武力攻撃事態への対処に関する特別委員会(平成14年6月28日 議事録)
〇玄葉委員 御紹介をいただきました民主党の玄葉光一郎です。意見陳述者の皆様に、心からきょうは御礼を申し上げたいというふうに思います。それぞれの陳述がとても大事な指摘をされておられたのではないかというふうに思います。冒頭、簡単に、私たちの立場といいますか、考えを端的に申し上げたいと思うのですけれども、緊急事態における法制というのは、私たちは必要だというふうに思っています。さまざまな議論もありますけれども、党内のコンセンサスとして、緊急事態における法整備は必要だというふうに思っています。私自身は強く思っている一人でもあります。問題は二つありまして、一つは中身ですね、法案の中身、そしてもう一つは、先ほどから話も出ていますけれども、国民の理解と合意、この問題だというふうに思っています。特に、中身という意味では、これもほとんどの陳述者の方がおっしゃったと思いますけれども、いわゆる国民の保護をどうするかということ、緊急事態法制というのは、国家を防衛し、国民を保護する、そういう法律なんだと思いますけれども、その国民を保護する部分が残念ながらないというのが本当によいのかどうかという問題意識は、当初から非常に強く持っているのですね。各論を言えば切りがありませんけれども、例えば、国会の関与がこれで十分なんだろうかとか、基本的人権は、確かに一部御指摘がございましたように、それは緊急事態において一定の制約を受けるのは当然なんですけれども、でも、絶対受けない、例えば精神的な自由というのは何なのかとか、その他補償の措置というのが果たしてこれで十分なのかという議論も当然あるだろうというふうに思いますし、いろいろ中身も詰めなきゃいけない議論がありますねと、そう思っています。それで、一つは光武市長さんに、これは私だれにも予告していませんが、お尋ねをしたいと思うのです。とても印象的な陳述でございました。つまり、一つの具体的な提案、関連法整備ができるまで、仮にこのプログラム法が成立をしても凍結をすべきではないかという、これは極めて具体的な、建設的とも言ってもよいのではないかとも思いますけれども、そういう提言があったわけであります。あるいは、もう一つの考え方として、国民の理解を得るためには、おっしゃったとおり、国民保護法制が出てこないとなかなか関心も出ないと。我々は最初からこういう立場なんです。本来同時に出されるべきだよね、でも、出てきちゃった以上、さあ、このプログラム法を議論することで、国益とかあるいは新しい公という精神を、ある意味では正面から国民と一緒に議論しながら、議論を継続していく中で個別法が出て、そこで、ある意味では決着を図るというのも一つの方向ですねという感じも実はしているわけでありますけれども、そういう運びの問題ですね。私は、今のこの時点では、運びの問題というのはとても大事じゃないかと。茅野病院長さんも、まさに最後に書いてあるとおり、国民を守るという立場を明確にして、詳細を提示した上で、十分な討議を経て審判を仰いでもらいたい、こういう議論がありました。この運びの問題について、光武市長さんと茅野病院長さんに御意見をいただきたい。もう一つだけ、恐縮ですけれども、せっかくなので光武市長さんに。ここは米軍も、そして海上自衛隊もあるということです。これもまた、おっしゃるとおり、具体的な法整備はこれから、具体的なアメリカとの交渉はこれからということなんですけれども、結局、自衛隊は、これから適用除外を受ける日本の法律もあれば、逆に言えば、守らなきゃいけない日本の法律も出てくるわけですね。では、米軍はといえば、市長さんは御存じだと思いますけれども、接受国の、つまり日本の法律の適用は受けないというのが一般的な原則。ただ、尊重しなければならない。でも、尊重しなければならないということは、守る必要は必ずしもない、守る義務はないということですね。ですから、結局、自衛隊の動くルールと米軍の動くルールというのは、このままいっちゃうとある程度変わってくる。自衛隊は守らなきゃいけない、米軍は守らなくてもいい、このままいくとこういう話になりかねないのですけれども、そういう点で、御地元にいらっしゃって、要望があればというか御意見があれば、おっしゃっていただければありがたいというふうに思います。以上です。
〇光武顯君 第一点の、運びの問題についてお答えいたします。この問題は、地方自治体の長であれば、どなたでもそんなふうに受けとめておられるのではないかなというふうに私は思うのですね。現実に、自治体の長として例えば指揮命令をするといったようなことになりますと、本来その責務を果たすべき基準というものがなければならないわけですね。ですから、先ほど申しましたように、災害対策基本法みたいなもので、当面何かあったらやらなきゃならないかな、こう思っているわけでして、私としては、あらまほしきといいますか、期待としては、実は、この法案と保護法案が一緒に議論されていればよかったなと。ただ、この問題については、既に法案が提案されておりまして、先ほど最終的に申しましたけれども、入り口にとどまらずに進めてもらいたい。しかし、その中で、二年を目標としてと、こういうのは、もう少しきちっとした担保を我々としては欲しいなというふうに思っているわけです。その担保のことについては、先ほど私が言ったようなことも一つの考え方としてあるのではないかということを申し上げたわけです。二つ目。米軍と自衛隊のことに関しては、自衛隊法の改正等々も読ませていただいたのですが、これは一般的に言って、戦時になれば、国土で防衛をするということになれば、一定の権利の制限というものは、これはやむを得ないと思うんですね。しかし、どこまで制限されるのか、どこまで保護されるのか、こういうことになってきた場合に、やはり先ほど申しましたような事柄が実は重要になってきて、例えば我々は総合病院を持っておりますが、さて、そうなった場合に、この病院は、市長の命令と申しますか管理下にあるのか、あるいは出動命令が出たときには、いわば病院の保護ということで収用されるのか、いろいろな問題が出てまいりますね。そこら辺のところが、まだ我々としてはよくわからないところがあるわけです。米軍につきましては、これはもう日米安保条約、地位協定、そのことについては、我々も今まで何遍となく、言ってみれば、苦しんでいる面もありますけれども、しかし、日本国家が成り立っていく上において日米安保条約を選んだのだということからいけば、それは一定の制限があるということもやむを得ないと地方自治体の長としては考えているわけです。今後の問題については、恐らく国土の攻撃ということになってまいりますと、我々がまだ今日予想できないような問題もあろうかと思いますが、一般論として言いますならば、日米安保条約を容認しているという立場からいったら、一定の制限があるのはやむを得ないというふうに思っております。
〇茅野丈二君 運びの問題ということで、ちょっと一言話をさせてもらいます。私、何度もこの話の中で申しましたけれども、実は基本的人権が制限されるんだということが皆さんの中でどの程度重大事として認識されているのか、あるいは国民はそれを実際に知っているのかということを一つ考えております。そして、その上で、国民保護法案が今回具体的に提出されなかった、その提出されなかった行為そのものに、国民の生命を有事に際してもきちっと守らなきゃいけないんだという、そのことが政府の中にどれだけ大きなものとして認識されていたのかどうか、ここにちょっと疑問を感じます。とすれば、二年間という一つの基準を今出されているわけですから、例えば二年間をめどにして、この法案そのものの審議を継続するなり、一回これは戻してしまって、そこまできちっとつくった上でもう一回提出をしてもらうという方がすっきりしているのではないかというふうに私は思っております。
〇衛藤座長 これにて玄葉君の質疑は終了いたしました。