6,7月の鑑賞映画は以下の3本。
『あん』河瀬直美監督、樹木希林、永瀬正敏。
『海街ダイアリー』是枝裕和監督、綾瀬あるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず。
『マッド・マックス』ジョージ・ミラー監督、トム・ハーディ。
河瀬監督作品は、他に『萌の朱雀』(1997)、『沙羅双樹』(2003)、『もがりの森』(2007)をDVDで観ている。『あん』は、洗練されたカメラワークにより「光と影、風と月」など河瀬監督の美意識が濃厚に表現されている作品だ。樹木希林の圧倒的存在感、永瀬正敏の味のある演技がともにいい。原作があるからかこれまでの作品よりも主張がはっきり出ていてわかりやすい。慈しむこと、弱い立場の小さな声に耳を澄まそうというメッセージを正面から受け止めたい。
先日河瀬監督と話す機会があったが、大変気になったことがある。『あん』のスポンサーを外国企業に求めねばならなかったということである。そしてどれだけヒットしても日本では監督に入る収入は少なく、次の作品制作のためにアルバイトをしなければならないというのだ。これだけの売れっ子監督をしてそうなのである。日本の映画製作における資金調達のしくみ等構造的な問題を解決していかねばならないという思いを抱いている。
『海街ダイアリー』は評価が分かれそうだが、好きな作品。3姉妹と異母妹が家族となっていく過程を、鎌倉の四季・自然をバックに描いていく。梅、桜、そして古い家屋に仏壇を登場させているのはカンヌを意識したのかなと思う。ストーリーは淡々としているが長姉と異母妹の会話が心に染み入る。
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