原子力問題特別委員会で質問に立ちました。(令和元年11月28日 議事録)
○玄葉委員 玄葉光一郎です。 立国社共同会派に所属をしております。 福島の出身ということもあって、質問の機会をいただいたということでございます。三・一一のときは被災地の出身では唯一の閣僚でございましたので、そういう意味でも、福島の復興には重い責任があるというふうに考えております。限られた時間なので、答弁をできるだけ端的にお願いできればというふうに思います。聞きたいことがたくさんあるものですから、よろしくお願いをしたいと思います。
まず、最近特に気になったのは、更田さんが記者会見で、F1の、福島第一原発の廃炉の現場に人が足りているのか、こういう指摘をされたことであります。 言うまでもないことですけれども、F1の廃炉というのが福島の復興の大前提、安定かつ着実な廃炉が大前提なわけです。実は、私もそのことはずっとこの間気になっていて、私のところにもいろんなルートから大丈夫かという話が入ってきています。東電の幹部が来室をされた際などには、足りているのかということを聞くんですけれども、足りていますと東電は言うんですね。本当なのかなというふうに、はっきり言って思っているのですよ。 東電副社長、来てもらっていますけれども、大丈夫ですか。
○文挾参考人 お答え申し上げます。 このたび、福島第一でのミスやトラブルにつきまして御心配をおかけしておりますことにつきまして、改めておわびを申し上げたいと思います。 現在、ミスやトラブルというものが発生してございますけれども、これは人手不足が直接的な原因ではなくて、例えば、当社が現場で確認すべき作業を書面のみでの確認で済ませてしまったということや、あるいはルールの周知徹底の現状を現場で直接確認していなかったということなどによりまして起こっているというふうに認識してございます。運営とかマネジメントの問題ではないかというふうに考えております。 ただ、いずれにいたしましても、先生御心配のとおり、当社といたしましては、そのミスやトラブルの原因究明と再発防止、それと適正な人員確保等に対しまして、改善等について更に検討してまいりたいというふうに思います。
○玄葉委員 後で更田さんにも聞きたいとは思いますけれども、初歩的な管理ミスが続いているように思いますし、実は続く前から、そういう情報、結構内々から入ってきたりするんですね。本当に副社長の耳に入っているのかどうか、本当に現場の意見が。 やはりここは、もう一回、国会で指摘されたことを受けて、あるいは更田委員長が記者会見で述べたことを受けて、足りているのかどうかというのは真摯に考えてもらいたい、本当に廃炉の現場は大事ですから。あわせて言うと、廃炉の現場に余り東電のコスト削減プログラムを私は持ち込んでほしくないという立場なんです。 つまり、新々・総合特別事業計画とやらで、当然コスト改善が必要だというのは言うまでもないことです。だって、今まで資材調達とか大甘だったから、はっきり申し上げて。だから、コスト改善が必要です、だけれども、本当に削減すべきじゃないところを削減していったりすると大変なことになる。いや、削減すべきところは大いに削減してください。ただ、心配しているのは、何か、火事が続いているのに消防の水を節約しろというようなことがあってはならないということなんですね。 これも結構、現場は、私、いろんな意味で圧力を感じていると思いますよ、そういう情報が入ってきますから。だから、こういうことにかけては、きちっとかけるところはかける。しかも、ロボットの開発とか技術の開発とかあるんですから。 大丈夫ですか、副社長。
○文挾参考人 お答えさせていただきます。 現在、先生御指摘のとおり、当社は改善活動に取り組んでございますが、これは無駄をなくして安全と品質を向上させる活動であるというふうに認識しております。したがいまして、無理な費用削減というのは行っていないというふうに考えております。 今後も、廃炉等積立金制度に基づきまして、廃炉に必要な費用を確保しながら、必要な投資は確実に行ってまいりたいというふうに思います。御理解の方、よろしくお願いいたします。以上でございます。
○玄葉委員 要は、廃炉現場のコストについては余りけちけちしないでほしいということなんですよ。ですから、人手が現場で足りないなら十分な人手を確保してほしいし、あわせて、何といっても廃炉の現場を最優先してほしい、安定的な廃炉が大前提でありますから。更田委員長、一言ございますか。
