安全保障委員会で質問に立ちました。(令和5年3月9日 議事録)
○玄葉委員 おはようございます。玄葉です。 まず、日韓、特に旧朝鮮半島出身労働者問題についてでありますけれども、その前に林外務大臣に、韓国に対する日本の基本的な姿勢、基本的な考え方というものを伺いたいというふうに思います。重要な隣国である、こういうふうに政府は度々おっしゃっているわけでありますけれども、何が具体的に重要だというふうに考えているのか、まずそのことをお聞かせください。
○林国務大臣 日韓は、国際社会における様々な課題の対応に協力していくべき重要な隣国であります。特に、今の戦略環境を踏まえますと、日韓、日米韓で緊密に連携していくことの重要性、これは論をまたないと思っております。 昨年十一月に日韓首脳会談におきまして、両首脳間で、北朝鮮問題、また、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて連携していくことを確認をし、また、旧朝鮮半島出身労働者問題に関しても、ニューヨークでの両首脳の指示を受けて外交当局間の協議が加速しているという状況から、この間の発表につながったわけでございます。 国交正常化以来築いてきた友好協力関係の基盤に基づいて、しっかりとこの日韓関係を発展させていきたいと考えております。
○玄葉委員 韓国の、いわば林外務大臣の中での位置づけというか、あるいは日本外交の中の位置づけというのは、やはり、時々の外務大臣、あるいは時々の総理で変わる面があると私は思っています。重要な隣国であることは多分どの政権でもほとんど変わらないのですけれども、人によっては、重要な隣国以上の存在だと考える政権もあれば、逆に、そうでないと本音ベースでは思っている政権もあるかもしれません。 私は、韓国というのは、今もお話もありましたけれども、かなりの程度価値観を共有する、米国とも共に同盟国だというふうに思っていますし、東アジアの将来の秩序というのは日韓の協力なしではあり得ないとさえ私は思っているんです。 もっと踏み込んで言えば、本来だったら日米豪韓ぐらいの、一種の戦略的な四角形を形成すべき、その一角になるべきくらいの国ではないか。 要は、何が言いたいかというと、私は、重要な隣国以上の国という位置づけを私の中では実は持っているんですけれども、林外務大臣はどういう御認識ですか。
○林国務大臣 玄葉委員と余り違ったことを申し上げているつもりはないわけでございますが、先ほど申し上げたように、今までも隣国として大変大事な国であったことは論をまたないわけですが、特に、安全保障環境が現在のような状況になってきている中で、日韓、日米韓の戦略的連携を強化するという意味では、従来以上にこの重要性は増してきている。先生がおっしゃったこととそんなに違わないと思っております。
○玄葉委員 慰安婦問題などで度々ゴールポストが動いたり竹島の問題があったりして、根深い懸案というのは間違いなくあるし、感情的なものも両国には横たわっていると思いますけれども、私は、日本として、一般論として申し上げれば、若干包容力を持って向き合う隣国なのかなと。やはり、可能な限り組み込んでいくことが、私たちが望む東アジアの秩序をつくる上で、あるいは対中国を考えた上でも大事なんじゃないか。 私は、自分の言葉ですけれども、時に戦略的寛容が必要じゃないかというふうに思っていて、今回よく原理原則を曲げずに合意したなと思いますけれども、基本的な姿勢として、そういう姿勢で私は韓国と向き合った方がいいと思います。 ですから、冒頭申し上げた言葉で言えば、重要な隣国以上の存在だと思いますけれども、改めて問いたいと思います。
○林国務大臣 まさに、先ほどの繰り返しになってしまうかもしれませんが、我々として、一九六五年の国交正常化以来築いてきた友好協力関係、これがあるわけですから、この基盤に基づいて日韓関係を健全な形で更に発展させていく、これが大事だと思っておりまして、そういう意味で、韓国側と引き続き緊密に協力をしていかなければならないと考えております。
○玄葉委員 もう一言。重要な隣国以上だというふうにお考えですか。
○林国務大臣 重要な隣国であると申し上げておりますので、それ以上というのがどういう意味になるのか、ちょっとなかなかまだ理解をしておらないような状況でございますが、先ほど申し上げましたように、安全保障面、北朝鮮への対応等を念頭に置くと、日韓、日米韓の戦略的な連携を強化していくということの重要性、これは論をまたないというふうに思っております。
