4月に鑑た作品は、「白ゆき姫殺人事件」(中村義洋監督、湊かなえ原作)と「アクト・オブ・キリング」(The Act of Killing デンマーク・ノルウエー・イギリス合作、ジョシュア・オッペンハイマー監督)。
特に後者は、1965年のインドネシアで起きた共産主義者大量虐殺の実行者たちが、自らの当時の行為を映画化する模様を描く衝撃作。
今回は、これとは別に、訪台した際(3月下旬)に台南市で観た「KANO」(マー・ジーシアン監督、永瀬正敏主演)という台湾映画についてひと言記す。
KANOとは、台湾の嘉義(かぎ)市にあった嘉義農林学校の略、嘉農(かのう)のこと。日本統治下にあった1931年、夏の甲子園大会に出場し、準優勝を果たした実話をもとに制作されている。
日本人、漢人、原住民で構成する弱小野球チームが、日本人監督(永瀬)の厳しい指導を通して強くなっていく姿を描いている。一部違和感残る場面もあるが、泣きあり、笑いあり、怒りありでバランスがいい。それに映画の中の野球の試合が本格的なのもいい。俳優陣は野球がうまい素人から選抜したらしい。
当時としては世界最新の農業用ダムを造った日本人技師八田与一も登場する。八田は日本ではあまり知られてないが、台湾では偉人として教科書にも掲載されている人物。そのこと含め、日本の統治時代に対するとらえ方や描き方について、特に他国との比較において考えさせられる。
ほとんどのせりふが日本語で、字幕なしでも問題ない。鑑賞したのは土曜日の夕方とはいえ、大勢の若者のカップルたちで満席だった。
日本公開は来年初めと聞く。
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