5月鑑賞作品は、「プリズナーズ」(米国、ドュニ・ヴィルヌーヴ監督、ジェイク・ギレンホール)。「野のなななのか」(大林宣彦監督、早野徹・常盤貴子)。「WOOD JOB」(矢口史靖監督、染谷将太、長澤まさみ)。
「プリズナーズ」は、150分だが、脚本がよく飽きさせない。
「野のなななのか」は、テーマは明確だが長くそしてくどい感じ。伝え方として果たして どうか?
「WOOD JOB!」がまさに「GOOD JOB!」。
矢口監督は原作もの初挑戦ということらしいが、さすがという感じ。
三浦しをんの『神去なあなあ日常』をもとに、テンポの良い笑いと感動の温かい作品に仕上げている。
林業地域の人間関係など、仕事柄それをよく知る私から見ても非常にリアルにできている。何より、林業の本質と思われる「世代を超えた連鎖」をしっかり伝えてくれていて うれしい。例えばこんなセリフ。「自分たちが顔も知らない曾おじいさんあたりが植えた木を伐って稼いでいる。同時に今植えている苗は自分らが死んだ後に孫やひ孫が伐って生活の糧にするんだ。」
林業で生きる厳しさを指摘しつつも、林業マンをかっこよく描く。彼らは本当に生きる力が半端でないのだ。そして1年で研修を終えた主人公が、自分の居場所は都会でなく村にあると思う気持ち、長澤まさみ扮する直紀の山村に価値を置く生き方などは、藻谷さんなどが唱える「里山資本主義」に通ずるものを感じ、大げさに言えば日本と地域のありかたを考えさせる。
古里映画としても立派だ。
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