外務委員会(平成25年5月22日 議事録)
○玄葉委員 玄葉光一郎です。
日本の外交が長年培ってきたものというのがあるというふうに思います。これは、政権がかわろうがかわるまいが、培ってきた大切なものというのが幾つもあるなというふうに思っています。
最近話題のトピックでいえばミャンマーとの関係でありますけれども、これは、民主党政権になる以前から、自民党政権のときから、欧米が強い制裁に動く中で、日本外交は一定程度パイプを保ち続けてきたというところがあります。
民主党政権になって、ここに座っておられる菊田さんが政務官だったと思いますが、菊田政務官が政府高官としては久方ぶりにミャンマーを訪問して、この日本とミャンマーの関係、もっと言えばミャンマーと世界との関係に風穴をあけたという側面もあったと思うんですね。
私自身も外相時代に、アメリカあるいはヨーロッパの国々などに、ミャンマーは、特に最近の国民和解、民主化の動きは不可逆的なもので本物だということで、ヒラリー・クリントンさんを初め各国の要人、特に外相に制裁解除を働きかけてきた経緯というのがあります。
これはまさに、長年、日本外交が培ってきたものが花開いている一例だと思うんです。今や、ミャンマー大ブームというふうに申し上げても過言ではないのではないかと思うんですね。
六月一日から三日でしたか、TICADが横浜で開かれます。これも一つの例だと思うんです。
TICADというのは、たしか、私の記憶では、最初は九三年だったでしょうか、日本が始めた、アフリカとのまさに援助のあり方を考えるというか、そういう会合であります。その後、中国も韓国もいわば後追いをしているわけで、特にテレビ等では、中国が、アフリカに首脳が訪問されて大々的にインフラを整備する、そういう様子が報道されるんですけれども、やはり日本に対する信頼というのは強いというのが私の実感なんですね。
なぜかといったら、やはり日本はこれまで、相手国のオーナーシップというのを大事にして援助してきた。中国の場合は、インフラをつくるにしたって、中国の労働者を連れていって、それでつくる、相手国に裨益しない、こういう批判があるわけです。
ですから、これからTICADが開かれますけれども、こういう長年培ってきたものというのを大事にしていただきたいと思います。
人間の安全保障という概念があります。これも、日本外交が長年大切に育んできたものだというふうに思うんです。今や、たしか二〇一〇年だったと思いますけれども、国連で公式の討論が開かれるに至ったということであります。
きょう私が外務大臣にぜひお尋ねをしたいというかお願いをしたいと思ったのは、日本の外交がこのように大切に育んできた、培ってきたもの、あるいは概念というものがありますけれども、最近、フルキャストディプロマシーという言葉を日本外交として使い始めたわけであります。この概念について、質問通告しておりましたので、御説明をいただければというふうに思います。
○岸田国務大臣 まず、委員御指摘のように、ミャンマーあるいはTICAD、さらには人間の安全保障、こうした例を挙げられて、我が国外交が長年にわたって積み重ねてきたこうした蓄積、これは大変とうといものであるという御指摘は、そのとおりだと思います。玄葉前大臣あるいは菊田元大臣政務官を初め、関係者の皆様方のこうした御努力の積み重ね、これはこれからも大事にしていかなければいけないものがたくさんあると感じております。
その中にありまして、このフルキャストディプロマシー、特に玄葉大臣がこの考え方を強く訴えてこられたというふうに承知をしております。今、国際社会において、人、金、物、さらには情報、こういったものが物すごいスピードで国境を越えていく。こうしたグローバル化が進む中にあって、あわせて、テロですとか地球温暖化、あるいはサイバー空間における脅威、こういったものも国境を越えて広がっていく、多様化していく、物すごいスピードで移動していく。こういった現状を考えたときに、こうした課題に対応して、政府だけではなくして、地方自治体、企業、NGO、こうしたさまざまな主体が協力、連携して相乗効果を生み出していく、国の総力を挙げて対応していかなければいけない、こうした考え方だと承知をしております。
こうした考え方は、現実においても、今、ODAの議論の中には具体的にそういった考え方が色濃く出ております。そうした動きが進みつつあります。それ以外の課題におきましても、こうしたフルキャストディプロマシーという考え方はこれからなお一層重要になってくるのではないか、このように認識をしております。
