『おとなり』： 熊澤尚人監督、岡田准一、麻生久美子他

「お隣」と「音なり」を掛けたタイトル。

フラワーデザイナーを目指し、フランス留学に向けて花屋でアルバイトに励む３０歳の七緒（麻生久美子）。
彼女が安らぎを感じるのは、アパートの壁越しに聞こえてくる隣人の生活音。

一方、風景写真家を目指しながら、人気モデルの撮影に忙しい日々を送るカメラマン聡（岡田准一）。彼の心を癒すのは、
アパートの壁越しに聞こえる隣人の口ずさむメロディーやフランス語のレッスン音。

それぞれの生活音や声に惹かれあいながら、「お隣」とはなかなか顔を合わせる機会がうまれない。最後に出会うが、
なんと同じ中学の同級生であったというストーリー。

出来すぎの演出にさすがにリアリティーに欠けるという意見もあるだろう。しかし、2人の演技は微妙なニュアンスを上手に出しているし、何よりとても温かい気持ちになれる作品としてお勧めしたい一本だ。

学生時代だったか、大先輩に「結婚するなら、声が自分の耳に合う人とにしなさい。容姿は衰えるが、声は変わらない。」と
言われた記憶がある。「生活音」や「声」に着目した点がとても興味深い。

（右画像は映画パンフレットより）