東日本大震災復興特別委員会で質問に立ちました。(令和4年4月28日 議事録)
○玄葉委員 玄葉光一郎です。今、立憲民主党の復興の本部の本部長をさせていただいております。 この機構の設立、大変重要ですし、期待もしています。そして、ありがたいことだというふうにも思っています。私、福島選出でございますし、あの3・11当時、唯一の被災地出身の閣僚でもあったかと思います。そういう意味で、まずは、この機構の設立にこれまで努力されてきた全ての方々、また現在も努力されておられる全ての方々に敬意を表したいというふうに思っています。 ただ、問題は、この機構、やるからには必ず成功させなきゃいけないということだと思うんですね。ただ、現段階ではまだ、絶対に将来成功するという確信を抱くにはまだ至っていないというのが正直なところでありまして、この審議を通じてよりよいものにしようということで私は審議させていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。 今もお話が出ていたんですけれども、この機構は、一つは、国を代表する研究機関にするんだと。イノベーションに向けて国を代表する研究機関にする、最先端のものにする、これが一つありますけれども、プラス、地元への裨益、地元への還元というのがある意味一つの特徴だと思うんですね。まさに今お話のあった、設立目的が似ているなというのはOISTなんですよ、沖縄の科学技術大学院大学。 西銘大臣は沖縄出身で、また選出でいらっしゃるわけでありますけれども、組織の形態も含めて似ている面もあるわけで、私は、このOISTを大臣がまずどういうふうにこの十年評価されているのかなということにまず興味がある、そして同時に、OISTのどういった面を参考にし、逆にどういった面を反面教師にしながらこの問題を考えていくかということをまずお尋ねしたいと思います。
○西銘国務大臣 OISTの設立につきましては、私が落選中も含め非常に印象に残っておりますのは、尾身幸次先生のすごいバイタリティーと、例えば、有馬先生とで、ベスト・イン・ザ・ワールドという言葉が当時からずっと頭の中にこびりついております。 私個人の当時の感覚は、ベスト・イン・ザ・ワールドの大学院大学を、場所が沖縄だという認識で、どちらかというとおりました。 実際、できて十年間になりますけれども、地元の国会議員等の議論を聞いておりましても、沖縄振興予算がOISTの部分に割合が高くなっていくと沖縄振興そのものの部分がないんじゃないかという懸念の声等もありました。 ベスト・イン・ザ・ワールドで、ノーベル賞を取った方を理事長に持っていく、あるいは、そもそも基礎研究の分野が強いものですから、地元に貢献していくという意識は設立当初の私個人の感覚からするとむしろ薄くて、世界に冠たるベスト・イン・ザ・ワールドのOIST、沖縄科学技術大学院大学が、場所が沖縄でできるんだなというイメージで私は個人的に見ておりました。 しかし、現実は、沖縄振興予算の部分との兼ね合いもあってそういう心配もあった。ですけれども、今、現実、私は沖縄担当の大臣も兼ねておりますが、OISTの周辺でやはり、地域に貢献する、沖縄振興に資するという視点が出てきたのは感じております。ですから、沖縄が我が国日本の経済成長の牽引役になるという指示書の一部を受けていても、OISTを中心にスタートアップの企業ができてこないかな、その辺のところが我が沖縄が日本経済の成長の牽引役になるという部分につながっていくのかなというイメージは、現在、大臣に就任して持っております。 福島国際研究教育機構の私なりの感じ方は、県知事が協議会の中に入っているという点はOISTと違っているのかなと。ですけれども、世界に冠たるベスト・イン・ザ・ワールドと世界に冠たる福島国際研究教育機構という意味では少し似ている部分もあるなと。むしろ福島の方がもっと、地域の人材を育成していく視点とか、地域に貢献していく経済の視点とかいうのはOISTよりは強いのかなという印象を私自身は受けております。
○玄葉委員 ありがとうございました。私も国会議員29年目なので、尾身先生の御尽力とか有馬先生の話はよく覚えております。 先ほど、統括官かな、この問いに対して、研究の成果は上がっていると思う、だけれどもいわゆる沖縄振興という面ではちょっと薄いかなというようなお話がありましたけれども、今の大臣のお話だと、沖縄で実際に政治活動をされていて、そもそも、むしろベスト・イン・ザ・ワールドの研究機関、大学院大学をつくってそれがたまたま沖縄なんだということが最初の印象だったというお話でございました。確かに若干、そういう意味では機構とは違いはあるんだろうなと。 ただ、面白いなと思ったのは、研究成果を上げるに当たって、資料にもありましたけれども、学長さんの年間報酬、私、高過ぎるということで申し上げるわけではないんですけれども、何かいろいろなものを入れると約7500万だということのようでございます。では副理事長さん、副学長さんはどうなんだと聞いたら、約2500万、2600万だそうであります。学長さんはドイツからいらっしゃっているということで、世界的な権威の学者であり、またガバナンス能力があるということなんだと思います。教員はと聞いたらば、平均1600万だと。一番上は2100万、下は800万だそうです、OISTは。 東京にある私立大学より結構高いですよね。結構私立大学の学校の先生って教授でももらっていないんですよね、意外と。だから、結構処遇はいいんだと思います。何を申し上げたいかというと、独法だとやはりどうしても処遇に限界があるんだろう、だから今回は一種の特殊法人というものにするというのは私はよく分かるんです。