○玄葉委員 ありがとうございます。
まさにおっしゃったとおりだと思うんです。現代社会においては、グローバルな課題解決のためには、いわば全員参加型のオールキャストでの外交というのがこれまでより大事になる。それをあえて、言い出しべえの概念というか、フルキャストディプロマシーと呼んだと。オランダのシンクタンクなども、日本の外交がこういう言葉を使い始めたということで、この概念を引用し始めています。
二〇一五年だったと思いますけれども、国連の防災会議というのが仙台を中心に被災地で開かれることになったと聞いています。野田政権のときに手を挙げていたんですけれども、大変よろしいことだと思うんです。そのときに、子供会議が開かれるということが、実は私、今、被災地をずっと歩いているものですから、地元の福島民報新聞の一面に大きな見出しで出ていました。
この子供会議が開かれることはとてもいいと思うんですが、この子供会議というのも、実は、私の記憶では、当時、この国連防災会議の議論をしていたときに、NGOが、こういった会議を開いたらどうかという提案をしてくれたんですね。それを、私も、よいのではないかということで取り入れて、結果として、まさに大きな国際会議がNGOの提案をもとに開かれるということになった。しかも、それは日本のNGOであります。
ですから、やはり、本当にいろいろな形で、さまざまな担い手、主体というものが今登場していますので、ぜひ、このフルキャストディプロマシーというのを意識し、かつ、その言葉もできれば使っていただければと思いますが、もう一言いかがですか。
○岸田国務大臣 御指摘のように、フルキャストディプロマシーという考え方は、これからますます重要になってくると考えます。ぜひ我が国の総力を挙げて外交努力を続けて、そして国益を守っていかなければいけない、こういった時代だと認識をしております。
そして、フルキャストディプロマシーという言葉を使ってはどうかという御提案につきましても、ぜひ、こうした言葉がしっかりと理解され普及することによって、こうした考え方も広まっていくよう努力をしていきたいと思います。
○玄葉委員 どうもありがとうございます。
それでは、ロシアの問題、日ロの関係について一言だけ申し上げたいと思います。
日ロの関係、これは、昨今の戦略環境が変化をしていることで、日ロの関係強化、そのことがお互いにとってプラスだということを両国とも認識できるようになってきたということなのではないかと思います。私のときも、プーチン大統領、あるいはラブロフ外相、パトルシェフ安全保障書記、シュワロフ第一副首相、経済の責任者であります、私なりに地ならしをしてきたつもりだったのであります。
その中で、当然ながら、領土問題というものが平和条約を締結するのにはネックになっているわけでありますけれども、基本的には、戦略環境の変化の中で、日ロの関係を深化させながら、領土問題を解決して平和条約を締結するというのが恐らく基本的な考え方であろうというふうに理解をしています。
その上で、念のため確認をしたいんですけれども、北方四島の位置づけ、私も外務大臣のときによく聞かれたんですね。これは不法占拠ですか、それとも法的根拠のない占拠なのですかとよく聞かれましたけれども、これは岸田外務大臣はどのようにおっしゃっているんでしょうか。
○岸田国務大臣 まず、日ロ関係につきましては、経済関係のみならず、アジア太平洋地域の戦略環境が大きく変化する中にあって、安全保障、政治レベルにおいても連携を深めていくということ、これは大変重要だと考えております。さまざまな切り口から日ロ関係全体を活発化させて、そして北方領土問題につきましても議論を再スタートさせるというのが先日の日ロ首脳会談の大きなポイントだったと認識をしております。
その中にあって、この北方領土問題、従来、用語の問題として、法的根拠のない占拠、あるいは不法占拠、どのような言葉を使うのか、これもさまざまな議論があったのは承知しております。
ただ、法的根拠のない占拠であっても、また不法占拠であっても、いずれの表現であったとしても、北方領土が置かれた状況についての法的価値は変わらないとまず認識をしております。その上で、どのような表現を使うかについては、まさに政策的な判断に基づいて言葉が使われていくということであると認識をしております。
北方領土問題につきましては、先ほど申し上げました日ロ首脳会談におきましても、両首脳は、双方に受け入れ可能な解決策を作成する交渉を加速化させるとの指示をおのおのの外務省に共同で与えることで一致をいたしました。