○玄葉委員 そこで、元徴用工の問題でありますけれども、尹大統領の考え方、日韓改善に向けた思いが色濃く反映された内容だというふうに思います。 他方で、様々な御指摘があるように、原告団の中でも、韓国の中で、受け入れる家族、受け入れない家族いるようでございます。革新政党の反発もあるようでありまして、確かに、指摘があるように、またゴールポストが動くんじゃないか、蒸し返しの可能性があるんじゃないかということでございます。 今のうちに、何とかゴールポストが動かないような縛りというか、可能な限りの仕組みをつくれないかというふうに思いますけれども、外務大臣はどのようにお考えですか。
○林国務大臣 韓国政府が発表した措置を実施をする保証みたいなものがあるのか、こういう御質問だというふうに理解をしておりますが、韓国政府は今、原告の理解を得るべく最大限努力をする、こういうふうにしております。大事なことは、措置の実施とともに、日韓の政治、経済、文化等のいろいろな分野における交流、これが力強く拡大していく、これを期待をするところでございます。まさに、この措置の実施とともに、この交流が力強く拡大をしていく、これは大変大事なことだと思っております。
○玄葉委員 具体的にどうするかですよね。尹大統領が来日される、そういう報道もございます。恐らくそうなんでしょう。 それで、例えば、経産省は輸出規制の問題で動き出したという報道も聞きます。あるいは、米国からは、安全保障の面で、日米韓の核抑止協議体、拡大抑止の協議体のようなものをつくれないかという働きかけがあるとかないとかという話もございます。あるいは、我々のときというか、もう十年以上前からいろいろ動き出していたGSOMIAがいわば止まっているわけですから、これをどうするかという問題もあると思います。今のうちに、何をどこまでやるのか、包括的な合意にパッケージでしてしまうという考え方は当然あると思いますけれども、いかがお考えでしょう。
○林国務大臣 まさに今回こういう韓国側の発表があったわけでございますので、先ほど申し上げましたように、政治、経済、文化等の分野においての交流の拡大、こういうふうに申し上げました。それぞれの分野でしっかりと交流を拡大させていく、そのことが、健全な形で日韓関係が発展していくということにつながっていくんだろうというふうに思っております。
○玄葉委員 具体的に何か検討しているものがありますか。先ほど申し上げたようなGSOMIAの話であるとか、あるいは、日米韓で拡大抑止の協議体をつくるとかつくらないとかという報道もありますけれども、具体的に検討していることがあれば述べてください。
○林国務大臣 委員御案内のように、GSOMIAは防衛省が中心になってやっていかれる、一般論としてそういうことであろう、こういうふうに思っておりますし、そのこと自体の重要性は私も認識をしておるところでございますが、今、特に何か具体性を持ってこういう準備をしているということを申し上げる段階ではないというふうに思っておりますのと、それからもう一つは、拡大抑止、その報道は承知をしておりますが、今の段階で何か申し上げることは持ち合わせておりません。
○玄葉委員 防衛大臣、GSOMIA、もし何かあれば。
○浜田国務大臣 御指摘の韓国政府の方針についてはまだ承知をしておりませんが、防衛省として、日韓GSOMIAは、日韓間の安全保障分野における協力と連携を強化し、地域の平和と安定に寄与するものと認識をしており、本件に関する韓国側の検討状況を注視をしているところであります。 その上で、北朝鮮で弾道ミサイルの発射を繰り返すなど、現下の厳しい地域の安全保障環境を踏まえれば、本協定が引き続き安定的に運用されていくことがますます重要となってきております。 防衛省としては、本協定の下、今後とも必要に応じて情報共有を行っていく考えでおります。
○玄葉委員 広島サミットがありますけれども、こうなってくると、もう韓国を招待しない理由がない、そういう状況に入ったと思います。当然、韓国を広島サミットに招待して、日韓あるいは日米韓、それぞれ開いたらいいと思います、クアッドも開いたらいいと思います。当然そういう考え方で進んでいくというふうに理解してよろしいですか。
○林国務大臣 サミットの招待国等につきましては、まだ決まっていることはないところでございます。
○玄葉委員 何か韓国を招かない理由があるんでしょうか、教えてください。
○林国務大臣 招かない理由や招く理由という以前に、まだ検討を続けておりまして、何かここで申し上げるような決まったことがないということでございます。
