*東京の線路沿いの小さなマイホームで暮らす4人家族の崩壊と再生の物語。
黒澤清監督。香川照之。小泉今日子ほか。
・リストラされたことを家族に打ち明けられない父。妻も息子2人も悩みを抱え、いつのまにかバラバラになる家族。
黒澤監督によると「僕がリアルだと感じる親子関係は、お互いを気にはしているが、本当の自分自身は隠している。
家庭という共同体の中で、なんとなく親子を演じてはいるが、真っ向から向き合ってはいないというものでした。」(劇場用パンフレット)。
確かに現代トウキョウの家族の一つの実像を描き出している。
・家族と幸福それに権威について問いかける。
類似のテーマを扱ったと思われるショーン・ペン監督の「Into the wild」の2時間半はかなり長く感じたが、こちらはテンポが良く笑いもあり巧みに編んでいる。秀作だと思う。
ただ、普段からしっかり向き合っている家族からすると、まどろっこしさやもどかしさを感じるかも……。
・ドビュッシーの「月の光」を次男が弾くラストシーン。なんとなく映画の定番のような感じを受ける人もいるかもしれないが、僕には心地良く、救われる思い を持つに至り、やはり効果的だったと思う。ちなみに息子の天才的な演奏ぶりを香川扮する竜平は涙を流しながら聞き入り、一方小泉扮する恵子は呆然とした表 情で見つめる。
プロデューサーさんによるとこれは脚本にはなく役者にまかせてそうなったのだとか。演じ方や性格の違いが出ていてなんとなくおもしろい。
(右写真は映画パンフレットより)
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