今年になって鑑賞した映画は、『レ・ミゼラブル』(トム・フーパー監督)、『渾身』(錦織良成監督)、『ライフ・オブ・パイ』(アン・リー監督)、『遺体』(君塚良一監督)『アムール』(ミヒャエル・ハネケ監督)、『リンカーン』(スティーブン・スピルバーグ監督)。
『遺体』について一言。
3.11からの10日間の遺体安置所での出来事を映画化した作品。ご遺族の心情を考え、劇化は「迷った」(監督及び主演の西田敏行さん)という。
私もその思いは痛いほどよくわかる。しかし、今の日本のテレビ映像に遺体の映像が残ることはない以上、映画には「伝える」責任があるだろう。東日本大震災の厳しくもかけがえのない一断面である。
主人公である地区の民生委員が、ご遺体をいつくしみ、語りかけ、硬直した体をさすりほぐしていく。ひとりひとりの尊厳を重んずる日本人のあるべき姿をみるようだ。こうした報道で伝えられていない無償の行為が無数にあることに思いを馳せたい。
同時に現実は伝えられる以上に過酷である。
正月以降、被災地を歩き続けている。南相馬市で両親と2人の子を失った男性と会った。
父と当時3歳の息子は今も見つかっていない。彼は私をにらみ続けながら、「知っていますか。3.11から1か月、ここには自衛隊も警察も誰も助けに来てくれなかった。原発が近いから」と語った。彼は2年たった今もなお海辺を探し続けている。
こうした現実を私は知らねばならない。
|