東日本大震災復興特別委員会で質問に立ちました。(令和4年3月16日 議事録)
○玄葉委員 玄葉光一郎です。11回目の3・11、2時46分は、福島県の主催する追悼式で手を合わせてまいりました。 私も、2011年の3・11は、福島県出身かつ選出で、閣僚でかつ与党第一党の政調会長という立場で3・11と向き合ったものですから、当然ながら今の立場でも与党も野党もなく責任を持った対応をしたいという思いで、この問題に向き合っております。 それで、どうしても、私たちというか私が心配になることがたくさんございます。全体として申し上げると、息切れが心配です。特に、福島の復興の大前提は、言うまでもないことでありますけれども、1F、福島第一原発、事故炉の着実な安定した廃炉ということになります。 まず、改めて確認をしたいと思いますし、念を押しておきたいと思うのは、やはり廃炉にはお金がかかるんですよね。通常の廃炉とは違います。事故炉の廃炉です。もちろん、仕組みは、自分もいわば関わってつくった仕組みです、今の原賠機構とかはですね。だから、よくよく承知しておりますけれども、やはり心配は尽きないんですね。 今の東京電力がどんどん廃炉のための資金を毎年三千億ぐらい積み立てていく仕組みになっているわけですけれども、さて、これから年々三千億で本当に大丈夫なのだろうかとかですね。デブリを取り出し始めたら結構お金がかかりますよね、予想もできないところもありますよね、さて、そのくらいのお金で大丈夫なんだろうか。もっと言えば、東電の経営自体がそれだけの資金を生み出せるような経営にこれからなっていくんだろうか。いろいろ心配は尽きないのでありますけれども、この資金の問題、担当大臣、いかがでしょう。
○石井副大臣 東京電力は、賠償や除染などの原資を捻出して、福島の責任を貫徹するためにコスト削減努力も含めた様々な経営改革を進めているところではありますけれども、福島第一原発の廃炉等が必要な資金の不足によって進まないということ、これはあってはならないということであります。このため、御存じのとおり、2017年に原子力損害賠償・廃炉等支援機構法を改正いたしまして、東電に対して廃炉等に必要な資金の積立てを義務づける制度、これを創設いたしまして、中長期にわたる福島第一原発の廃炉等に要する資金が確保されるよう、国として措置を講じております。 また、廃炉等を進めるための制度整備に必要な資金の規模感でありますが、原子力損害賠償・廃炉等支援機構による有識者へのヒアリング等に基づきまして、一定の蓋然性を有するものとして8兆円とお示ししております。 福島第一原発の廃炉作業は世界にも前例のない困難な取組でありまして、安全かつ着実に作業が進められますように、引き続き、体制も含め、しっかりと取り組んでまいりたいと存じます。
○玄葉委員 仕組みはもちろんよく承知をしているのでありますけれども、やはり私が心配なのは、例えば、予定している再稼働が進まなかったとかいろいろなことが東電にもあり得るし、あるいは、廃炉作業そのものにも予想よりも、先ほど8兆円という話がありましたけれども、コストがかかる可能性もあるわけです。つまりは、積立不足が生じる可能性、リスクというのが常にあるということをやはり危機管理をする側は考えておかないといけないし、国会としても、立法府としてもきちっと監視をしていかなければならないというふうに思うんです。そういう意味で、積立不足が生じた場合にどうされるか、それについてお尋ねをいたします。
○石井副大臣 廃炉費用の見通しについてでございますけれども、先ほど申し上げたとおり、8兆円という見通しについて、一定の蓋然性を有したものとしてお示ししているところであります。 今後の費用見通しは様々なことも想定されるわけでありますけれども、議員御指摘のとおり、デブリの性状とか分量の把握ということが今できない段階でございまして、このことの具体的な費用見通しを現在申し上げるということは困難であるということも御理解いただきたいと思います。 そういった事情でございまして、もちろん、東京電力に対しましても国としてしっかりと、経営状況を含めまして、これからもしっかりと調査をし、事情聴取をして、そのことも念頭に置きながら対策を講じていく必要があるということは重々承知いたしております。
