予算委員会で質問に立ちました。(令和2年4月28日 議事録)
○玄葉委員 立憲民主党、国民民主党、そして社会保障を立て直す国民会議、無所属フォーラムの会派に所属をしております玄葉光一郎です。 きょうは、主に、せっぱ詰まった目の前の問題について取り上げたいと思いますけれども、その前に、冒頭、少し先を見据えた問題を問いたいというふうに思います。それは、世界保健機関、WHOに対する米国の資金拠出の凍結の問題でございます。 このWHO、世界保健機関の初動あるいは台湾への態度等々、私自身も大変問題だなと思うところがございます。ただ、そういった検証は、一旦この新型コロナウイルスの感染についておさまってからしっかり検証すべきであって、今は、日本もアメリカも、むしろ、WHOの機能は大変大事なので、この世界保健機関に対する影響力を強めるべきときだというふうに思います。 もちろん日本はそう思っているというふうに思いますけれども、肝心の、圧倒的に拠出割合がナンバーワンのアメリカが資金拠出を凍結をしているわけでありますから、これは同盟国として、安倍総理の私は大事な外交的役割だと思っておりますが、トランプ大統領に、電話会談でもして、この問題をしっかり説いた方がよいのではないか、逆効果だぞということを言うべきじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
○安倍内閣総理大臣 先般、G7のテレビ会議があったところでございます。トランプ大統領も参加をしておられました。そこでWHOについての議論になりました。トランプ大統領も持論を展開をされたのでございますが、私からは、今回のような世界に甚大な影響を与える感染症に対しては、WHOを中心に国際社会が一致して対応すべきである、まさに危機管理の状況においては一致して対応すべきである、こう申し上げたところでございます。 そして、その上において、今後、同様の事態に備えるためにも、WHOの機能については今回の事態が収束した後に十分な検証が行われるべきであるということを述べたところでございまして、基本的な考え方としては、外務大臣を務めておられた玄葉委員と同じでございます。 今、この危機にあっては、まさにWHOを中心に対応していかなければいけませんし、まさに英知を結集していくということも求められているということでありまして、今はWHOの能力を削減するようなことは控えるべきであろう、こう思うところであります。 もちろん、台湾の問題等、我々、政治性の問題についてはテドロス委員長にも私は申し上げてきたところでございますし、言うべきことはたくさんあるのでございますが、また検証も行うべきであろうと思っておりますが、今は結束すべきだろう、こう考えているところでございまして、この考え方につきましては、もう既にこうした会議等を通じてトランプ大統領にも伝えているところでございます。
○玄葉委員 これは本当に大事だと思うんです。アフリカとか中東にこれから拡大して、日本や米国が何とかとめたと思っても、そこからまた第二波、第三波と襲ってくるリスクが小さくないと思うんですね。そして、中国は、御承知のとおり、外交攻勢をかけているというところがありますので、やはりこれは、G7の会議全般でトランプ大統領にも言ったということではなくて、むしろ二国間の電話会談でトランプ大統領に伝えるべきくらいの大事な問題だと思いますが、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 WHOに対しては、いわば、世界で今はWHOをしっかりと支えていくべきだということについて申し上げたところでございますが、その上で各国がそれぞれの判断をするところであろうと思います。 日本においては、米国は同盟国ではありますが、日本のWHOに対する姿勢は先ほど述べたとおりでありまして、今はしっかりと、この西太平洋地域の責任者は日本から行っている方でもございます、しっかりと連携をしながら更に支えていきたい、こう思っております。