○更田政府特別補佐人 お答えをいたします。私は、率直に言って、人手不足をとても心配をしております。 ここのところ続いている東京電力のミスといったものは、もちろん、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業というのは、極めて困難な、技術的な困難なものに取り組んではいます。しかし、ここのところ起きている、続いているミスは、技術的な困難によるものではなくて、初歩的なミスや連絡ミスによるものです。現場を見に行かないで書類確認で済ませた、このこと自身、現場は忙し過ぎるんじゃないか、疲弊しているんじゃないかということの兆候と見るのが自然ではないかと思っています。 そういった意味でこそ、私は、本当に人手が足りているのかどうか、これは、廃炉カンパニーだけの問題ではなくて、東京電力ホールディングスに問うていくべきだというふうに認識をしているところであります。
○玄葉委員 すごく大事な指摘だと思うし、更田委員長がやはり声を大きくして、しっかり監視をし、指摘をしてほしい。 私も、何か狭い世界で見ちゃっているんじゃないかという気がしてしようがない。しかも、同時に、もっと言うと、きちっと現場まで入って見ていないんじゃないかという心配をしていますので、しっかりこの機会にチェックして、素直に、足りないなら足りない、新しく確保してほしい、そう思います。 その次、今度は、今はいわば東電に対する一種の応援でもあるんですけれども、原電支援の問題であります。私は、これは率直に申し上げて腑に落ちない。 先月、東京電力が東海第二原発に二千二百億円の資金支援を決定した。その理由を説明してください、端的に。
○文挾参考人 お答え申し上げます。 当社の最大の使命は福島への責任の貫徹であるというふうなことは十分認識しております。そのためには、競争しながら稼いで、長期的に資金を確保していかなければいけないということが必要であります。 東海第二からの受電というものにつきましては、お客様に低廉で安定的かつCO2の少ない電気をお届けするための競争電源であると判断をしたということでございまして、そのために、今回、資金の協力というものを決定したものでございます。 以上でございます。
○玄葉委員 本当に競争電源になるのかどうか。 まず、再稼働、見通しは明るい、そういう判断をされているということですね、東海第二は。
○文挾参考人 東海第二につきましては、今、安全対策の工事を鋭意進めているところで……(玄葉委員「再稼働ね」と呼ぶ)失礼しました、再稼働までの安全対策の工事を進めているというところでございます。 これは、これから原電がしっかりとその工事に取り組むということでございまして、当然ながら、再稼働をするためには、地元の御理解というのが大前提でございます。この地元の御理解につきましても、原電を始め東電も協力して取り組んでございますので、それにつきましては、今後課題が出てくるかもしれませんが、鋭意取り組んでまいりたいというふうに思います。
○玄葉委員 率直に言って見通せていないと思います。結果として、買う電気の料金は高くなるんじゃないかなと。これは幾らを想定していますか。
○文挾参考人 それでは、お答え申し上げます。 大変恐縮でございますけれども、単価が幾らというのは、これは競争電源でございますので、競争上申し上げるわけにはいきませんが、ただ、経済性を判断するに当たりましては、将来の市場価格がどうなるのかということと、我々が現在結んでおります火力電源、相対契約の電源と差しかえてどうなるのかというのを鋭意検討いたしまして、経済性があるというふうに判断したものでございます。以上でございます。
○玄葉委員 相当高くなるはずであります。 だから、私が心配しているのは、きょう冒頭申し上げたように、私は福島の復興というのが一番大事だと自分で思っているので、結局、このことが結果として、廃炉のコストとか賠償とか、さらには電気料金とか、そういったことに悪影響を与えるんじゃないか、そういう心配をしているわけです。 絶対に悪影響を与えないと、ここで断言してもらえますか。
○文挾参考人 お答え申し上げます。 東京電力は、今、新々・総合特別事業計画に基づきまして再建を進めているところでございます。 この電源も、競争電源として、稼ぐ電源として認識しておるところでございますので、現時点では、廃炉、賠償に影響しないというふうに考えてございます。以上でございます。
○玄葉委員 東電ばかり責めてもしようがなくて、実際は国だと思います、現実は。国が原電をどうするかという抜本的な解決策を出さないと、こういう一時しのぎというか、状況を糊塗する、そういうことが続くんだろうと思います。 経産副大臣は、この原電支援についてはどうお考えですか。
