東日本大震災復興特別委員会で質問に立ちました。(平成29年4月6日 議事録)
○玄葉委員 民進党の玄葉光一郎です。
まず冒頭、大臣からお話のあった、自主避難者は自己責任という問題でありますけれども、私、追及しようなどとは思っておりませんが、一言だけ申し上げると、私は被災地の国会議員でありますけれども、自主避難者の皆さんにどういうふうに申し上げてきたかといいますと、いつまでも戻るのを待っています、自分が納得できた時点で戻ってきてほしい、ずっと待っているから、そういうメッセージを自分は出し続けようということを心がけてきたんですね。
そういう言い方をしていくのが私はいいんじゃないかというふうに思いますけれども、大臣、いかがですか。
○今村国務大臣 おっしゃることももっともだというふうに思います。
しかし、その一方で、まさに風化といいますか、時間がたつと、なかなかやはり、そこに住みついて、戻ってくるというのも難しくなるんじゃないかということも片一方であるわけですから、ですから、できるだけ早く環境整備をして、そして、ぜひ皆さん帰ってきてくださいということを強く私も望んで、また言ってきているわけでありまして、そういったところが余りにも前のめりに過ぎて、ちょっと発言が誤解を招いたようなことはあるかと思っておりますが、委員の言われることも、それはそれなりに胸のうちに秘めて取り組んでいきたいというふうに思います。
○玄葉委員 多分、委員長はわかってくれると思うんですね。
すごく思いはあるんです。例えば、残念ながら、科学的合理性に基づいた放射線に対する知見に対して、必ずしも理解をしていただけないという方も中にはいらっしゃるし、いろいろなことを思うと思います。でも、特に大臣、閣僚、あるいは私たちは被災地の国会議員なので、まさに言葉を選んで、やはり私たちは向き合わなきゃいけないと思うんです。
私は、納得した時点で戻ってきてほしい、それが一番メッセージとして伝わるなというふうに思ってきたから、この六年の間、アドバイスとして、僣越かもしれませんけれども、申し上げているということです。
いかがですか。
○今村国務大臣 本当に、現地におられて一番苦労された玄葉委員のお言葉は大変私も重く感じますので、そこはしっかり受けとめて今後取り組んでいきたいと思います。
○玄葉委員 さて、この法案でございますけれども、さまざまな角度から今も議論がございました。私は、この法案について、大きな方向性について賛同しています。
ただ、心配なのは、やはり先ほども御議論がありましたけれども、財源の裏づけなんですね。ですから、恐らく、復興拠点をつくる今回の法案に関してのみなら、財源は今の枠組みの中から出せるのではないかというふうに想定もできるのでありますけれども、将来、全ての帰還困難区域の避難指示解除を目指すという立場でいくとなると、どういった裏づけで復興を進めていくのかということは、どうしても我々としては懸念せざるを得ないわけです。だから先ほどのような議論になったということだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○今村国務大臣 ですから、これは新たな取り組みであるわけであります。それで、やはりどういう拠点をつくっていけばいいのか、そしてまた、それによってどれだけの方がまた戻ってきていただけるのか、そういったことをしっかりと精査しながらやっていかなければいけないというふうに思っております。
それによって、予算の規模なり必要なお金もまた変わってくるというふうに思っておりますから、そういった場合に、地元の皆さんともよく話をし、またいろいろな意向調査もしながら、そういった取り組みをし、そして、それに必要な予算は確実につけていくということでいきたいと思います。
○玄葉委員 財源がなくて復興が進まないというのは一番困るんですね。このことは本当に肝に銘じていただきたいというふうに思いますし、一つのお願いでもあるわけでありますけれども、恐らく、特措法が成立すると、福島の復興基本方針の改定であるとか、さまざまなことをこれからアクションとして起こしていくというふうに思うんですけれども、ぜひ、自民党、公明党さん、与党の意見だけじゃなくて、民進党初め野党の意見にも、できればやはり決める前に、ヒアリングというか、意見を聞いてもらいたいなと思うんです。
今回、こういう形でさまざまな角度から議論が出るのも、やはり事前の意見聴取というのが少ないように思うんですね。もちろん、混乱期というか、三・一一直後だったからかもしれませんけれども、私、ちょうどそのときは与党の政調会長と閣僚を兼任するという立場でした。あのとき何をやったかというと、直接担当していたわけではないんですけれども、自民党本部にも出かけました、公明党本部にも出かけて山口代表に会いました、そして、要望を聞いて、それを踏まえて方針をつくりました。
