鳩山政権5ヶ月(政調創設論について)
政権交代によって大きく変化した点は、以下の点であることは、以前述べた。
①情報公開、②税金の使いみち、③政権運営システムの3点である。
このうち③の政権運営システムの変化については、「政と官」関係、「政府と与党」関係、
「政府と国会」関係があり、それぞれに、政治主導、政策決定の一元化、熟議の民主
主義のための試みが行われ、道半ばであるが、一定の前進が見られる。
今回取り上げるのは、「政府と与党」関係である。
鳩山内閣は、政権発足に伴い、政策決定について内閣に一元化する方針を打ち出した。
何ゆえ一元化か。
かつての自民党政権における政策意思決定は、政府に対して党の力が相対的に強く、
権力の二元構造と呼ばれた。その結果、必要以上に時間がかかりスピード感に乏しかったり、責任の所在があいまいだったり、何よりも族議員が跋扈したりといった弊害があった。それらを改革するものとして導入され、私も当初から一元化を支持している。
問題は、一元化の名の下に、政調会長及び政調組織が廃止されたことである。一元化の肝は、各法案について、各部会(かつての民主党なら各部門会議)での厳格な事前了承制度をなくすことである。それさえできれば一元化の目的は達成する。一元化はすなわち政調組織を廃止することではない。
例えば、地方分権調査会、社会保障制度調査会、外交安保調査会など各調査会がなくなり、党における中長期テーマでの議論の蓄積がなくなりつつある。各テーマについての知見を蓄積し、次のマニュフェストに活かしていくことは、持続可能な政権政党に成長するための最低限の必要条件である。中長期テーマについての議論を蓄積する場をつくるべきである。各調査会を束ねるのは、一元化の観点からいえば、政調会長兼務の無任所の国務大臣か、国家戦略担当大臣か、官房長官または副長官であるべきなのだろう。
通常の法案審査の方法は、厳格な事前承認を伴わなければ、政策会議だろうが、部会(部門会議)だろうが、さまざまな工夫を積み重ねていけばよい。試行錯誤が
あるのはむしろ当然である。厳格な事前審査を行わないのだから、国会においては、時に与党修正があってよい。
当面、マニュフェストの修正(見直し・再調整)論議が大切である。4月は、多くの国会議員がその論議に参加し、闊達に発言し、最後はまとまるという民主党の姿を示さねばならない。