2018年2~3月の映画
☆の数は5つが満点 ・「リバーズエッジ」 ☆☆☆☆ 行定勲監督 岡崎京子原作 瀬戸山美咲脚本 二階堂ふみ、吉沢亮
・「スリービルボード」(英米) ☆☆☆☆ マーティン・マクドナー監督、フランシス・マクドーマンド
・「ウインストン・チャーチル」(英)☆☆☆ ジョー・ライト監督、アンソニー・マクカーテン脚本、ゲイリー・オールドマン
・「リバーズエッジ」~(「端」という意味のエッジではなく、)エッジの効いた強い印象を残す作品。高校生は多感で危なっかしい。いつの時代も多かれ少なかれそうだろう。現代社会(といっても20数年前が原作の舞台であり、固定電話を使うシーンが懐かしい)に潜む残虐性や心の空白を表現することに果敢にチャレンジしているように思う。 “平坦な戦場”も時代によってその度合いは違うだろう。現代の高校生たちがどう感じるのか聞いてみたい。二階堂ふみが相変わらずの堂々の演技。 ・「スリービルボード」(Three billboards outside Edding Missouri)~犯罪サスペンス。予想しない展開となるストーリーテラー。小さな田舎町で闘い続ける母親を演じたマクドーマンドの演技が上手い。引き込まれる一本。 ・「ウインストン・チャーチル」(Darkest Hour)~1940年5月、ヒトラーの勢力拡大が凄まじい中、チェンバレンの後任の首相に就任したチャーチル。宥和か徹底抗戦かで苦悩した就任直後からダンケルクの戦いまでの27日間に焦点を当てた話題作。 アカデミー賞でゲイリー・オールドマンが主演男優賞、日本人メイクアーティスト辻一弘がメイクアップ賞受賞。さすがに3回の演説の場面などは秀逸。 チャーチルのエピソードや習癖、すなわち3度の食事ごとの酒、美食家、1日平均15本の葉巻などもしっかり取り込まれている。 ドイツ軍が破竹の勢いでイギリスの海岸に迫る中、チャーチルは徹底抗戦を主張し、次期首相候補といわれたハリファックス外相は和平交渉を主張する。大量に戦死者を出すとわかっていながら戦い抜くことを決意したチャーチルの葛藤や苦悩は筆舌に尽くしがたいものだったに違いない。それでも強気を通すことができたのはなぜか?それは26歳からの議員・閣僚経験や若い頃から精読したといわれる歴史書などから得た透徹した洞察力からくるものと思われるが、そのことが映画ではあまり表現されていないことが物足りない。欲張りすぎだろうか。 ちなみに、チャーチルは公爵家で生まれたが、幼年時代から暴れん坊だったと伝えられ、士官学校には二度落ちたという。しかしながら、26歳で保守党から下院議員に当選、4年後に自由党に移り、33歳で海軍大臣。さらに20年後保守党に戻り大蔵大臣。55歳で一旦引退。10年間文筆と画三昧の生活を送り、1939年海軍大臣。1940年映画にあるように首相になる。 さらに第二次世界大戦後の総選挙に敗れ、首相を退くが、1951年再び首相へ返り咲く。89歳まで下院議員を務めた。
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