○村瀬政府参考人 お答え申し上げます。 国といたしましては、東京電力に対し、これまでも、福島への責任を貫徹するということを第一に、根本に据えるように指導してきているところでございますし、また、こういった個別の経営判断についても、想定されるリスクも十分に勘案した上で判断を行うよう指導してきているところでございます。 これを踏まえて、今回、東京電力は、低廉で安定的かつCO2の少ない電気を需要家に届けるために必要な電源ポートフォリオを実現する観点から、経済性や再稼働に向けた対応の進捗状況も総合的に勘案した上で適切に判断し、これを競争電源、相対的に有利な電源と判断したというように聞いているところでございます。 引き続き、福島への責任を貫徹するということを第一に、しっかりと指導してまいりたいと考えてございます。
○玄葉委員 結局、国の方針に事実上従ったということなんだと思うんですけれども、どこかでこの原電の問題というのは、やはり国家としてどうするかということを判断していかなきゃいけないなと。今の状況は本当に糊塗しているだけだと申し上げておきたいと思います。 時間がなくて、最後に、本当は一番やりたかったのは処理水の問題なんですね。まあ、汚染水、原発処理水なんですけれども。 まず、一つ確認しておきたいのは、これは千基ぐらい林立しているわけですね、F1に。更田委員長のお考えなんかも時々お聞きをしております、明確だと思いますけれども。経産省に確認をしたいのは、海洋放出とか水蒸気で放出するとかあるいは長期保管とかいろいろあるんですけれども、海洋放出の場合、福島沖以外というのはあり得るんですか。福島沖以外、よく大阪でとかいろんな議論があるんですけれども、その選択肢をとったときにどんな問題があるんですか、整理をしていただきたい。
○牧原副大臣 そうした問題を含め、今、政府の小委員会で総合的に議論しておりますが、前提として、まず、廃棄物の海洋投棄を規制するロンドン条約というのがございまして、これによって、これは処理水も含むんですけれども、海洋放出というのはタンカーなどから直接海に行うということはできないということでございます。したがって、まずどこか陸上に保管施設を設置することが必要になります。こうした保管施設を置くためには、そうした自治体や関係者等の御理解や原子力規制委員会による設置許可が必要になります。 また、タンカーやその他、パイプラインでもいいんですが、大量の処理水を移送する場合には、運搬時の漏えい対策を含む運搬方法の検討や運搬ルートの自治体の理解を得るということが必要になるという課題が示されているところでございます。 こうした課題を含めて検討しているということです。
○玄葉委員 海洋放出の場合は、結局、運搬とか保管という問題があるということをやはりはっきりさせておかないと、ちょっと幻想を抱かせちゃうので、そこはしっかり言ってほしいというふうに思います。その上で判断をしていかなきゃいけない。 それで、きょう最後に、もう時間がないので、改めて申し上げておきますけれども、この問題に関しての全ての情報、悪い情報も含めて、絶対に隠さないで全てをテーブルに並べて判断をしないといけません、当たり前ですけれども。でも、このことがとても大事になります。議論の大前提、判断の大前提でございます。 どうしても隠しちゃうというところがあります。トリチウム以外の核種が基準値以上で残っているなんということも、僕らは国とか東電から聞くわけじゃないわけですよね、メディアから聞くわけですよね。これはやはりよろしくないでしょう。不信感増幅になるんじゃないですか。 絶対に悪い情報も含めて隠さないということを、経産省、約束してください、東電も約束してください。
○新川政府参考人 お答え申し上げます。 処理水の取扱いに関する検討を含めまして、廃炉・汚染水対策を進めるに当たっては、地元の皆様の不安を払拭し、国内外の理解を得ていくことが必要でございます。 そのためには、御指摘のとおり、対策の検討に必要な情報、作業の進捗状況、周辺環境の情報など、あらゆる情報を適切かつタイムリーに発信していくことが重要であると認識をしております。
○玄葉委員 都合の悪い情報も含めて、絶対隠さないと約束してください。
○新川政府参考人 処理水の取扱いに関する検討に当たっては、政府の小委員会において、処理水の性状などさまざまな情報をオープンにしながら検討を進めております。また、東京電力は、ALPS処理水の濃度に関するデータについてもホームページで全てのデータを公表しております。 今後とも、より丁寧な情報発信を意識し、廃炉・汚染水対策を進めていきたいと考えております。
○玄葉委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。