『エール』 (仏)エリック・ラルディゴ監督、ビクトリア・ベドス原作、ルアンヌ・エメラ
『ターミナル・起終点駅』 藤原哲夫監督、桜木紫乃原作、佐藤浩市、本田翼
『ハッピーエンドの選び方』 (イスラエル)シャロン・マイモン、タルグラニット両監督
『杉原千畝』 チェリン・グラック監督、唐沢寿明、小雪
「エール」は、2015年鑑賞作品の中でベスト。
クライマックスの内容、そこに至るプロセスなど素晴らしい。「パリで歌手になりたい」という娘の夢に対して、聴覚障害を持つ両親の向き合い方が感動的。最初は反対だった父が、娘の喉に手をあてその歌声を確かめ、受験させる決意をするシーンなど忘れられない。音楽教師が良い調味料になっている。障害を個性だとして明るく扱っているのもいい。
「ターミナル」は、心が温まる物語。「はつ恋」(藤原監督作品)もそうだったから監督の持ち味か。佐藤浩市さんの演技がいい。「愛を積む人」でもみせた奥行きのある演技が光る。
「ハッピーエンドの選び方」は、 イスラエルの有料老人ホームで、 安楽死をめぐり繰り 広げられるユーモア交じりのドタバタ劇。作品は安楽死を肯定的に捉えている。私自身父親の胃ろうと向き合った直近の経験などから延命治療、尊厳死、さらには安楽死について改めて考えさせる機会となった。またこの作品鑑賞をきっかけに、古今東西各 著名人の最期を描いた奇書『人間臨終図鑑(上・中・下)』(山田風太郎著)を読んだ。
「杉原千畝」は、当初の想像より良い出来。杉原千畝氏の存在はもっと世に出てよい。リトアニアの記念館を訪問したことがあるが、記念館維持の財源が不足しておりなんとかできないものかと考えている。ただこの作品、見せる工夫が過ぎてしまい美化されすぎている面もあるかもしれない。
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