ロシアは平和条約を締結する必要を認めて、日ロ間で引き続き交渉をしていく、こうしたことになったわけですが、北方領土問題につきましては、今、引き続き日ロ間で交渉を続けている状況にあります。
こうした状況を踏まえまして、北方領土問題では、現時点では、法的根拠のない占拠という表現を私も引き続き使用させていただいております。
○玄葉委員 質問通告をしながら今の御答弁をいただいたわけであります。私のときに、通告なしにこの問題を質問された方が大分多くて、でも、私は、今、外務大臣がおっしゃったとおり、交渉中の案件なので、まさに政策的な判断で、法的根拠なき占拠という言葉を使うということを申し上げてきた経緯があります。外務大臣がそのままそれを今後も使うということであれば、それは一つの政策的判断としてよろしいかと、私自身はそう思います。
その上で、この北方領土問題解決というのは、最後はやはり首脳同士の信頼関係がないと解決しないというのが私の実感の一つなんです。この信頼関係というのをどのように構築していくか。先般の首脳会談、それは第一歩になったと思いますけれども、この信頼関係というのは、首脳同士、あるいは外務省同士、あるいは首脳の周辺も含めた信頼関係というのが大変大事なんだと思うんです。
その点で、一つだけ、私が、これはミスだなと思ったことがありました。それは、いわゆるプーチン大統領の折半発言が報道されたんですね。報道されたんです。私も真偽はわかりません、報道で読んだわけでありますけれども、この点については、外務大臣、いかがコメントされますか。
○岸田国務大臣 まず、外交交渉において首脳間の信頼関係がまず第一に重要であるということは、そのとおりであります。さきの日ロ首脳会談におきましても、さまざまな目的あるいは成果が指摘をされていますが、何よりも、我が安倍総理とロシア・プーチン大統領との間の個人的信頼関係を構築していくというのがまず第一に挙げられた目標であり、成果であったと認識をしております。
そして、この信頼関係ということを考えました際に、一般論として申し上げるならば、領土問題のような機微な問題について、交渉の中での相手国の発言、相手国首脳の発言内容、これが外部に出されるということがあったとしたならば、これは信頼関係を構築する上で問題が生じ得ると私も考えております。これは、一般論としては御指摘のとおりであります。
ただ、今回の首脳会談におきましては、安倍総理も会談の後述べておりますように、先般の日ロ首脳会談において、領土問題に関して何らかの言及、要は、面積等分方式等、こうした内容について言及があったという事実はないということは明らかにさせていただいております。
○玄葉委員 この折半発言というのは、いわばノルウェーとのEEZの海洋境界の問題、あるいは中国とのアムール川あるいはウスリー川の問題、たしかあれは千二百の島々があって、未解決な部分が残って、それをプーチン大統領が、まさに中国との間で折半で解決したということを指しているんだと思います。
私も、当然ながら、安倍総理がそのような発言をされる、これは至極もっともだというふうに思うんですね。ただ、私も報道でしか知らないんですが、これだけ一斉に報道されたということからすると、恐らくは、周辺の誰かがこの話を漏らしてしまったというのが実際のところだろうというふうに思うんですね。
ですから、これは、本当に信頼関係というのは大事で、特に日ロの間というのはそうだと思うんです。日ロの外交交渉上において、日本からは漏れる、こういう話はかつても聞きました。今回もそういうミスを犯してしまったということで、これは猛省を促したいというふうに思っています。
そのような発言はなかったという安倍首相の発言は発言で、私は、それはそれでよろしいかというふうに思います。
○岸田国務大臣 確認ですが、北方領土に関しまして面積等分方式等の言及があったという事実はないということ、これだけは重ねて申し上げます。
それ以上につきましては、まさに首脳会談における内容でありますので、控えさせていただきたいと存じます。
○玄葉委員 そのことはよくわかっているんですけれども、私の推測だというふうにあえて申し上げておきたいと思いますが、それが実際のところだろうと思います。これは非常に大事なことなので、あえて委員会で指摘をさせていただきました。
北朝鮮でありますけれども、先般もほとんど最後は演説になってしまったんですけれども、北朝鮮の問題というのは中国の果たす役割が非常に大きい。ミサイルの撤去との報道に接していますけれども、あれもやはり、中国による対北朝鮮措置、制裁強化、まさに実効性というものがいかに大事かということの一つの証左だったのではないかなというふうに、私自身はそう見ているんですね。
