いんで、これを上げなければならない、これは、私は、総論としては正しい、こういうふうに思っております。ただ、リスクマネー云々という議論はありますけれども、もっと直接金融に向かうためには、株式市場そのものがかなり努力してもらわなきゃいかぬと私は思いますよ。信頼性を回復する、国民から魅力ある商品を開発するとか、いろいろな自己努力も必要だと思いますね。トータルなんですね、議論は。それで、私が適正だと申し上げたのは、郵貯、簡保の資金のフローですね、流れを見て、私はこれが市場の大きな阻害要因になっているとは思わない、こういう意味でございまして、今もちょっと委員みずから言われましたけれども、行政がいい悪いじゃなくて、やはり国民の方がそういう意味での適正さ、適正規模というものを考えていくんではなかろうか、こういうふうに私は思っているわけでございます。今、郵貯、簡保につきましては、御承知のように自主運用でございまして、我々はそういう意味ではできるだけ市場に還流をする、こういうことを考えておりまして、できるだけ今後もそうしたいと思っております。
〇玄葉委員 さっき銀行自身が努力しなきゃいけないんだ、ほかに要因があるんだと。それは当然銀行自身が努力しなきゃいけないとか、税制だとかね……(片山国務大臣「直接の方」と呼ぶ)直接市場ですね。いわゆる市場整備、環境整備が必要だ、全くそのとおりですよ。だけれども、一方で公的金融がこれだけ肥大化している、それは全く理由にならないんだ、これもまたおかしいんですね。まさに大臣おっしゃったとおり、トータルで見なきゃいけない。トータルで見たら、これは全然関係ないとは言えないですよ、率直に言って。そのことはやはり我々、逃げないで向き合わないといけないんじゃないですかということですよね。さっき大臣が自主運用だから市場に流すという話がありましたけれども、ちなみに、これは自主運用ですが、郵貯・簡保資金というのは、幸か不幸か、安全な運用をせざるを得ないという、いわば宿命があるんだろうと思うんですよね。安全な運用をしなければならないというふうに言った方がいいんでしょうか、宿命が恐らくあるんだろうというふうに思います。現に、八割が国債を中心に現実に義務づけられているようなものですね。これは、今後、市場に流すというお話がありましたけれども、こういう自主運用の中身の方針は変わるんですか、変わらないんですか。その辺はいかがですか。それと、せっかくなんでもう一つ。市場に流す以上は一定のリスクは当然つきまとうわけですけれども、そのときの責任体制というのはどうなっているんですか。
〇片山国務大臣 今、委員も言われましたけれども、郵貯、簡保のお金は国民の預かり金ですから、だから、それはやはり長期で安定的な運用ということをどうしても考えなければいけません。それともう一つは、去年からですからね、去年の四月から資金運用部制度が廃止されて義務預託がやまったんですね。あるいは、財投に対する直接貸付制度がなくなった。そういうことでございまして、経過期間が要るんですよ、あれは七年で預けていますから。だから、これは財務省の方からも頼まれて、七年間の経過措置でなだらかに減らしていくというのと、それからもう一つは、やはりマーケットに大きな影響を与えちゃいけませんから、そこは自主運用のあれをなだらかにしてくれと。そういういろいろな要請で、やはり国債のウエートが高いとかあるいは地方債だとか、こういうことになっておりますけれども、今後は次第にその自主性を大きくしていく必要がある、こう思っております。しかし、自主性というのは何でもやっていいかというと、そういうことじゃないんです。私どもの方の審議会にもかけますし、財務省とも相談しますし、ポートフォリオというのをきちっと公表しますし、いろいろなチェックの中でできるだけ自主性を大きくしていく、そういう運用をいたしたい、こう思っております。その結果、大きな責任が出たら、それはやはり総務大臣なりなんかの責任を、責任は全くないということは私は言えないと思いますけれども、そこは今言ったようないろいろな段階での手続を経てその合意の中で運用してまいりますから、この責任問題については、総務大臣の責任は私は免れないと思いますけれども、責任のとり方その他については、これは今直ちにどうこうというようなことにはならない、こういうふうに思っております。