○玄葉委員 次に、世界経済と日本経済の現状認識を問いたいと思います。 IMFが、今月の中旬ですか、世界経済見通しを発表したところであります。御承知のとおり、二〇二〇年は世界大恐慌以来の最悪の景気後退を経験する可能性が非常に高いという予想であります、マイナス三%だと。リーマンのときがたしかマイナス〇・一だったので、いかに大きなショックかということかと思いますけれども、このIMFの見通しが出る中で、どの程度のインパクトを持って、安倍総理はこの世界経済、日本経済の現状をごらんになっているのか、お聞かせください。
○安倍内閣総理大臣 今回のインパクトは相当強い影響を経済に与えているわけでございますが、これは、例えばリーマン・ショックのときには、いわば金融の収縮があったわけでございますが、今回は、まさに政府が、あのときにはむしろ金融に信用を与え、そして消費を促したという政策をとれたんですが、今は逆に、各国の政府が、行動を制限しなければいけない、経済にマイナスのことをしなければならないという大変厳しい状況でありまして、そういう意味におきましては、今までかつて私たちが経験したことのない状況なんだろう。 大恐慌を例に挙げられましたが、あのときには需要をつくるという政策を展開をしたのだろうと思いますし、あの大恐慌のときには、日本は、いわゆる、高橋是清大蔵大臣が大胆な金融財政政策をとり、いち早くその不況から脱出をしていくのでございますが、今回は、まず、このコロナウイルスの感染拡大を収束させなければ回復の道筋が見えてこないという状況にありますから、より一層厳しい状況。しかし、それまでに、回復をしていく上においては、各事業者が雇用を守り、事業を継続していただかなければならないわけでありますから、そのために、政府としては、今までに前例のない対応をとって、そうした、事業を継続していく方々をしっかりと支援しながら雇用を守っていきたい、こう思っております。
○玄葉委員 IMFによると、一九二九年から三二年までで世界全体のGDPは約一割減少したということのようであります。今回も、ずっと読んでいくと、IMFは、この二年間で九兆ドルGDPが減るだろうと。九兆ドルということは、今、世界全体のGDPが約九十兆ドルですから、同じように一割なんですね。ということは、これは、瞬間的には恐慌、そういうことも言えなくもない。 不況、あるいは危機、あるいは恐慌、そういうような認識をお持ちですか。
○安倍内閣総理大臣 今までの経済的な事象と違うところは、今の状況で例えばそのまま経済活動をしようとすれば、健康あるいは命にかかわってくるという状況があるわけでございまして、直ちに景気刺激策を打てば効果が出るという状況では残念ながらないわけでございまして、フェーズを分けて考えなければならないんだろうと思います。 その中において、まさに先になかなか今の段階で展望が開かれていないという状況ということにおいては、むしろかつての、もちろんリーマン・ショックのときはそうでございますし、大恐慌のときよりもある意味では精神的には厳しい状況になっているんだろう、こう思うわけでございまして、その意味におきましては、まず第一のフェーズにおいては、しっかりとこの感染拡大を収束させる、その間、しっかりと経済、雇用、事業を支えていく、そして、この収束が視野に入ってきた段階においては、しっかりと経済をV字回復させていくという政策を進めていくということではないのか、このように考えております。
○玄葉委員 ある意味、大恐慌のときよりも精神的には厳しい状況ではないか、こういうお話でもありました。 確かに、おっしゃるように、危機はいつも違う顔でやってくるようなところがきっとあるんだろうと思います。ですから、リーマン・ショックとも大恐慌とも違うと思うんですけれども、ただ、歴史を押さえておく必要というのはあるのではないかというふうに思っていまして、せんだって通告をしておきましたけれども、総理としてあるいは日本政府として、この一九二九年から三二年の世界大恐慌の教訓というものをどういうふうに見ておられるのかということについてお答えいただければと思います。