○玄葉委員 西銘大臣、お聞きになったと思いますけれども、一言で言えば、経産副大臣を責め立てるつもりはないのでありますけれども、残念ながら今の政府の仕組みだと積立不足が恒常的に生じた場合の対処法はまだ決められていないんです、簡単に言えば。やはりこれは大臣として認識をしていただいて、経産大臣、官房長官、総理とある段階で次のステップに進まなきゃいけない、そういう側面が課題としてあるということを是非知っていただきたいなというふうに思うんです。 というのは、結局、もちろんコストカットは大事なんですけれども、三千億円を積み立てなきゃいけないからコストカットするぞみたいなことになっていくんですけれども、結局、火が燃えているのに、火事が起きているのに、消防の水が足りなくて火事が消せないみたいなことがあり得るんですね。つまりは、事故に対してしっかり対処しなきゃいけないのに、当然ですけれどもいろいろなところでコストカットしなきゃいけないからといって、いわば事故のために使うコストを節約し過ぎて、事故に対して十分な手当てができない、対処ができないみたいなことを、私らのような地元の立場はとても心配するんです。 ですから、消火活動に十分な水がきちっと使えるような、そういう仕組みをやはりもう一段考えていかないといけないかな、将来の積立て不足が生じたときの対処法も含めてしっかり考えておかなきゃいけないな、そういう思いで念押しで申し上げている。西銘大臣、一言、いかがですか。
○西銘国務大臣 今、玄葉委員と石井副大臣のやり取り等を聞いておりまして、そういう課題が将来出てくるのかなという思いでお話を聞いておりました。復興庁、復興大臣としましても、経済産業大臣やあるいは官房長官等ともこういうことを、委員のお話を含めて検討しないといけない時期が来るのかなという思いで聞いております。今、消火に必要なというお話を聞いておりまして、首里城が焼失したときのことを少し思い出しました。あのときには消防がなかなか入れないような状況もあったということも思い起こしながら。 私の職責は、復興に向けて全力で取り組むという立場ですから、その立場を見ながら関係大臣としっかり話し合っていかないといけないなという思いで聞いておりました。
○玄葉委員 是非、復興の大前提が1Fの着実な安定した廃炉なので、担当大臣とは違うかもしれませんけれども、やはり、常に関心を持ってもらって、経産大臣とよく連絡を取り合ってもらいたいと思います。あと、今も議論になっておりました処理水の問題なのでありますが、私は科学的な安全性を信用している方だと思っておりますが、やはり、風評被害が出ることはほぼ間違いないだろうというふうに思っています。なかなか合理性だけでは判断できないのがこの種の問題だというふうに思っています。 特に、通常の原発から出るトリチウムは、私はもちろん安全だと思っておりますし、これまでも、これからもそれでいいと思っているんですが、今回の1Fの場合は、どうしてもそこと違うのは、溶けた燃料デブリに触れてしまった水だということで、幾ら科学的な説明ができたとしても、残念ながら、何ていうのかな、通常の原発とは違うよねということになってしまうということで、やはりいろいろなことを私たちは追求しなきゃいけないんだろうというふうに思っています。 そのうちの一つは、トリチウムの分離というものが本当にできないんだろうかということなんです。これは何回も聞いていて、私はもちろん十分これまでの経緯を承知しているつもりであります。どうも、子細にフォローしていくと、かなりの程度、いいところまで来ているなというふうに考えているんです。 間違った解釈をしていただきたくないのは、仮にトリチウムの分離技術が活用できるものになったときに通常の原発にも使えと言っているわけでは決してありません。通常の原発は今までどおりでいいと思います。そうじゃなくて、やはり、風評被害対策として、福島の原発には使えるとなったら使っていくということを真剣に考えてもらいたいんです。 これは何がいいかというと、希釈するわけですよ、薄めるわけですよね。薄めると膨大な量になっちゃうわけですよ。膨大な量になるから、予定どおり海洋放出ができたとしても、風評被害を続けながら、三十年、四十年とかかっていくんです、処分するのに。仮に分離の技術が使えれば、ほとんど薄めなくていいわけです、希釈しなくていいわけですね。そうすると、あそこの敷地もあっという間に片づいちゃうんですね。いろいろな評価はもちろんあると思うんですけれども、もっと真剣に活用方法を考えてもらいたいなと思っていますが、いかがでしょうか。