ですから、そういう意味では、最終的に、関係国と協力をして、核の廃棄というところを北が考えざるを得なくなるような、そういう戦略というものを考えていかなきゃいけないだろうというふうに思います。
飯島氏の北朝鮮への訪問でありますけれども、これは、そもそも外務省は、あるいは外務大臣は、事前に知っていたのかどうかということをまず確認できますか。
○岸田国務大臣 本件につきましては、官房長官より私に事前に連絡はございました。
○玄葉委員 だとすると、米国、韓国との関係を考えたときに、特に日米韓の連携が対北朝鮮の問題を考えるときに極めて重要である、そういう状況において、韓国、米国、特に米国に事前に一言もないということについてはいかがお考えですか。
○岸田国務大臣 この北朝鮮問題に関しましては、特に、共通の利益を有する米国、韓国との関係、米韓日、この三国の連携は大変重要だと認識をしております。
今回の件につきましては、米国、韓国に対しまして、外交ルートを通じましてしかるべき説明をさせていただいております。
今後とも、こうした我が国の基本的な姿勢、日米韓の連携をしっかりと大事にし、あわせて、中国、ロシアを初めとする関係国との連携をしっかりしたものとし、北朝鮮に対してしっかりとしたメッセージを与えていくという方針は、これからも大事にしていきたい、守っていきたいと考えています。
○玄葉委員 拉致の問題、日本が主体で解決をしていく、これは大いに結構なことだと思うんですね。ただやはり、事前に一言、何らかの形で連絡をするということがあった方が、拉致問題を含めて次の解決につながっていくのではないかということを申し上げたんですが、いかがですか。
○岸田国務大臣 おっしゃるように、我が国もこうした北朝鮮問題においてしっかりとした役割を果たしていかなければなりませんが、国際社会との連携を通じて北朝鮮にしっかりとしたメッセージを伝えていくということ、北朝鮮にこれ以上挑発行為を行わせない、そして、国連の安保理決議あるいは六者会合合意等、こうした決議、合意に対して真摯に向き合い、そして行動を起こす、こういった働きかけを続けていく、大変重要な点だと存じます。この姿勢はこれからも大事にしていきたいと思っています。
○玄葉委員 こだわるわけではないんですけれども、事前にやはり一言あった方がよかったなというふうに大臣として今思っておられるかどうかということです。
○岸田国務大臣 今後の結果として、しっかりとした連携が維持できるよう、外交努力を続けていきたいと思っています。
○玄葉委員 ここは率直に、一言事前に米国に連絡をすればよかったと、恐らく思っていると思うんですね、外務大臣として。それは一言おっしゃっていただけますか。
○岸田国務大臣 外交は結果が大事であります。今後、しっかりとした成果が上がるよう、国際的な連携がしっかりと保たれるよう、努力していきたいと考えています。
○玄葉委員 あえてこれ以上言いませんけれども、やはり事前に一言、米国には連絡をした方がよいと思います。
その上で、日朝協議、あらゆる可能性を探求するということであります。当然、外務省による日朝協議も含めてということだと思います。その際は、あれは福田内閣だったと思いますけれども、いわゆる〇八年八月の合意というものを足がかりにしていくというお考えでしょうか。
○岸田国務大臣 日朝間においてさまざまな交渉が今日まで積み重ねられてきました。我々は、そうした積み重ねを踏まえて、これから結果を出すために引き続き努力をしていきたいと考えています。
○玄葉委員 日朝協議の再開について検討していないんでしょうか。
○岸田国務大臣 日朝協議の再開につきましては、まずは、こうした北朝鮮のさまざまな挑発行為の連続の中で、非核化等、包括的な問題に対して真摯な態度を示すということが第一かと存じます。
我が国としては、引き続き、核、ミサイル、そして拉致問題、こうした諸問題について包括的な解決を目指していく、対話と圧力のもとにしっかりと北朝鮮に対してメッセージを伝えていく、こうした方針は従来どおりであります。こうした状況のもとで、北朝鮮の対応についてしっかり注視をしていきたいと考えています。
○玄葉委員 もう一度。そうすると、日朝協議の再開ということについて検討しているという事実はないということなんでしょうか。