○安倍内閣総理大臣 大恐慌については、まさにこれはもう御承知のとおり、米国の株価の下落に端を発した金融危機によって急激な信用収縮が起こったわけでございまして、世界の経済活動が大幅に縮小したことで発生をしたものでございます。 我が国においても、当時、深刻なデフレ不況に陥ったのでありますが、当時の政府、先ほど名前を挙げました高橋是清大蔵大臣、ちなみに日本銀行の下関支店長も務めた人物でございますが、積極果敢な財政金融政策によって、まさに大胆な金融政策、大胆な財政政策を行い、いち早く不況からの脱却を達成したわけでありました。 今回のウイルスによる経済への影響は、その性質は、こうした金融危機とは先ほど申し上げましたように異なるものでありますが、思い切った財政金融政策を適切なタイミングで行っていくことが重要だろう、やはり適切なタイミングということが極めて大切ではないか、こう思っております。
○玄葉委員 私も、IMFの報告が出てからですけれども、この種の文献をたくさん、せっかくなので読みました。何で起きたのか。いろいろな説があるようでありますけれども、やはり主な原因は信用の収縮ということなんだろうと思います。 ただ、もう一つだけ言いたいんですけれども、あのときのアメリカのフーバー政権の評判はさんざんです。何もしなかった、こう言われているわけでありますけれども、よくよく調べていくと、決して無策ではないんですね。当時の実施主体である地方政府に対して、連邦政府は、地方の政府に対して公共事業をやらせたり、救済事業をやらせたり、金利の引下げとかをさせているんですね。ただ、何でだめだったかといったら、やはり事態を甘く見たということなんじゃないかと思うんです。甘く見て、不十分な対策だったということなんだろうと思うんです。 私は、今回のやりとりで、安倍総理がかなり厳しい現状認識をお持ちだなとは思ったんですけれども、ただ、少なくともこの補正予算を出されるときの考え方、少なくとも当初案を拝見する限りにおいては、私は、同じように事態を甘く見ていたんじゃないかなというふうに思いました。やはり当初案は質、量とも不十分だったというふうに思います。事態を甘く見過ぎていたのではないかということは申し上げておきたいと思います。 そして、麻生元総理、金融も担当されておられるわけでありますが、これから日銀が資金を大量供給していきます。今はまさに貸出しをどんどんふやすべきときだと思います。他方で、今までの既往債務もありますので、恐らく不良債権の問題が、この問題、つまりは感染拡大が長期化すると出てくるんじゃないか。そうなったときに銀行をどうする、資本注入するのか再編するのか、そういったことも含めて、この金融のシステミックリスクにどう立ち向かうのかということについて覚悟をお伺いしたいと思います。
○麻生国務大臣 今、御存じのように、失業によって、例えばアメリカのように一千数百万人の失業手当が一挙に出ましたとかいうようなことにはなっておりませんね。〇・一、失業率、有効求人倍率、いずれもそんなものです、数字が、この一カ月で。 また、今言われましたように、企業が一斉に解雇というのも、雇用調整助成金、いろいろまだ問題はありますけれども、そういった形での失業が出てきていないということもありますので、我々としては、銀行に対しても、企業が引き続き雇用を維持できるような状況にしておいてもらいたいということで、十分の九負担しますとか、百万円だ、二百万円だ、いろいろなことをやらせていただいておるんですけれども、銀行が、それに、民間の金融機関が無利子無担保等々でやらせていただいている今の段階において、日本の金融機関は、世界の中で見て、相対的には極めて健全なところにある、はっきりしております。 少なくとも、大銀行で、リーマンのときにいきますと、あのとき、その前の九七年のアジア通貨危機の方がもっとわかりやすいと思いますけれども、あのときは名立たる銀行はほとんどなくなりましたから。今、昔の名前で出ていますなんていう銀行は、三つか四つしか残っておりません。 そういったような状況になるというような状況ではありませんで、今ある銀行も、あの当時、自己資本比率一一ぐらいだったものが、今は自己資本比率一八ぐらいまで上がってきていると思いますが、まず、世界で一、二を争うぐらいの内容になってきていると思います。 これから先、更にどうなっていくかというと、これはコロナ次第で何とも申し上げられませんけれども、今の段階で、厳しいという段階にあるものはございません。 地銀はどうなるという、多分、福島を含めていろいろ地銀のことも言われると思いますけれども、地銀につきましても、私どもはそれを見越して、コロナになります前から、地方銀行は低金利また人口減等々によっていろいろ問題があっておりますので、そういったものに対応できるべく、ルールを変えたり、いろいろな形でやらせていただいておりますので、今の段階でということを、差し迫って今すぐということは思っているわけではありませんけれども、銀行という金融機関がとまりますと、これは全てのものに影響しますので、そういったものにならないように、私どもとしてはきちんと対応していかにゃならぬと覚悟しております。