〇玄葉委員 私、その責任体制というのは大事だと思うんですよ。例えば、事実上総務大臣だ、いろいろなチェックをかける、審議会だ。そうすると、責任は分散するんですよ。責任がないところには本当にもうけるという話もないですからね、はっきり言って。これは、最終的には国民負担になる可能性があるわけです。だから、これは責任体制をきちっとしてください。ちなみに、私、どういう体制になっているのかもはっきりわかりません。これは、ファンドマネジャーの役割を果たす公務員は、例えばその成績によって人事評価に反映させるとか、そういうことをやるんですか、ちなみに。
〇片山国務大臣 済みません、玄葉委員、最後のところ、ちょっとよく聞き取れなかったんで、再度御質問いただきたいと思います。責任の問題、私は総務大臣の責任は免れないと言いましたが、これは監督責任ですね。実施責任はここでは郵政公社でございますので……(玄葉委員「だれなんですか」と呼ぶ)郵政公社です。それは総裁なり、あるいはその理事会が意思決定機関ですから、理事会のメンバーでございます。ただ、私、総務大臣も責任を免れないと言いましたのは、監督官庁ですから、これはその責任はある。責任体制については、これは具体的な仕組みの中で我々としても今後検討していかなきゃいかぬ、こういうふうに思っております。
〇玄葉委員 細かい話なんですけれども、最後のところは、ファンドマネジャー、いわゆる実際に運用する人、これは、ちなみに成績によって人事評価に反映させるみたいなこともやるんですか。これは細かいけれども大事なことだと思うんです。
〇片山国務大臣 基本的には、まさに今後は給与も任用も成績主義でまいる、これが公社の基本的な考え方です。ただ、非常に極端なことは、公社といっても国営公社で、公務員ですから、極端なことができるかどうかは別にしまして、基本的には今の役所の方式を持ち込まない、こういうことであります。
〇玄葉委員 話は戻りますけれども、私は、やはり郵貯、簡保の資金、これは、本当に私もつらいんだけれども、やはり引き下げないと、規模を縮小させないといかぬのだと思うんです。それは、二〇〇〇年問題があったから今はがんと減りましたよ。だけれども、今後は一兆円ぐらいのレベルですから、減るといったって。ですから、これは、本当につらいんだけれども、やはりやらないといけないんじゃないですか。やはり、車で幾らアクセルを踏んでも、一種の、トランスミッションが車でいえば壊れているようなところがあるんですよ、余り公的金融が大きいと。これだけが理由だとは言いませんよ。幾ら金融緩和だ、金融緩和だといって、日銀が銀行の国債を買ってマネーを供給しても、車のトランスミッションが壊れているという側面がやはりあるんですよ。だから、このことは考えていってほしいというふうに思います。最後に、もう時間があと五分なので、私、民主党の最初の、トップバッターですから、少し頭出しをしますから、端的でいいですから公社化法案の論点について答えていっていただきたいというふうに思うんです。一つは、金融庁の検査並びに日銀の考査。日銀の、これは検査というんでしょうか、郵政公社の場合は。考査、検査、これはどうしていくのかということであります。それはどうですか。
〇片山国務大臣
金融庁の検査につきましては、政府の中で議論をいたしまして、政府全体として、政策金融機関全部に金融庁にリスク検査をやってもらおう、こういうことになりまして、郵貯、簡保につきましても、それじゃ金融庁の検査を入れましょうと。ただ、基本的には、例えば郵政公社に絡む問題では、郵貯、簡保なら私が委任するんです。内閣総理大臣に委任して、そこで金融庁がやって、これは委任で、我々もやれるんです。金融庁もやれるんですよ。ただ、我々の方で金融庁にお願いをして金融庁にやってもらって、その結果を我々が受け取っていく、こういうことを考えておるわけであります。それから、日銀の方は、現在の国庫預託金口座にかえまして、日銀当座預金口座の利用を考えておりますので、その場合には、契約で日銀の考査を受ける。向こうとしては、口座を開く以上、しっかりした事務処理や機動的な資金繰り等、業務の状況等についてこれは承知していたいと。ほかの特殊法人も似たようなことになっておりますが、この日銀の考査もやっていただく。もちろん、まだ契約はこれからでございますし、公社ができてからの話でございますけれども、そういうふうに今考えております。〇玄葉委員 それと、先ほども議論が出ていたんですけれども、出資規定ですね。これは中間報告に盛られていたんですが、なくなりました。これはどうしてですか。