これは、今村大臣、やはりいろいろな角度から議論が出るのは、もちろん国会だから、ある意味いいんです。いいんですけれども、本来、この問題というのは与野党ないと思うんですよ。与野党ないものに対して無用な対立を起こしたくないということもあるんです、地元のために。
だから、今回のことだって、できるだけ、例えば、閣議決定の前に、関係者、あるいは復興本部というのが民進党にもある、本部長を初め幹部の皆さんにどうだろうかと、幹部の皆さんが、復興庁の皆さんが意見を聞くというのはやはり必要だと思うんですけれども、大臣、それは指示してもらえませんか。
今までは、残念ながら、いや、私のところなんかには時々来ますけれども、では、復興本部の幹部にみんな行っているかというと、来ていないし、やはりこれは大臣がきちっと復興庁の中に指示してもらった方がいいと思いますね。
○今村国務大臣 今言われた、復興にはまさに与野党はないということは、私もそれは同感であるというふうに思っております。
その上で、やはり責任政党という立場から、今回のものもこうやって案を出してきているわけでありますが、今委員が言われたような取り組みというのも、私もそれなりに考えてやっていきたいというふうに思います。
○玄葉委員 これは復興庁の幹部にぜひ指示してもらえますか。
○今村国務大臣 そこはしっかり対応していきます。
○玄葉委員 あと、本来は、原発事故を起こした国の責任の議論をちょっとしたいんですけれども、その前に、先ほども議論になっていましたけれども、私もこの六年間で一番大事な問題の一つだなと思うのはリスコミなんですね。このリスクコミュニケーションがきちっとできていないから、風評被害もなくならないし、原発避難者のいじめの問題も起きているというふうに思います。
今までの答弁はもう聞いたので、今まで、例えば根本大臣のときに、私も質問して、根本さんが先頭に立って、省庁横断でつくったらいいんじゃないかと言った方でした。できました、でも、もっとわかりやすいものをつくると言ってくれています。
問題は、その教材というか、つくったものをどうするかなのね。残念ながら、なかなか、つくって終わっちゃっているわけじゃないんだけれども、十分それらが浸透していない。だから、テレビも使う、ネットも使う。私は、あのときから言っているのは、例えば保健師さんだとか民生委員さんだとか、みんな使って、県内だけじゃなくてですよ、やはり日本全国一回りするとか、そのぐらいのことをやらないとこの問題はだめですね。
大臣、やはりそのぐらい大胆にこの問題は、それこそ強い対応、大胆な対応をとるというふうに言ってください。
○今村国務大臣 私も、今言われたことについては非常に問題意識を持っております。
例えば、放射能とは何だということの理解が、一つの例ですが、何かウイルスみたいに思っている人もいるんですよ。だから、何かうつるんじゃないかとか、これは非常に単純な間違いなんですけれども、それが現実ですから、そういう意味では、放射能とはどういうものだ、放射性物質から出て、こういうものだ、そういったものを含めて、きちんとした放射能に対する理解、これをわかりやすくアピールすることが必要だと思います。
そういう意味で、先ほどの前の委員の質問にも答えましたけれども、そういったビラ等も私が先頭に立っていろいろ今やってつくっているところでありまして、これを、今委員が言われたように、ただつくって、それでどこかに置いておくというんじゃ困るわけであって、具体的にやはり国民の皆さん一人一人に、ああ、こういうものかというのがわかるように、その広報体制や周知体制、そういったものもしっかりと、これはまさに官民挙げてやっていく決意でございます。
○玄葉委員 これは本当に、大臣、相当決意を持ってやってもらわないと困ります。
今までも一歩一歩は進んでいるんだとは思っているんです。本当に、この間、やはり六年間、私は、誰がよかったとか誰が悪かったじゃなくて、それぞれの関係者はそれぞれの立場で、その時々、与党だったり野党だったりしたけれども、努力してきたと思いますよ。だから福島も何とかここまで来たんだと思うんですね。それをやはりそれぞれが認め合いながら、しかし、この問題はちょっと足りない。
これは、本気で腹を据えてやるぞと、自分が大臣のときに決着させる、もちろん一〇〇%の決着はできないかもしれないけれども、決着させるんだぐらいの気持ちでぜひ取り組んでいただきたいというふうに思いますが、いかがですか。
○今村国務大臣 これはもう全力を挙げて取り組んで、早急にやってまいります。