○玄葉委員 金融は後で前原さんがおやりになるということでございますので、目の前のせっぱ詰まった問題を取り上げたいと思います。 やはり、夏くらいから中小零細企業は持ちこたえられなくなるのではないかという心配がまずいたしますので、その問題からなんですが、このパネル、多くの方が御存じだと思いますけれども、ノーベル賞を受賞された山中伸弥教授の五つの提言ということで、この新型ウイルスと向き合うための大事なポイントを簡潔に、わかりやすく示していただいているというふうに思います。 まず、この提言四の適切な補償といった問題を取り上げたいと思います。 先ほども枝野さんが取り上げておられました。この適切な補償の問題でありますけれども、やはり、自粛要請に伴って、多くの零細企業、中小企業、中堅企業、傷んでおります。これに対して総理は、損失を税金で補償するのは難しい、こういうふうにおっしゃっておられるわけです。ちなみに、原発事故のときは、私、与党の政調会長でしたけれども、一・八兆ぐらいかけてあのときは賠償のスキームをつくったんですが、今回は難しいということであります。 私なりに解釈するのは、全国的に起きていることなので額的にも大変だということなのかなというふうに思いまして、それにかわる補償的な措置ということで持続化給付金というものもある種あるのかなというふうに私は考えているんですけれども、そういう理解でよろしいですか、総理。
○安倍内閣総理大臣 原発事故のときのスキームについては、これは東電の事故でもあり、東電が入った形でああした補償のスキームができたんだろう、こう思っておりますが、今度のこととは少し性格は違う、こう思っております。 今回の補償につきましては、今御紹介いただいたように、企業あるいは事業者に対して休業要請をしたことによって出た損害について、その損害を補填する、補償する、全額補償するということをやっている国はどこにもないのでございますが、しかし、今回我々は、そうして、休業によって大変売上げが減った、収入が減ったところだけではなくて、いわば今回の事態によって大きく売上げが減少したところの事業者を幅広く対象として、今回の持続化給付金を給付するということにしたわけでございまして、金額については、固定費である地代家賃などの平均六カ月分に相当する金額を参考に、その負担を軽減する観点から、中堅・中小企業には二百万円、そしてフリーランスを含む個人事業者には百万円を上限に給付することとしたところでございます。 当然、事業者の皆様は多様であり、それぞれが置かれている困難もさまざまであると思いますし、地代については、これは平均で申し上げておりますので、東京と例えば山口県や福島は違うんだろう、こう思うわけでございますが、重要なことは、使途に制限のない現金をお手元にまずはお届けをすることであろう、こう思っておりまして、予算成立の翌日から申請受け付けを直ちに開始し、早ければ五月八日にも事業者の皆さんへ給付を開始することを目指して、スピード感を持って対応していきたいと思います。
