原子力問題特別委員会で質問に立ちました。(令和2年5月19日 議事録)
○玄葉委員 玄葉光一郎です。 立国社の会派に所属をしております。 きょうは、限られた時間でありますけれども、F1、東京電力福島第一原発の廃炉の状況、さらには、可能なら核燃サイクルについて議論したいと思います。 F1、これはもう、この着実な、かつ安定的な廃炉というのは、福島の復興はもちろんですけれども、日本国にとっても最大の課題、大命題だというふうに思います。この状況をしっかり監視をするというのは、原子力規制委員会の極めて大切な役割だと思いますし、私たち国会議員もしっかり監視をしなきゃいけないと思います。そういうチェックが働かなかったから、あの未曽有の、人類史上初と申し上げてもいい大事故が起きたということだと思いますので、私もできる限り定期的に現場に行ったり、あるいは地元の現場の内部の声も含めて吸い上げる努力をしているところであります。 せんだってというか、この特別委員会に私も質問に立たせていただいたときに、更田委員長が再三指摘をされてこられた人員不足について、私もそうなのではないかということを申し上げてまいりました。東京電力は、結果としてそれを認めて、九十人、本社から社員を移したということでありまして、私はその点について一定の評価をしたいというふうに思います。 あわせて、ほかにも実は懸念の声がいろいろと私のところには届いていて、質問通告の紙にも書かせていただきましたけれども、一つは、技術力のあるマンパワーが不足してきているんじゃないかということを指摘する方々が実は結構いるんですね。わかりやすく言うと、東電でも東芝でも日立でも、すごく熟練の技術力のあった人を六十歳でやめさせちゃって、もったいないという周りの声があるんですけれども、実は本当に現場から去っていくということが起きていて、大丈夫なのかという声が私のところには届いています。 さらに、あわせてもう一つ関連して申し上げると、ゼネコンのプロジェクトには結構予算がつきやすいらしいんですけれども、例えば、別に私、東芝、日立の応援をしているわけじゃないんですが、そういったプラントメーカーのプロジェクトには余り予算がつかないので、どうも現場対応に魅力を感じていないのではないかということが、実際の廃炉現場にいる人たちが心配しているのですけれども、こういった声、ぜひ更田委員長に私届けたいなと思っていたのですが、委員長はどういうふうにお考えでしょうか。
○更田政府特別補佐人 お答えをいたします。 まず、三つのことについてお答えをしたいと思います。 一つは、これは人手不足と先般申し上げたことでありますけれども、人手が足りていないのではないかということに危機感を持っているというふうにお答えをいたしました。そして、現時点でもまだなお安心したわけではありません。 御質問の中にもありましたように、東京電力は、人材のシフトでありますとか、あるいはOB等の活用といった提案はしておりまして、これが本当にうまく働くかどうかは今後ともしっかり見ていかなきゃならない、本当に人材不足は解消されるのかというのはきっちり見ていかなきゃならないと思っております。 それから、適材適所といいますか、人材、実力のある人がきちんと配置されているかどうか。これはなかなかに難しいと思いますし、私たちは一定の、それこそ、同じ言葉になりますけれども、危機感を持って臨まなければならないのではないか。 と申しますのは、産業としてそもそも原子力が、相対的な魅力という点において、技術力の高い人を配置させようとする動機づけを民間企業にきちんとできる状況にあるかというと、これは率直に申し上げてなかなかに難しい状況にあると思いますので、やはり廃炉作業、これを決して、実際としては起こしてしまった災害への対処ではあるんですけれども、技術屋に対しては、後ろ向きだけとは捉えずに、さまざまな技術開発を通じて、魅力あるという言葉はちょっとなかなか使いにくいですけれども、できるだけ技術力の高い方々、また若い方々にチャレンジしていただけるような状況というのは、これは東京電力がまず考えることだと思いますけれども、私たち規制当局としてもこういったところには関心を持たざるを得ないだろうと思っております。 それから、具体的な固有名詞に関して、私たちは常に関心を持っております。やはり、枢要部署にはふさわしい人についてもらうように、東京電力はこの福島第一原子力発電所の廃炉だけをやっているわけではありませんので、できるだけ東京電力に、ふさわしい人物をこの廃炉作業に配置するように、これはしっかりと見てまいりたいと思います。 それから、もう既にちょっとお答えしてしまったかもしれませんけれども、人がその作業に加わる上での魅力といったもの、これは政策側、推進側の懸念でもありますでしょうし、また私たちにとっても、先ほど新しい検査制度について御質問がありましたけれども、規制する側にとっても、人材の育成や高い技術を持った人の活用というのは大きな問題でありますので、特にこの東京電力福島第一原子力発電所の廃炉についてはしっかりと見てまいりたいというふうに思います。 ありがとうございました。
