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北朝鮮問題について

「北朝鮮から対話を求めてくる状況をつくる。」

短い会期の特別国会において、最も印象に残った安倍首相の答弁である。

深読みすれば次のような意味だと思われる。

中途半端な形での米朝対話となれば、例えば「米国に届くICBMを凍結あるいは放棄する代わりに北朝鮮に核保有を認める」などの選択肢が出てくるのではないか。しかし日本はノドンやスカッドによりすでに射程に入っており、ICBM凍結・放棄の意味はあまりない。日本にとっては、あくまで核放棄を実現し、拉致問題を解決するための「対話」でなければ意味はない。そのためには米国からではなく、北朝鮮から対話を求めてくるような状況をつくらなければ日本が望むような結果は生まれない。

そのような意味合いだとすれば、私もその通りだと思う。

しかし、問題はそのための外交が不十分であることだ。「トランプ大統領のアジア歴訪と北朝鮮問題」で述べたように、「中国を本気にさせる外交」が展開できていない。中国は「石油パイプライン」という北朝鮮にとってのいわば生殺与奪の権を有している。石油をストップするということは北朝鮮崩壊に直結し、体制維持を国益と考える中国は、北朝鮮を追い込むことに躊躇(ちゅうちょ)がある。

「崩壊前提の話し合い」が米中でスタートしたというだけで、北朝鮮にとっては最大限の最も効果的な圧力となる。そういう状況をつくらなければ北朝鮮から対話を求めてくることはないだろう。

11月19日未明、今年になって17発目のミサイル発射が行われた。過去最高高度の新型ICBM級弾道ミサイルで、射程は米国本土に届く1万キロ超ともいわれる。直後の米中首脳電話会談でトランプ大統領は初めて石油に言及した模様だ。

米国においては、東アジア太平洋担当の国務次官補がいないことや、トランプ大統領とティラーソン国務長官の確執が取りざたされるなど外交体制に懸念が残る状況であるが、日本としては米国に対して「中国を本気にさせる外交」をもっと強く求めていくべきであろう。                                   

                                                      平成29年12月7日 記

                            

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