○玄葉委員 ちなみに、原発事故の場合は東電ですけれども、最終的には、東電の電気代なんですけれども、ただ、実質、税金で穴埋めをしていくスキームだったわけです。あのときそういうスキームをつくって、現実問題、福島県の企業はそれで息を吹き返したというふうに申し上げて過言ではないと思います。 今回、山中教授も、適切な補償と言っていて、専門家会議の副座長の尾身先生も、自粛要請と補償はカップルだとしています。 これは、総理、提言なんですけれども、持続化給付金というのをつくられたわけです。私の提言は、もうこれを活用するしかないなと思っているんです。 今回は二百万、百万とそれぞれ配っていただいて、恐らく、影響が長引けばもう一回給付をせざるを得なくなるのではないかと私自身は思っています。そのときに、数億円も損失を出しているような中小企業、零細企業、いっぱいあります。これは融資で何とかしろということかもしれませんけれども、やはり融資は借金ですから、良質なところほど、もうこの際整理しようかというところが多いですよ。 これは、もう一回配ろうというときに上限を引き上げたらいいと思うんです。全額とは言いません。あの東電のときのように、原発賠償のように全額とまでは言いませんから、何とか企業が力が出るぐらいの額に、上限を二百万から引き上げて、損失の額と規模に応じて出していく。 これは、二百万で足りる零細企業もありますよ、小規模事業主もいると思います。だけれども、かなりの企業が足りません。スズメの涙、失礼かもしれないけれども、そう思っている企業が多いのも事実なんですよ。 ですから、これは具体的な、現実的な提案だと思っているんですけれども、次、給付するときに上限を引き上げる、これはぜひ検討していただけませんか。
○安倍内閣総理大臣 今回の休業要請等、自粛等、お願いをさせていただいています。 そして、それには、休業することによって出た損失について補償しない限り、そう簡単に聞いてくれるところはないのではないかという議論がございましたが、しかし、その中でも、今、日本全体の盛り場の営業状況を調べておりますが、多くの地域で営業自体が大体一割まで減っているわけでございまして、九割の方にはそれなしでも御協力をいただいていることを本当に感謝を申し上げたい、こう思う次第でございますが、その中で売上げがゼロになるところもたくさんあるわけでございまして、そういう事業者等々については、先ほど申し上げましたように、百万円、二百万円の持続化給付金で御支援をさせていただき、また個々人については十万円の給付金を出させていただいているところでございます。 事業に見合った補償ということについては、先ほど申し上げましたように、そういう補償をしているところはもちろん世界じゅうにはないのでございますし、できる限りの支援はしていきたいと思っておりますが、その中で、確かに、借金に借金なのかというお話でございましたが、ただ、この無利子無担保、五年間据置きという条件というのは、非常に特別な条件と言ってもいいんだろう。手元の流動性をしっかりと確保することができるわけでございますし、税金や社会保険料も延納していただいて、そして、その延納に対する延滞金等というものは一切要請もしないのでございます。 また、当然、収入が減額した方々に対しては、来年においては還付等々も起こってくるわけでございまして、しかし、その上で、この事態が長くなれば、先ほど申し上げましたように、平均で半年ということで申し上げたわけでございまして、事態がどれぐらい進んでいくのか、また、どれぐらい長期化するかということをよく見ながら、これはもちろん、最初に申し上げましたように、事業を継続していただかなければならないわけでありまして、それこそ日本経済のエンジンでありますから、そこを破損させてはならないと思っております。そういう状況が起こるということになれば、これはもうちゅうちょなく、間髪を入れずに対応していきたい、こう思っております。
○玄葉委員 これは、本当に良質な業者、おっしゃるように休業要請の対象になっていないところも多いんですよ、そこと取引をしている業界とかですね。非常に良質なところが実は塗炭の苦しみを味わっていて、でも、原因は彼らにあるわけじゃないんですよね。彼らは何の間違いも犯していない、それなのに畳まなきゃいけないという状況になる可能性が極めて高いです。だから、これからの追加給付に含みを持たせたような御答弁でしたけれども、そのときにもう一工夫、要件を若干緩和していくとか上限を引き上げるとか、そのことをぜひ頭に入れていただきたいなというふうに思います。 次に、提言三の検査体制の強化の問題と、提言二の感染者の受入れ体制の問題に行きたいと思います。 この検査の話はもう言わずもがなになっていて、多くの方が指摘をしています。