○玄葉委員 私は、招かない理由はないと思いますので、その機会を活用して、先ほど申し上げたように、様々なマルチの会合を、あるいはバイの会合を展開されたらよろしいのではないかと思います。 次に、ちょっと飛ばすんですが、インテリジェンス能力のことに入ります。 政府のこの戦略三文書、安保三文書、熟読いたしましたけれども、やはり足らざるところが幾つもあると思うんです。その中の一つは、例えば、予算委員会でも申し上げましたけれども、海底ケーブルの防護の問題であるとか、原発防護の問題であるとか、様々あると思うんですが、今申し上げることもその一つではないかと思っています。 インテリジェンス能力について、国家安全保障戦略では、情報収集能力の大幅強化、特に、人的情報収集、統合的な形での情報集約の体制整備というふうに書かれています。この問題、外交力とか安全保障において決定的に重要だと考えますけれども、具体策が何も書いていないということであります。 一体、人的情報収集能力強化のために具体的に何をどうするおつもりなのか、統合的な形での情報集約の体制をつくるために具体的に何をどうするおつもりなのか。今、公開情報を共有できないくらい縦割りだと言われているわけでありますが、それらについての具体策を是非お聞かせください。
○林国務大臣 今委員から御指摘のありました、昨年末に決定された国家安全保障戦略でございますが、情報機能の強化について、人的情報、公開情報等、多様な情報源に関する情報収集能力を大幅に強化するなどとされていること、これを踏まえまして、外務省としても、情報機能強化のための予算、人員の充実強化に鋭意努めてきております。 具体的に、予算でございますが、令和五年度政府予算において、国際情報統括官組織については、前年度の約七億五千二百五十四万円から増額をいたしまして、約八億四千百八十五万円、これを計上しております。 これに加えまして、御案内のように、外務省は、世界全体に実館ベースで百五十四の大使館と六十七の総領事館、十の政府代表部を設置して、幅広い情報源、人脈を有しておりまして、外務省の強みであるこれらの在外公館を通じて、日頃から情報収集、分析の強化に取り組んできております。 さらに、インテリジェンスにおける、今お話のありました公開情報でございますが、この活用は極めて重要という認識の下で、令和四年度の補正予算また五年度の政府予算案において、AIを活用した公開情報収集、分析のための新たな予算、これを合計で約三億三千万円計上しております。 国際情勢に関する情報収集、分析能力の重要性、今委員から御指摘があったように、ますます高まっていくと思われますので、外務省としても、引き続き様々な形で情報機能の一層の強化を図ってまいりたいと思っております。
○玄葉委員 果たして今のような予算措置だけでインテリジェンス能力の大幅強化につながるのかというと、私は甚だ心もとないなというふうに思っています。かなり抜本的な改革が必要な面もあるのではないかというふうに思うんです。 それで、もう一つ通告しておりますけれども、日本として、外務大臣、あるいは防衛大臣でもいいと思うんですけれども、本格的な対外情報機関というものを創設するという考え方に対してどのようにお答えするかということをお聞かせをいただきたいなというふうに思います。
○林国務大臣 今お話のありました対外情報機関の設置について、様々な議論があるということを承知しております。 重要なことは、国家安全保障戦略も踏まえながら、外交、安全保障政策を支える有益な情報を政府一体となって収集していくことだと考えております。 我々、こうした考え方に基づいて、政府全体の情報機能の更なる強化に向けて、先ほども触れましたような、在外公館のネットワークが構築してきた人脈、国際情勢分析、こうしたことに関する知見を活用しながら、この対外情報の収集、分析にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○玄葉委員 様々な議論がある、そういうことで流されているわけでありますけれども、この考え方自体、林外務大臣としてどういうふうにお考えになられるかということです。
○林国務大臣 国家安全保障戦略において、国際社会の動向について、外交、軍事、経済にまたがり幅広く正確かつ多角的に分析する能力を強化するため、多様な情報源に関する情報収集能力、これを大幅に強化するとされております。 こうしたことも踏まえて、体制また能力の強化に向けて、政府全体で必要な検討を進めてまいりたいと思っております。
○玄葉委員 私の拙い経験からいっても、かなり、危機管理における有益な情報というのは本当に大事だなというふうに思います。今行われているのは、恐らく、かなりの程度、属人的な情報収集で、すごく得意な人がある国に行って、その国で情報を的確に収集して外務大臣に送ってくるというケースは時々あると思います。でも、これはかなり属人的だ、チームでうまくそれができているという感じではないなというふうに思っているんですね。これを本当にどうしたらいいかということを、もちろん、国民の知る権利とか国会のコントロールとか、そういうこともバランスを取りながらですけれども、やはり真剣に考えなきゃいけないんじゃないか、もうそういう時期に入ってきているんじゃないかと思うんです。 それで、今、外務省に籍だけ置いているというか、CTU―J、国際テロ情報収集ユニットというものが二〇一五年十二月から設置されているというふうに承知していますが、これは、トップは、警察庁、外務省に籍を置きながら、官邸直轄の組織で、百名弱、テロ情報に特化している、秘密工作はやらない、こういうことのようでありますけれども、この組織に対して外務大臣はどういう評価をされておられますか。