○石井副大臣 まず、一般的に、トリチウム分離技術ということでありますけれども、これは水からトリチウムを完全に除去するという技術ではございません。高濃度の水と低濃度の水に分離する技術であるということでありまして、仮にALPS処理水の分離技術の実用化ができたといたしましても、トリチウムを含む水を処分するということは避けられないという点、このことをまず留意する必要があるかと思います。 他方で、現在、東京電力によってトリチウム分離技術に関わる公募が行われているところでありまして、今月、将来的に実用化に向けた要件を満たす可能性のある11の技術、これが選定されたと承知をいたしております。 これらの技術はいずれも直ちに実用化できる段階ではございませんが、今後、これらの技術の提案者を対象といたしまして、技術、実証データの精度、信頼性を高めていくとともに、原子炉等規制法等の国内法令への適合性、あるいは福島第一原発で運用する上での敷地制約への適合性といった、実用化に向けた詳細について具体的な検討を行う、こういったことなどを目的といたしましたフィージビリティースタディー、これを実施する予定であると聞いております。 こうした取組を通じまして、実用化を妨げている課題、あるいはそれらを解決するに当たって発展が必要となる技術の特定、これを行うなど、実用化に向けました取組を続けていく、このように承知をいたしております。 政府といたしましても、技術の進展に期待をしております。引き続き、東京電力の取組の状況も含め、最新の技術動向を注視してまいりたいと存じます。
○玄葉委員 石井副大臣、実は、もちろん濃いトリチウムは残るんですけれども、場合によってはそれを固化形にしちゃったっていいわけですよね。いろいろな方法があり得るので。やはり、いろいろ考えていくと、私も詳しいですから、ずっと勉強していたので、どうもできそうな気がしますね。 文挾さん、東電、来ていますね。東京電力で、今御説明があったような技術の公募をしています。ただのアリバイづくりでやってはいけませんよ。これはとても大事なことだと思っていて、是非、どこがどんな技術を提案しているのかも含めてオープンにやってもらいたいと思いますが、いかがでしょう。
○文挾参考人 それでは、お答え申し上げます。 技術動向の調査に関しましては、透明性を確保するために、今、公募により技術の提案を受けているということでございます。その公募を受ける提案をした中で、今答弁がございましたように、十一件は二次評価を通過いたしまして、これからフィージビリティースタディーをしていくという段階にあります。 こういう方たちの公表につきましては、実は、現段階では公表に同意しない個人の方とか組織の方という方がいらっしゃいますので、今現在非公表になってございますが、この方たちとまた御相談をしながら公表に向けては考えていきたいというふうに考えてございます。 以上でございます。
○玄葉委員 公開、透明性、とても大事なことで、そうすると、文挾さん、どのような専門家がどのような基準で評価をされているのか。これも私は全く分からないです、調べても。こういうことも含めて、例えばプラント関係者は入っているのかとか、これはいかがですか。
○文挾参考人 それでは、お答え申し上げます。 現在、透明性を確保するという意味では、国際的な技術調査会社でありますナインシグマ社という会社を選定させていただきまして、ここで五月から国内外を問わずトリチウムを分離する技術の公募を実施してございまして、一次評価につきましてはこの会社に行っていただくということをさせていただいてございます。 二次評価につきましては、一次通過した方々の提案内容をよくよく吟味をするということで、論文を確認したり、原理の検査を慎重に行うということもさせていただきまして、当社の方で二次の評価の方はさせていただいているという状況であります。 以上でございます。
○玄葉委員 ですから、ナインシグマが評価をしているのは知っています。公表している情報です。ただ、どういう専門家がどういう基準で判断しているのかということを聞いています。
○文挾参考人 お答えをさせていただきます。 公募に当たりましての条件といたしましては幾つかございます。その条件に対しましては、トリチウムの処理の後が処理前の千分の一以下であるとか、そういうことを確認させていただきまして、ナインシグマ社の方で評価をしているというふうに認識してございます。 以上でございます。
○玄葉委員 もう質問時間が終わっちゃったので終わりますけれども、今私が聞いているのは、ナインシグマがやっているのはよく分かっている、どういう人が、どういう判断基準で、どういう専門家が入ってやっているのかということを公開してくださいと。 公開はとても大事なので、改めて申し上げて終わりますけれども、この技術がもし活用できるようになったら、積極的に活用してほしいんです。そうすると作業が早く終わります。早く終わっちゃうので、是非これは、地元としては大変大事なこととして申し上げているので、そのことを改めて東電としても認識して、オープンにやるということも含めて申し上げておきたいと思います。 最後に何かあれば。
○伊藤委員長 時間がないので、手短にお答えください。
○文挾参考人 それでは、お答えさせていただきます。 今先生から御指摘いただきました点を十分考慮いたしまして、これから、透明性を図るという意味で検討してまいりたいと思います。 以上でございます。
○玄葉委員 どうもありがとうございました。