ドイツの十五分の一、人口が日本よりもっと少ないドイツですけれども、十五分の一だ、何でなんだとさっき聞かれたら、厚労大臣はいろいろお答えになられていました。初動の間違いもあったのかもしれませんよね。つまりは、やはり全員を入院させるということになるからベッドが足りない。 私、埼玉の保健所の所長さんが、病院があふれるから検査しなかったとおっしゃったのは、そのとおりだなと思っていて、私の知り合いの保健所の所長も同じことを言っていました。病院がいっぱいになっちゃうから、検査を実は抑制してきましたと。 だから、軽症者とか無症状者のための宿泊療養施設を用意するから、検査しようねとその方に私言ったんですね。そうしたら、何と言ったかというと、実は県はその準備をとっくに始めた、始めたらば、これは本当の話なんですけれどもね、厚労大臣、厚生労働省から、あんたのところは陽性患者が余り出ていないから、まだ早いと言われたというんですよ。 これ、やはり、厚労大臣はそう思っていないかもしれませんけれども、少なくとも担当者には伝わっていませんよ。こういった問題、すごく大事だと思います。ですから、そこはある意味、リーダーシップの問題だと思う。 同時に、軽症者とか無症状者の宿泊療養施設を今あちこちでそれぞれの都道府県が用意していますけれども、単価も示されていないらしいですね。つまり、宿泊、ホテルに対して一人幾らでお願いするのか。一人八千円なのか、四千円なのか、五千円なのかで、受け入れる側は考えちゃいますよ。まだ示されていない、これは本当ですか。
○加藤国務大臣 最初のお話なんですけれども、埼玉県とたしかおっしゃったと思います。 私ども、かなり、逆に、宿泊、例えばホテル等、こういうところがありますよということで積極的にこれはやらせてきていただいていますし、それは徹底させていただいているとは思いますけれども、実際、今、三十数都道府県においてこれを既に実施をしたり準備を始めているということでありますから、その中には、もちろんそんなに感染数が多くないところからも、今の段階から重症化することがふえることを前提に、そうした療養型の、宿泊の療養といったことについて今対応していただいている。むしろ、それは我々の方からもそういうお願いをさせていただいているところであります。 今のお話は、今回の新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金、これを創設して、宿泊療養に伴う費用については国が補助を行う、こういうことにさせていただいて、もう既にやっていただいているところも、事前に着手していることも対象にしますよということはお願いを申し上げているところであります。 最終的には、これをこれから個々に交付をしていくということにもなりますし、また、その際には単価の設定、これは、国から補助の上限額について、一定の補助基準額を設けていくということで、今、中で検討はさせていただいているところでありますが、個々の実態、既に実施されているところの実態、これもよくお聞きをしながら設定をさせていただきたいと思います。
○玄葉委員 これは大臣、遅いですよ、やはり。先手先手で準備をしなきゃいけない中で、今単価を決めようとしているというわけですから、これはどう考えても私は遅いと思います。ぜひ、これは急務なので、早く決めてほしい。 あとは、今、軽症者用と無症状者のベッドの話をしましたけれども、もっと大事だと思いますが、中等症以上のベッドの確保の問題なんです。 これも私の出身の福島県の一つの事例なんですけれども、感染症指定病院でコロナの患者を受け入れるということになりました。院内感染を防ぐために、四十八床あるワンフロアを全部あけたんですね。でも、医療スタッフの関係で、八床だけ使っている。残り四十床は空回り、空回しなんですね。そうすると何が起きるかというと、対前年比で、一月で八千万円の収入減だったそうです。なるほどなと思いましたけれども、でも、彼らは、自分たちがやらなきゃということで必死に頑張っている。 これを俗に空床補償、空のベッドの補償ということだそうでありますけれども、このことについては、やはり厚労大臣、財務大臣、ぜひ、十分な手当てを間違いなくするということをこの場でしっかり語ってほしい、約束をしてほしいと思いますが、いかがでしょう。
