2022年の鑑賞映画
☆の数は5つが満点 *「決戦は日曜日」 ☆☆☆ 坂下雄一郎監督、窪田正孝、宮沢りえ 選挙を茶化しているだけかと思いきや、意外に本質をついている。 議席が既得権益化しているさまを面白おかしく描く。 宮沢の演技素晴らしい。ベテラン秘書役の小市慢太郎がいい味出している。
*「再会の奈良」 ☆☆ ポンフェイ監督、國村隼、エグゼクティブプロデューサー:河瀨直美、ジャ・ジャンクー ジャ・ジャンクー作のかつての「罪の手ざわり」が凄い映画だったので期待が膨らんだが、期待外れ。 河瀨さんの相変わらずの奈良愛を感じるも、残留孤児というテーマを映画としてもっと掘り下げ、見ごたえあるものに仕上げてほしかった。
*「余命10年」 ☆☆☆☆ 藤井道人監督、小松奈菜、坂口健太郎、原作:小坂流加 古今東西泣ける題材で、容易に感情移入してしまう。 最初と最後に桜の花びらが舞うシーンあり印象的。 2人の若手俳優好演。監督は35歳。
*「親愛なる同志たちへ」(露) ☆☆☆☆☆ アンドレー・コンチェロフスキー監督 1962年のソ連南部で起きた実際の出来事を扱っている。 脚本よく、展開が巧みで名作といえる。 舞台はウクライナからさほど離れていない町。ノヴォチェルカッスク。かつてのドン・コサック軍の首都。隣接するのはドネツク・ルハンスク(ウクライナ東部)。
*「マイスモールランド」 ☆☆☆☆ 川和田惠真監督、嵐莉菜、奥平大兼 30代前半の監督の日本の入管制度へのストレートな問題提起。 難民認定率1%未満の日本。何故映画に登場する4人が難民認定を受けられないのか。私自身のこの問題へのこれまでの取り組みが甘かったことを反省させられた作品。
*「香川1区」 大島新監督 まとめ方、見せ方上手い。小川さんの娘さんの言葉に泣かされた。 未来の政治への希望を感じさせてくれる。
*「犬王」 ☆☆ 湯浅政明監督、原作:古川日出男、森山未来、アヴ 斬新で革新的。サーカス、ロック、スピリチャル融合で破天荒。 当時の新しさを表現したと思うが自分は苦手。
*「トップガン、マーヴェリック」 ☆☆☆☆ ジョセフ・コシーンスキー監督、トム・クルーズ ご存じのスカイアクション娯楽映画。大学4年生時の「トップガン」の続編。スタジャン着て歩いていた青春時代を思い出す。
*「シンウルトラマン」 ☆☆☆☆ 樋口真嗣監督、脚本:庵野秀明、斎藤工、長澤まさみ 1966年の円谷監督「ウルトラマン」も上映。50年前としてはかなり斬新で画期的。 さすがに特撮技術は進歩した。懐かしい。好作品。
*「わたしは最悪」 ☆☆☆ ヨアキム・トリアー監督、レテーナ・レインスヴェ いかにも北欧+仏風。自由で開放的で少し退廃的。オスロの夏に風景がいい。これはこれでいいかなという感じ。
*「長崎の郵便配達」 ☆☆☆ 川津美香監督、イザベル・タウンゼント 谷口さんという市井に生きるひとりの郵便配達人の被爆体験を通じて、長崎の被爆の実相の一端を描く。原作は元空軍パイロットの英国人。彼なりの贖罪なのだろう。彼の娘が長崎を訪れ、大好きだった父の足跡をたどる。 谷口さんは、子に遺伝しないか心配だったこと、被爆直後ののどの渇きで葉にたまった雨(大量の放射能含まれていたはず)を飲んでいたことなどを語る。東日本大震災での低線量被ばくにかかわる苦しい葛藤を思い出した。
*「人質、韓国トップスター誘拐事件」 ☆☆☆ ピル・カムソン監督、ファン・ジョンミン それなりに面白い。展開のテンポ、カーチェイスの迫力、スリリング度、90分という上映時間などに韓国映画の水準の高さを感じる。但し、精緻さや深みのある作品ではない。
*「夜明けまでバス停で」 ☆☆☆☆+☆半分 高橋伴明監督、脚本:梶原阿貴、板谷由夏、片岡礼子 90分という短さなのに見応えあった。 共助・公助の道あるのに自助にこだわりホームレスとなった主人公。彼女を通して「自己責任」うたう政治への痛烈な批判あり。風刺効きすぎて好き嫌いあると思うが、考えさせる作品だ。タッチが巧妙、ラストは実際とは違うがこれでいいと思う。 コロナ過の東京を良い映像で残してくれた。
*「チケット・トゥ・パラダイス」 ☆☆☆☆ オルパーカー監督、ジュリア・ロバーツ、ジョージ・クルーニー 楽しい作品。コメディタッチでテンポが良い。バリの風景も和ませる。 娘のスピード婚止めようとする元夫婦。主役ふたりの魅力が光る。
*「あちらにいる鬼」 ☆☆☆+☆半分 廣木隆一監督、原作:井上荒野、脚本:荒井晴彦、寺島しのぶ、豊川悦司、広末涼子 大人の物語。若い人が共感するのには無理がある。 作家である井上の女性関係は破茶滅茶。愛人が自殺未遂してもヘッチャラ。うそをつくのも兵器の精神構造。そんな井上と心が通じ合ったふたり~妻と瀬戸内寂聴ことみはる~のなんとも奇妙な同志的関係。鬼はだれだろう? 寺島は相変わらずの本気の演技。井上役は豊悦だから許せた人も多いだろう。
*「ラーゲリより愛を込めて」 ☆☆☆+☆半分 瀬々敬久監督、原作;辺見じゅん、二宮和也、北川景子、松坂桃李 シベリア抑留者、山本幡男さんの伝記ドラマ。 二宮ら人気俳優が出演とあって会場は若い人が多かった。シベリア抑留とは何だったのか、戦後77年、いまや生き証人がいない中、戦争の悲惨さを含め後世に伝えるよい機会。 山本幡男の生き方、子どもたちへの遺書にあるように道義を通した生涯だ。無名の一兵卒にこのような人達が確かにいた。遺書を記憶して遺族に伝える場面ではさすがに泣けた。 |