『国家財政を考える会』 発足
日本は危急存亡の時にある。
私たち現代の政治家の使命は、次世代に成熟した豊かさを引継ぐことにある。
そのためにはしくみのつくり直しが必要だ。
いま早急に求められていることは、「経済成長」「社会保障制度の再構築」「行財政改革」
という3つを密接不可分の課題と捉え、その解決策を示し、それを実現することである。
3%の名目成長の実現のために大胆に新成長戦略を展開しなければならない。
安心社会の実現のために、年金・医療制度の抜本改革を急がねばならない。
但し、いずれも留意すべきことがある。
それは、経済成長と共に長期金利が上がり、国債の利払い費がかさんでくること、そして
社会保障制度改革には安定した財源が必要であることである。
民主党は事業仕分け等を通じて、「無駄を削減」する努力を続けている。国会議員の定数や歳費を減らすことはもちろん、公務員人件費の2割削減、庁費・委託費・施設費や政府調達コストのカット、特別会計の事業支出のゼロベースの見直しなどに
ついて全身全霊をかけてギリギリまで無駄削減の努力を行うべきである。
しかし、歳出削減(無駄削減)のみで、財政健全化や社会保障改革のための財源をまかなうことができないことは明明白白である。
そうであるならば、消費税の引き上げを含む税制の抜本改革の道筋をつけ、民主党政権下にあって財政が持続的であることを示さなければならない。
民主党は次の総選挙まで消費税を引き上げないことを公約している。したがって、次の総選挙までに、
①3%の名目成長を達成
②ギリギリまでの無駄削減努力
③年金・医療の抜本改革および税制の抜本改革(消費税の引き上げを含む)
の制度設計の完了の3点を行い、総選挙を終えたら、直ちに税制の抜本改革を実行することが必要不可欠である。
政治家にとって消費税の引き上げやマニュフェストの見直しは主張しにくいことである。しかしながら、国難にあっての政治家の構えとして、御身大切や保身の
姿勢を排し、正論を主張し、それを実現することが強く求められていると考える。
以上の思いで、「国家財政を考える会」を仲間と共に発足させることにいたしました。
以下、参考までに、民主党国会議員に配った「趣意書」を添付します。
「 国家財政を考える会 」について
本会の趣旨
ギリシャの財政危機に端を発して、ソブリンリスク(政府債務の危機)に関して世界中が注目するようになりました。わが国においても、歴代政府が将来を
見据えた財政改革を先送りし、公債発行に歳入の多くを依存してきた結果、債務残高も対GDP比で200%超の水準に達しています。これは、ギリシャの倍の水準です。2010年度においても、税収をはるかに上回る公債発行で予算を組まざるを得ず、このままでは財政が発散するおそれも否定できません。
プライマリーバランスを指標にするか、GDP比での財政赤字の縮小を目標にするかはともかく、今こそ財政規律を取り戻す必要があります。そのために、
まずは、景気回復による自然増収を実現しなければなりません。経済成長のためには、新たな需要や供給を創り出すために規制改革を進める必要があり
ます。政府も新成長戦略の確立に向けて、真剣に取り組んでいるところです。
さらに、国民の将来不安を取り除くために、年金制度をはじめ社会保障制度を再構築する必要があります。しかも、現状をみると、社会保障予算は必ずしも安定的な財源でまかなわれているわけではありません。一般会計予算総則上、消費税を充てるとされている基礎年金、老人医療、介護の予算は2010年度16.6兆円ですが、実際の消費税の収入(国分)は6.8兆円にすぎません。安定的な財源を社会保障に充てることで、国民の不安を解消し、消費を刺激し、内需の回復を可能にする道を模索すべきです。
以上のように、財政の健全化と成長戦略、社会保障制度の再構築は密接不可分の課題です。私たちは、上記のような危機感を共有し、国家財政の規律について考えるために本会を発足します。多くの同僚議員の皆さまのご参加をお願い申し上げます。