○加藤国務大臣 今、中等症ということでお話しになりましたけれども、重症においても、専門性の高い医療従事者を集中的に確保するということが、結果的には効率的な医療提供につながっていく。そういう観点から、病棟ごとや、あるいは一つの医療機関そのものをいわばこの新型コロナウイルス感染症に特化をしていく、そういったことの考え方をお示しをさせていただいて、そういった方向での検討をお願いしております。 そういった中で、今委員御指摘のように、感染症という、こうしたものに対応するためには、それだけ医療スタッフを集中的に投下しなければなりません。したがって、これまでやっていた病床数を減らして、例えば四十八を八とか、例えば二十あるものを七とか八つとか、そこに集中をして、そして、いるスタッフをそこに集中をする。 そうしたことも踏まえたことで、この間、特定集中治療室管理料等を算定できるようにして、実質、本来一番高い形の管理をしている、そこを倍増させていただいて、そうした集中をすることに伴って生じる費用の負担が賄えるということ、これは医療関係者ともよく御相談をさせていただきました。さらには、今回、感染症のリスクもありますから、そこも含めた加算もこの診療報酬でやらせていただきました。 そういったことを含めて、先ほど申し上げた集中をしていく、こういう流れをつくると同時に、箱物の整備としても、人工呼吸器とかECMOの整備等、こうしたハード面も含めて、今回の緊急経済対策で創設した緊急包括支援交付金、これによってしっかりと支援をさせていただきたいというふうに思っているところであります。
○玄葉委員 頑張っているところがばかを見るみたいなことには絶対にならないように。今の厚労大臣のお話は、要は、先ほどのような例、つまり、四十八床あって、医療スタッフが余りいないので八床に集中して、四十床は空回ししている、こういう空回ししている分は財源的な手当てをする、そういう意味だというふうに考えてよろしいですか。
○加藤国務大臣 空回しというか、実際その残りのベッド数は使えませんので、そこも勘案して、その八床なら八床、十床なら十床の診療報酬を倍増させることによって、トータルとしてのそうした集中に係る費用を賄っていく。これは、先ほど申し上げたように、それぞれの医療関係者から、大体具体的にどういうふうにやるのかを聞きながら設定をさせていただいた、こうした診療報酬の水準であります。
○玄葉委員 診療報酬を倍増しただけで、本当に、そんな頑張っている人たちの背中を押すというか、励ますような仕組みになるのかどうかというのは、私はちょっとわからないなと今思っていますね。 ただ、これから中等症以上のベッドを確保する上では、そういう仕組み、空床補償のような仕組みが極めて大事だと思います。そうじゃなかったら手を挙げないと思います。しっかりそういった仕組みを整えてもらいたいということを申し上げたいと思います。 そして、提言五の、ワクチンと治療薬の開発に集中投資をということも山中先生はおっしゃっておられます。これは、今も、治療薬については、アビガンやレムデシビルのことは先ほど午前中も予算委員会で議論になりました。 私、ワクチンの方なんですけれども、子細に見たんですけれども、何か三つ今開発していて、その三つについている予算が余りにも少ないんですね。私は、こういう非常時というのは、安全性に留意しながらも、非常時ゆえに思い切った開発費の支援を行うべきだというふうに思います。空振り三振でもいいから見逃し三振はするなということだと思います。 率直に言って、数億円の支援で一カ月ワクチンの開発が早まるなら、それが効くという前提ですけれども、それはもう多くの人の命も救われるし、数兆円の恐らく経済効果じゃないかなというふうに思うんですね。こういうところに絶対やはりけちけちしないということが大事だと思います。 蛇足かもしれませんけれども、医療用マスクとかガウンとかが足りないといって、国内の製造拠点に補助を出していますよね、三分の二とか四分の三とか。私、自分だったら十分の十出すなと思いますね。十分の十出して全部買い上げるといった方がやはりよかったと思うんですよね。これは、こんなところでけちけちしない方がいいと思うんですよ。 