○玄葉委員 先ほども出ていましたけれども、最新のデータもたくさん出ていますので、それも織り込みながらやっていただければ私は大分理解は進むはずだというふうに思っています。
最後に、私、この間の本会議場でショックだったことがありまして、それは、原発事故を起こした国の責任を自覚すべきだと、細野さんだったんですけれども、言ったときに、議場で、何を言っているんだみたいなやじがかなり飛んだのを聞いて、ちょっと私はショックだったんです。
これは、どの政権で起きた事故だからどうだこうだとか、そういう問題じゃ全くないと私は思うんですね。この原発事故というのは、福島第一原子力発電所の事故というのは、根源的な原因は一体何だったのかということは、やはり、あの本会議場での多くの皆さんのどよめきを聞いて、あるいはやじを聞いて、私はもう一回確認しないといけないなと強く思いました。
大臣は、第一原子力発電所、一Fの事故の根源的な原因は何だというふうにお考えですか。
○今村国務大臣 私は、やはりこの問題は、まさに安全神話ということに陥ってしまっていたということであると思います。
安全安全とずっと言い続けてきたわけでありまして、本当にこういう事故が起きたらどうするんだ、こういうケースの場合はどうするんだという、二の陣、三の陣で対応するというような取り組みがやはり少し不足していたんじゃないかなということで、こういったことの反省も踏まえて、これからしっかりと取り組んでいくことが大事だというふうに思います。
○玄葉委員 大臣、これはもっとよく深く考えてもらいたいと思うんですね。そうじゃないと、このことでの国の責任というのがやはり腹に入っていないと、これから復興の政策は定まりません。大きな基本方針は定まりません。
国会事故調、これはニュートラルに調査報告を出したというふうに思いますけれども、どう書いてあるか。平成十八年、二〇〇六年ですよ、「二〇〇六年には、福島第一原発の敷地高さを超える津波が来た場合に全電源喪失に至ること、土木学会評価を上回る津波が到来した場合、海水ポンプが機能喪失し、炉心損傷に至る危険があることは、保安院と東電の間で認識が共有されていた。保安院は、東電が対応を先延ばししていることを承知していたが、明確な指示を行わなかった。」こう書いています。
あるいは、「今回の事故は、これまで何回も対策を打つ機会があったにもかかわらず、歴代の規制当局及び東電経営陣が、それぞれ意図的な先送り、不作為、あるいは自己の組織に都合の良い判断を行うことによって、安全対策が取られないまま三・一一を迎えたことで発生したものであった。」こういうふうに書いてありますけれども、大臣はどう感想を持たれますか。
○今村国務大臣 やはり、この意見をもっと真摯に受けとめて、ちゃんとした対策をとっていくべきだったというふうに思っております。
どうしても、先ほど言ったように、そうはいっても安全だというふうなことについつい陥ってしまっていたんじゃないかというふうに思いますから、やはりそこは謙虚に反省し、また、今後こういった意見が出たときには、それをちゃんと受け入れて対応していくということが大事だと思います。
○玄葉委員 これは、要は原子力安全についての監督機能が、規制機能が全く機能していなかったと言っているわけです。国の責任だと言っているわけですよね。
これは私たちも含めて国会議員、吉野委員長も唯一自民党の中で保安院を分離しろと言っていた議員だと私は記憶をしていますけれども、私も、保安院を分離すべきだ、規制当局は中に置くんじゃなくて、推進する経産省の中に置くんじゃなくて、外に置いて厳しくチェックすべきだと当時の福島県知事は何度も言ってきたんですよ。
もし本当にそれをやっていたら、起きていなかったかもしれませんよ。厳しい審査をして、厳しい規制をかけて、起きていなかったかもしれないんですよ。これは明らかに国の責任でしょう。どう思いますか。
○今村国務大臣 まさに今回の事故の経緯は、大きな津波が来て、そしてそれが、先ほど言われたように、配電系統がやられ、あるいはポンプがやられ、そしてまた外部からの電源も来ない、そして自家発電もうまくいかない、そういったことが現に起きたわけでありますから、そういったことはしっかり受けとめて、今後、そんなことが二度とないようにやっていかなければいけないというふうに思っております。
○玄葉委員 ぜひこれは、私たち国会議員全員そうなのでありますけれども、国会議員全員もこういうことを自覚した上で、この原発事故に対しての復興の政策を考えていかなければならないということを改めて私はこの場で申し上げさせていただいて、私の質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。