○玄葉委員 ありがとうございます。 更田委員長の言葉の中にあった、チャレンジする、魅力ある廃炉現場というか、そういうことも本当に留意しないと、結局人材が行かなくなっちゃうんじゃないかということを実際に現場にいる人たちから聞くんですね。ぜひこれは、委員長、意識をしていただきたい、そして事業者側と話をしてもらいたいと思っています。 あわせて、時間がないので別のジャンルのことを一緒に聞いちゃいますけれども、これも耳に入れておきたいのは、やや細かな話のように聞こえるかもしれませんけれども、格納容器ですね。あの三・一一のときのPCVという格納容器、これが少なくとも一定程度守られたということは本当に大きなことだったと思いますけれども、どうも、この格納容器、火災の可能性があるんじゃないかということを心配する向きがあります。ぜひこのことも耳に入れておきたい。 それはどういうことかというと、窒素ガスの発生器で酸素濃度をコントロールしているんだけれども、その建屋の外からの長い配管でその発生器ができていて、かつ、PCVの中、つまり格納容器の中は通電されていて、モニターもどうも老朽化しているという指摘が私のところに届いていまして、これは委員長の耳にも入れておいた方がいいなということで、この場で申し上げたいと思います。 あわせて、ジャンルは違いますけれども、ただいまも話になった核燃サイクルの問題ですが、先般、六ケ所の施設を審査をした際に、更田委員長は、経済産業大臣宛ての意見聴取の中で、この六ケ所の再処理施設の運転がエネルギー基本計画に沿ったものであるのかどうか、改めて確認しておきたい、こういうふうにおっしゃっておられて、これはやはり何かしら懸念を感じているからこういうことをおっしゃったのかということをお尋ねをしたいと思います。
○更田政府特別補佐人 お答えをいたします。 まず、東京電力福島第一原子力発電所。 格納容器だけに限らず、非常に高い放射性物質がたまっている廃棄物建屋ですとか、そういった建屋について、火災というのは、確かに、先生御指摘のとおり、非常に注意しなければならない高いリスクの一つだというふうに考えております。御指摘ありがとうございます。 それから、日本原燃再処理施設の審査書案を取りまとめるに当たって、経済産業大臣に対して、エネルギー基本計画にのっとったもの、沿ったものであるかどうかというのを改めてお伺いをしたのは、これは、そもそも、その事業の正当化といいますか、その事業を行うことを正当化するプロセスというのは、規制の前段階として、一番最初の段階としてあるものです。 再処理施設というのは、使用済み燃料を切断をしますし、通常時にあっても、他の施設に比べると多くの放射性物質を環境に放出をいたします。このような事業が政府の政策としてきちんと正当化されているのかどうかということについて、こういったサイクル施設の、大きなサイクル施設の審査としては規制委員会としては初めてになることですので、改めて経済産業大臣に確認をさせていただくという趣旨で加えた文言でございます。
○玄葉委員 もう時間が来たので終わりますけれども、廃炉現場のことは、私は専門外なので、逃げるわけではありませんけれども、更田委員長の方でよくよくチェックをしていただきたいというふうに改めて申し上げたいと思います。 そして、核燃サイクルは、私は、一言で申し上げると、やはり思考停止になっていると思っているんです、この政策そのものについて。ですから、非常に気になります。 田中さんという前委員長は、もうはっきり最近はインタビューなどにも答えるようになっていて、明らかに間違っているということをおっしゃって、先ほど逢坂さんとの議論の中で……
○江渡委員長 申合せの時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。
○玄葉委員 はい。荒井さんときちっと連携していますから、心配ありません。迷惑はかけません。 そういうことがあって、逢坂さんとの議論の中でもありましたように、やはり直接処分の方がよいのではないかという議論があるということでございますので、規制する立場でなかなか言いにくいということだと思いますが、これについて何かしらコメントがあれば最後におっしゃっていただいて、終わりたいと思います。
○更田政府特別補佐人 原子力規制委員会設置の際に国会でさまざまな議論が行われたものと承知をしております。 その中で最も大事な教訓というのが規制と推進の分離でありました。政策側、推進側は規制に介入するべきではない、同時に、規制側は政策側に介入するべきではないと考えております。規制がいたずらに政策側に介入すると、これは政策側からの介入を招いてしまう結果にもなりかねませんので、そういった意味で、規制と推進というものの分離というのは私たちにとって鉄則でありますので、政策についてのコメントを差し上げるのは控えさせていただきます。
○玄葉委員 終わります。