○林国務大臣 この国際テロ情報収集ユニット、CTUでございますが、シリア邦人人質事件やパリ連続テロ事件、それぞれ平成二十六年と二十七年でございましたが、こうしたテロ情勢を踏まえて、我が国のテロ情報収集、集約体制の抜本的強化、これが必要であるという認識で平成二十七年十二月に設置されたところでございます。今委員がお話しになっていただいたとおりでございます。 CTU、これは情報関係各省庁の要員で構成されておりまして、その発足後、今お話があったように、官邸を司令塔として、政府一体となって、官邸等の情報関心を踏まえた情報収集、これを精力的に行っていると承知しております。CTUが収集した情報、これが速やかに関係省庁等に共有されて、即座に官邸による意思決定に反映される、そして、関係省庁による分析、国際テロ対策、これに有効に活用されているというふうに思っております。 引き続き、このCTUが精力的に活動することにより、官邸を司令塔として国際テロ情報の収集を行って、また、テロに対する国際連携、これも強化して、テロの未然防止や発生した場合の有効な対処、これにつなげていきたいと考えております。
○玄葉委員 ちなみに、林外務大臣は、例えば、米国、あるいはイスラエルとか英国とか、いわゆる対外情報機関を持っていますけれども、日本はそういう対外情報機関というのを持っているというふうに認識されていますか。
○林国務大臣 CTUでございますが、テロの未然防止及び仮に発生した場合の有効な対処のために設立したものでありまして、対外情報機関、これを新たに設置したものではないというふうに考えております。
○玄葉委員 ですから、現状は、日本には対外情報機関はない、こういう認識だということですね。
○林国務大臣 先ほど、外務省等でやっております活動は御説明したとおりでございますが、委員がおっしゃっている、大きな組織をつくって専門にやっているという意味で何か持っているかということであれば、そういうものはないということでございます。
○玄葉委員 そうだと思うんです。ですから、私は、問題意識として、日本国も、かなり機微な話ではあるけれども、そういうものを真剣に考える時期に入ってきているんじゃないかということなんです。 そのときに、いろいろな手法があり得ると思うんですけれども、一つの方法として、必ずしも私が勧めているわけではありませんけれども、今申し上げたCTU―Jという組織を対外情報機関に発展させるべきだという意見もあるのですけれども、そういう意見について林外務大臣はどうお考えになられますか。
○林国務大臣 先ほど申し上げましたように、対外情報機関、これは政府全体で必要な検討を進めてまいりたいと申し上げました。今委員がおっしゃったことがその検討の対象にならないというふうに申し上げるつもりはないわけでございますが、様々な議論があるというふうに申し上げたとおりでございます。
○玄葉委員 このことについて、私、必ずしも今の政権に強い問題意識があるように思えないというか。本当だったら、戦略三文書、この安保三文書を作るときに、政権に強い意思があれば、恐らくこの問題も具体的に書き込んだんじゃないかというふうに私は考えるんですね。 これは政治の世界だと思います。官僚では書けません。政治がどういうリーダーシップを取るのか、判断するのかということだったのではないかというふうに思っていまして、これは、林外務大臣、是非、このことに対する関心を強く持っていただいて、御検討いただけないでしょうか。
○林国務大臣 大分昔の話になりますが、党の方で、まだ町村先生がお元気な頃に、委員ももしかしたら御存じかもしれませんが、イギリス等に出張までしてそういうことに対する情報収集をやって、いろいろな検討をしたときに私も実は末席におりましたので、こういうことの必要性については十分承知をしておるわけでございますので、少し古くなった私の経験かもしれませんが、改めて、委員からの御指摘も踏まえて、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。