〇片山国務大臣 一つは、事務的に各省といろいろ協議しているのに時間がかかりまして、法案を出すまでに間に合わなかったということと、どういうものにどういう形で出資するかを事務的に詰めてから、こういうふうに厳重に考えておりましたのが、これも時間がなかったということでございまして、我々としては、法案の中には入れておりませんけれども、出資をしないという考えでは必ずしもないんです。今後の検討課題としてこの出資問題は検討いたしたい、こう思っております。
〇玄葉委員 私は、ラ・ポストとかは国営だけれども出資しているというんですけれども、一方、例えばドイツなんかでは、民営化した上でそれぞれの企業の買収とかをしているということです。この問題は難しいんですが、ただ、国営である限りはやはり、他の民間企業の仕事を奪う、あるいはまたファミリー企業の云々という話になっちゃう、あるいは天下りという話にもなっちゃうので、かなり慎重に考えなきゃいけないだろうというふうに私自身は思っています。最後に、固定資産税二分の一相当額を市町村に納付金として納めるということに公社はなっているようでありますけれども、これはいわば固定資産税の代替的な性格があるんだろうというふうに私は理解をしていますが、そうなると、国庫納付金というのはどういう性格だというふうに考えたらいいんでしょうか。それによって私は払う額なんかも変わってくるんじゃないか、そう思いますけれども、どうですか。
〇片山国務大臣 固定資産税につきましては、固定資産の価格の二分の一を算定標準額として納付しようかと。これは、旧三公社が、旧公社が同じ扱いでございましたので、いろいろ検討いたしまして、旧三公社と同じ扱いにしたらどうだろうか、こういうふうに思っております。国庫納付金は、特殊法人等で国庫納付金を払っているところもありまして、財務省の方が、払ってほしい、こういう御要請がございまして、我々も検討して、特別の法律に基づいて公的な保護を受けていると。預金保険料がどうだ、支払い保証がどうだということじゃありませんけれども、そういうことでございまして、中長期的に、経営にゆとりができて国庫納付できるような状況なら、そういう意味では、いろいろな公的な保護を受けているわけですから、一定の国庫納付を行うということもあるなと。ただ、あくまでも公社の経営の状況を勘案しなければなりませんし、いろいろな状況を全部カウントした上でと、こういう条文にさせていただいて、具体的には政令で定める基準で払おう、こういうことにいたした次第でございます。
〇玄葉委員 ある程度性格を、思想というのかな、やはり必要だろうと思うんですね。これは保証料なのか、いわば法人税にかわるものなのか。だって、市町村の納付金は、基本的に固定資産税の代替的性格だと、いわゆるそれはもう認識が、コンセンサスが得られていると思うんですけれども、この性格、法人税あるいは保証料、こういうふうに基本的には考えていっていいんですか。
〇片山国務大臣 恐らく財務省の考えとしては、法人税見合いとか、保証料や、民間の金融機関の預金保険料というのがありますよね、そういうことが念頭にあるのかもしれませんけれども、それに必ずしも直接リンクした議論じゃないんです。先ほど言いましたように、やはり特別の法律でつくられる法人であり、しかも公的な保護を、支払い保証を含めてあるので、そういうことについて、国庫納付してほしい、こういうことでございまして、法人税見合いがどうだとか、預金保険料見合いがどうだとか、支払い保証見合いがどうだ、そういう議論じゃございませんので、トータルとして、我々は、経営にゆとりが出てくるなら国庫納付を検討したい、こういう考えでございまして、ひとつ御理解を賜りたいと思います。
〇玄葉委員 もう時間が終わっておりますので終わりますが、ただ、私はやはり、信書便法案が特に改革の本丸のような扱いをされているんですけれども、そういう意味での改革の本丸扱いというのはとても何か違和感があるというか、この四法案は、果たして小泉さんにとって、仮に成立しても胸が張れるような法案なのかというと、やはり甚だ疑問だということだけ最後に申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。