2018年4~6月の映画
☆の数は5つが満点 ・「娼年」 三浦大輔監督、石田衣良原作、松坂桃李 ☆☆☆ ・「ラプラスの魔女」 三池崇史監督、桜井翔、広瀬すず、東野圭吾原作 ☆☆ ・「ゲティ家の身代金」 リドリー・スコット監督、ミシェル・ウイリアムズ ☆☆☆☆ ・「万引き家族」 是枝裕和監督、リリー・フランキー、安藤サクラ、樹木希林 ☆☆☆☆☆
「娼年」~リアルなセックスシーンの連続で食傷気味になる。目を背けたくなる場面もある。古今東西あったと思われるあらゆる人間の欲望や性癖を生々しく表現している。男の娼夫を赤裸々かつ堂々と描き、女性の支持が多いのも現代社会の一断面だと思う。 「ラプラスの魔女」~物足りない。テレビドラマで十分な内容。唯一心に残ったセリフが「未来がわからないからこそ夢が持てる」。ゆえに主人公の魔女のように特別な能力がないほうが幸せだという趣旨なのだが、ラプラスの魔女は物理現象が予測できるということだけなので、未来全体はとても予測できないはず。どうもチグハグな感じ。 「ゲティ家の身代金」~世界一の大富豪の孫が誘拐され大金を要求された実話を土台にした作品。スリリングなストーリーで最後まで飽きさせない。大富豪役のケビン・スペイシーのスキャンダルで再撮影となりクリストファー・プラマーが代役。急きょの登板なのに大したもの。大富豪に守銭奴が多いのは、皆カネ目当てに近寄ってくると疑心暗鬼になることとも無関係ではないだろう。金持ちの中にあってはカネの有効な使い方を知っている人こそ人物といえるだろう。 「万引き家族」~カンヌ映画祭パルムドール賞受賞作品。日本作品が受賞したことが誇らしい。家族の絆もいろいろで、犯罪でつながる、血のつながらない家族でも人間本来の優しささえあれば温もりのある幸せを築けることもあるのだと、家族のパターン化したとらえ方に一石を投じているかのようだ。榎本明演じる駄菓子屋のおやじの万引きを試みる子供たちへの情け深いふるまいが光る。ここから局面が転換し、小学校にも通わせてもらっていない少年は家業である万引きに疑問を持ち始め、自分の意思で別の道を歩み始める。年金の不正受給、一部女子高生の実態、大人になりきれないだらしない父親などいずれも現代日本の一断面を切り取っている。 |
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