○玄葉委員 是非よろしくお願いします。 それで、反撃能力ですけれども、反撃能力について、私個人の意見はともかく、党としての考え方は、結論だけ言えば、認め得る反撃能力もあれば認められない反撃能力もある、極めて私は現実的な最終結論だと思っているんですけれども、そういう考え方を私たちは持っているわけであります。そして、是非、政府からは、反撃能力の必要性あるいは合理性についてクリアカットな説明をいただきたいということであります。残念ながら、三文書のどこを読んでも反撃能力の必要性についてつまびらかな説明がございませんので、是非、今後、こういった委員会等を通じて分かりやすい言葉で御説明をいただけるとありがたい、また国民の理解も更に進むのではないかというふうに思っております。 それで、度々、今日も出ておりましたけれども、一つは、私は、認め得る反撃能力、大いにあると思っているんですが、ただ、やはり第一撃を日本側が最初に撃つということに対しては極めて慎重な方です。いわば戦争をしかける側に回るリスク、これは度々、私、申し上げていますけれども、やはり大き過ぎるということなんですね。 先ほどもお話ありましたけれども、いわゆる今の軍事技術でなかなか正確に捕捉するのは難しいんだ、だから、基本的には、第一撃を受けて、それで反撃すると。逆に言うと、その反撃能力を持つことで抑止して第一撃を防ぐ、こういうイメージで私は考えておられるのかなと思っているんですけれども。 やはり、基本的に、第一撃というのは、よほどのことがない限り、絶対とは言いませんよ、絶対とは言いません。明らかに日本国を狙って、そして、その狙ったミサイルについて日本国がほぼ確実に撃ち落とせるということだったら、それは別に憲法上も国際法上も認められていますから、明らかだというときはあり得ると思うんですけれども、ただ、普通なかなかそういうことは私はないと思っているので、だから、やはり、そうでない第一撃というのは、基本的に、私たちがこれまで整備してきた、あるいはこれからも整備するであろうBMDで撃ち落とすんだ、もっと言うと、米国の打撃力に頼るんだ、そこの部分は、第一撃についてはと。 原則はそういう考え方だと私は整理した方がいいんじゃないかと思うんですけれども、防衛大臣、いかがですか。
○浜田国務大臣 御指摘の反撃能力の行使に関し、現実の問題として、おっしゃるように、相手方のミサイルの発射、特に、第一撃を事前に察知し、その攻撃を阻止することは難しくなってきていることは事実であります。 こうした状況を踏まえ、国家安全保障戦略においても、ミサイル防衛網により、飛来するミサイルを防ぎつつ、相手からの更なる攻撃を防ぐために、我が国から有効な反撃を相手に加える能力を保有すると記載したところであります。 その上で、具体的な運用については、実際に発生した状況に即して、武力行使の三要件に基づいて、弾道ミサイル等による攻撃を防ぐために、他に手段がなく、やむを得ない必要最小限度の自衛の措置としていかなる措置を取るかという観点から、個別具体的に判断することとなると考えております。 いずれにせよ、第一撃を撃たせないことが最も重要であるところであります。ミサイル防衛網により、飛来するミサイルを防ぎつつ、我が国から有効な反撃を加える能力を保有する、この二つの能力によって、現状に比して、相手の戦略的、戦術的な計算を複雑化させ、日本にミサイルを撃ち込もうとしている相手に、目的を達成することは容易ではない、攻撃はやめた方がいいと思わせる、そのような抑止力効果を得られるものと考えております。 また、武力攻撃が発生していない段階で自ら先に攻撃する先制攻撃は許されず、それを行うことはないということは言うまでもありません。 我が国の武力行使については、事態対処法の手続にのっとって、対処基本方針を閣議決定し、国会の承認を求めるなど、国会の関与を得て運用されるものですが、こうした手続などを含め、反撃能力を含む我が国の武力行使について、慎重に判断するものと考えております。
○玄葉委員 私は、第一撃、BMDで迎撃するというのがベースだと思っていますけれども。 ちなみに、迎撃の成功率はどのくらいですか、日本のBMDは。
○浜田国務大臣 今ちょっと手元に資料もございません。お答えすることをちょっと控えさせていただきます。
○玄葉委員 もちろん、これからの技術の変化とかもありますけれども、いわゆるアメリカの実験で公表されているのでいうと、大体八割ぐらいはきちっと命中しているんですね。一〇〇%、百発百中なんてことはあり得ないですけれども。 ですから、私は、第一撃は原則はこちらから撃たないよというのを首相は宣言してもいいんじゃないかと思いますけれども、どうですか、防衛大臣。
○浜田国務大臣 無論、あらゆる状況を判断することになろうかと思いますが、極めてそこは慎重に対応したいというふうに思います。
○玄葉委員 慎重にというのは、第一撃を撃つことを慎重に、こういうことですか。
○浜田国務大臣 あらゆる状況を判断してということでありますので、我々とすれば、第一撃というものは、我々はあくまでも反撃能力でありますので、これは、相手の出方、そういった状況を踏まえて対応していくことになろうかと思います。
○玄葉委員 時間なので終わります。どうもありがとうございました。