やはり必要なところにはきちっと出すということをやってもらいたいのと、最後は審査を、治験と承認と両方あると思うんですけれども、この期間を短くするということには、やはり官僚は逡巡するというか慎重になるという側面は、この間の薬害エイズの問題とかがありますので、どうしてもそういうところはあると思うんですね。やはりここは、何があっても政治家が、最終的には自分が責任をとるということをはっきり示しながら、この問題に当たってもらいたいと思いますが、総理、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 新型コロナウイルス感染症を収束させるためには、治療薬とワクチンが必須であろうと思っております。そのための予算につきましても、今回の対策の第一弾そして第二弾によって、例えば第二弾において、ワクチン開発の支援が百億円、そして、産学官連携による治療薬等の研究開発のためのAMEDへの出資が二百億円ということになっております。 現場に対しては、まさにこれはお金に糸目をつけずに、また、CEPI、GAVIにも、御承知の世界的な、国際社会でワクチンを開発するということにおいて、CEPIにも出資をしているところでございます。 大分有力候補も出てきております。国内においては三つ。東大、そして阪大、また国立感染症研究所ですか、三つの、今、開発が進んでいるわけでございます。また、塩野義においても開発が進んでいるということを聞いているところでございますが、しっかりと支援して、一日も早く、これは、日本がつくるということだけではなくて世界の英知を結集して、一日も早く有効なワクチンの開発にたどり着きたい、成功したい、こう思っております。
○玄葉委員 これは総理、輸入は余り当てにしない方がいいと私は思っていて、やはり国産でしっかり開発すべきだ。そのためには、開発費支援を惜しまない、しかも早くつけるということが大事だと思います。 最後に、新型ウイルスについての偏見と差別が蔓延している問題です。 新居浜で、トラックドライバーの保護者が感染拡大地域を行き来したというだけで、お子さんに自宅待機が求められて、入学式とか始業式に出られないという事態がありました。私、原発事故のときに、福島県外に避難した子供たちがいじめを受けたことを思い出して、本当に心が痛む思いがいたしました。 これは総理にぜひ申し上げたいんですけれども、総理がいろいろメッセージを国民に語りかけるときに、きちっとこれを言ってもらいたい。そのときに、コマーシャルを見てもそうなんですけれども、医療従事者への偏見と差別はやめようと言っているんです。だけれども、感染者とその家族のことを言っていないんですね。感染者と家族への偏見、差別がなくならないと、検査を嫌がる人が出てくると思います、差別を受けるということで。これはすごくよろしくないので、総理、これから、事あるごとに御自身でメッセージを出されると思います。ぜひ自分の言葉で、これからおっしゃってもらいたいと思うんですが、そのときに、このこともきちっと、短い言葉で語ってほしいと思いますが、いかがでしょう。
○安倍内閣総理大臣 かつて、福島原発事故において、福島県の方々に対するいわれなき差別がありました。また、今回の新型コロナウイルス感染症で罹患した方々、あるいはその家族に対して、許すことのできない差別があるというのも事実である、これは恥ずべきことであろう、こう思っております。誰もが感染症に感染するおそれがある中で、まさにみんなで協力して乗り越えなければならないわけであります。 今月の四日から、政府広報において、テレビスポットCMで、新型コロナウイルス感染症について、正しい情報により対応すべきことなど、人権への配慮を呼びかけ、不当な差別、偏見を防止するための取組を行ってきたところでありますが、おっしゃるように、日本においてはコロナ差別はないということを世界に胸を張って言えるように、我々も全力を尽くしていきたい、こう思っております。
○玄葉委員 これで終わりますけれども、コマーシャルは、できればチェックしてもらいたいんですけれども、医療従事者等への差別、偏見をなくしましょうなんですよね。やはり、直接きちっと感染者及びその家族も入れた方がいいと思います。 以上です。どうもありがとうございます。