○岸田国務大臣 まず、現状、具体的な日程等はありません。引き続き、我が国の基本的な姿勢のもとで、北朝鮮に対してしっかりとメッセージを送り続けていきたいと存じます。
○玄葉委員 拉致問題、当然ながら、拉致被害者全員の帰国、真相究明、これはもう非常に大切なことだし、党派を超えてこの問題の解決に当たっていかなきゃいけないと思いますが、先般、予算委員会だったんでしょうか、特定失踪者の問題が取り上げられていました。特定失踪者を含めてとにかく帰国させるのだ、当然だと思うんですが、この拉致問題の解決の定義というか、これは、ごめんなさい、質問通告していなかったかもしれませんけれども、この拉致問題の解決というのは、何をもって解決というのか、特定失踪者を含めて全員帰国させて初めて解決というふうにいうのかどうか、その点、確認をさせていただけますか。
○岸田国務大臣 まず、政府としましては、認定被害者以外にも拉致の可能性を排除できない人が存在するという認識に基づいて、いわゆる特定失踪者の事案も含めて、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保、そして即時帰国のために全力を尽くしていく、これが基本的な考え方です。
そして、我が国としては、拉致被害者の安全確保と即時帰国、拉致問題に関する実態の解明、そしてあわせて拉致実行犯の引き渡し、この三点を求めていくというのが今の政府の基本的な方針です。
○玄葉委員 残念ながら質問に十分にはお答えいただいていないんですが、結局、この拉致問題を、何をもって解決というのか、特定失踪者を含めて全員帰国させなければ、簡単に言えば、将来その交渉を行っても国交正常化はしないということなのかどうかということだけ確認をしたいということなんですけれども、いかがですか。
○岸田国務大臣 先ほど申し上げましたように、政府としましては、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保、即時帰国のために今全力を尽くしています。その安全確保と即時帰国、実態の解明、そして拉致実行犯の引き渡し、この三点をしっかり求めていく方針です。
○玄葉委員 これはぜひ、外務大臣、もう一度外務省の中で、あるいは政府全体の中でここは確認をしておいた方が、あるいは整理をしておいた方がよろしいかというふうに思います。
きょうは、韓国と中国の問題、かなりきちっと質問通告していたんですけれども、時間になって入れなくなってきました。
ちょっと一点だけ確認をしたいんですけれども、岸田外務大臣としては、いわゆる歴史認識としての村山談話、これはそっくりそのまま引き継ぐということでよろしいですか。
○岸田国務大臣 我が国はかつて、多くの国々、特にアジア諸国に対して大きな犠牲を強いることになりました。こうした歴史に対する歴代内閣の認識、私もしっかりとこれは大事にしていきたいと存じます。歴代内閣のこうした歴史認識については、私も全体をしっかりと引き継いでいきたいと考えています。
○玄葉委員 ちょっともう一回だけ。
村山談話をそっくりそのまま引き継ぎますか。イエスかノーかでお答えいただければと思います。
○岸田国務大臣 歴史認識全てを引き継ぐということであります。
○河井委員長 玄葉光一郎君、時間も来ております。
○玄葉委員 はい、もう時間なので終わりますけれども、私が非常に気になっているのは、韓国との関係もさることながら、特に中国との問題で、このタイミングでこの歴史認識が持ち出されてきている、あるいはその土俵に乗っているということが外交上マイナスになっていると私は考えています。
特に、尖閣の問題があるときに、国際世論形成が極めて重要であります。アメリカやヨーロッパの、我が国と基本的な価値観を共有する国々が首をかしげるような発言というものは控えないと国際世論形成に負けてしまうという心配を私はしているんですね。ですから、この点は、やはり岸田外務大臣が政府全体の中でリーダーシップをとってよく整理をしないと大変なことになるのではないかということであります。
あわせて、今、中国の首脳部を見渡すと、日本と中国の意思疎通を行う際に、やはりキーパーソンは王毅さんだと思うんですね。王毅さんは御存じのように外交部長になったわけで、日本でいえば外相になったわけで、そういう意味では岸田外務大臣がまさにカウンターパートということでありますから、ぜひ、岸田外務大臣におかれては、どこかでリスクをとる覚悟を持ってこの問題に臨んでもらいたいということを最後に私から申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。