8月、9月の映画 『マルティニークからの祈り』
8月と9月の鑑賞映画は、「るろうに剣心」京都大火編(大友啓史監督、佐藤健)、「フライトゲーム」(米仏、ジャウム・コレット=セラ監督、リーアムニーソン)、「マルティニークからの祈り」(Way Back Home)(韓国、パン・ウンジン監督、チョン・ドヨン)の3本のみ。
「マルティニークからの祈り」は久しぶりに劇場で観た韓国映画。一人の韓国人主婦の実体験を映画化。貧しさゆえ結果として麻薬の運び屋をしてしまった主婦がフランスの空港で逮捕され、カリブ海のマルティニークの刑務所に送られる。韓国通商代表部の怠慢もあり、彼女はそこで2年間苦闘することになる。
実力派女優チョン・ドヨンの演技が上手く、理不尽なことが続くことへの切なさがよく伝わり泣けてくる。ただ、強い共感はおきない。元来は主人公夫妻自身の愚かさゆえの事件であり、対応の要領もよくないからだ。
ネットの明暗の「明」。ネットにより通商代表部のミスへの批判が盛り上がり、主人公は救われる。しかし、ネットには物語に描かれたような通商代表部の暗部やフランスの刑務所のそれと同じくらいの「暗」があることも忘れてはならないだろう。実際ネットへの陰湿な書き込みなどで韓国の女優さんらが自殺に追い込まれていると聞く。
不条理が重なると普通の平凡な生活がいかに幸せなことかがわかるものである。