ですから、今も話は出ていたんですけれども、やはりそれをいかに活用して人を集めるかということなんだろうなと。 成功の最大のポイントは、優秀な人材をいかに確保するか、このことに尽きると思います。そのときの一つは、何度も出ていますけれども、今申し上げたような、処遇の柔軟性を制度的につくって、いかにそれを具体的に運用するかということなんじゃないかと思いますけれども、OISTのような、そのぐらいの幅を持った、幅を持ったというのは、かなり柔軟性がありますよね、そのくらい、つまり学長は7500万ですから、聞いたら意外とびっくりしますよ、7500万の年収というのは。そのぐらいの感覚を持って今度の学長さん、理事長さんも実際にそうなるかは別として迎えていく、そういうおつもりですか。
○西銘国務大臣 理事長の選任に当たっての、マネジメント能力があるとか研究の実績があるとか、そういう視点で選んでいくということは公表されていると思いますが、私自身がどちらかというと、その辺の専門分野のことが、どの人が、どの研究者が優れているということがないものですから、その考え方に基づいて、おっしゃるように理事長の力で優秀な研究者が集まってくるということはあろうかと思います。 待遇の分野、あるいはその家族の、子供たちの教育を含めて生活環境の分野、OISTの周辺を見ると、英語で研究者の子供たちの教育をするのが周辺にできてきておりますし、生活環境の分野等を考えると、福島国際研究教育機構の場合もその辺までしっかり県や市町村と連携をして取り組んでいかないといけないなとは思っておりますが、一番の要はやはり理事長の人選に来るのかなという考えはあります。 処遇の面については今私の方から現段階では発言はできませんけれども、極めて重要な理事長人事だという認識はございます。
○玄葉委員 理事長は最大のポイントの一つです。これは明らかにそうだと、私も経験上そう思います。ですから、世界に名前も含めてとどろいている有馬さんのような方が、ある分野で、例えば放射線科学の分野でいらっしゃるとか、そういうことが一番なんですが、ただ、多分もっと大事なのはガバナンス能力で。 ちょっと私が聞きたかったのは、本当に必要なら、7500万かどうかは別として、かなりの報酬を払ってでもお迎えをする、やはりそういう姿勢を大臣として持たれていた方がいいと思うんですね。その点はいかがですか。
○西銘国務大臣 OISTを見てきている者としましては、要になる理事長の人材で、待遇の面で、待遇が悪かったから来られなかったということはないようにしないといけないなという意識はあります。
○玄葉委員 もうそこは大臣としてはっきりおっしゃっていいと私は思うんですよ、おっしゃる権限もあるし。だから、それはもう、むしろぐいぐい引っ張っていただいて。待遇で説得できなかったということがないように。 何か、内々お聞きすると、候補者リストはできているけれども、まだ、はっきり言うと直接当たって説得できているわけじゃないということだと思うんです。だとすれば、やはり待遇面でそんなことがないように、それはきちっとやるんだということで、是非、大臣、強く指導していただいた方がいいと思います。 あと、人材を集めるときに、これもやや技術的ではあるんだけれども大事なのは、施設とか設備、最先端のものが、ここにしかないというものが機構にはある、そういうことが大事だと思うんです。 何か、OISTも、聞いてみたらば、OISTはOISTで、スパコンとか電子顕微鏡とかDNAの塩基配列の読み取り機器とか、ここにしかないというものがあるというわけですね。
例えば、これを考えるに当たって参考にしたと言われている米国のハンフォード・サイトの国立研究所、パシフィックノースウエストなんかも、やはり最先端の設備というものを売り物にして人を呼んでいる。だから、この機構も人を集めるに当たっては、やはりここじゃないとできないよねというものをお金がかかってもしっかり整えるということが大事だと思うんですけれども、それをどう考えておられますか。
○西銘国務大臣 国内外の優秀な研究者にとって魅力的な研究環境を提供し、世界水準の研究を実施するために、関係機関と連携して設備等の研究環境を整備することとしております。 具体的には、放射線の研究開発に必要な加速器であるとか、先般私も地元を回ったときに見させていただいたんですが、世界最先端の超大型のエックス線CT装置、これは、具体的に私が説明を受けたときには、車が一台入ってエックス線で全て見ることができるCT装置ですという説明を受けましたが、設備を含めてこれらの整備についても検討することを想定しております。 今後、機構の研究内容の具体化に合わせて、研究者や関係機関等の意見を伺いながら、必要な設備等についても検討を進めてまいるつもりであります。
○玄葉委員 実証フィールドを含めて、ここにしかないというものが大事だというふうに思います。 それと、今までも出ていますけれども、生活環境が、避難指示、12市町村の中から選定するということもあって、なかなか難しいなというふうに実は思っていて。やはり、OISTは、那覇があって、恩納村があって、リゾート地として整備されていますよね。あるいは、けいはんなとか、筑波とか、そういったいわゆる研究都市というところは比較的それに合わせて国がしっかりと都市計画をして、まちづくりにも関わったというケースが多いです。 だから、今回、12市町村、避難指示が出た場所の中から立地場所を選定するということなので、私のお願いは、これは基本的にはそれぞれの市町村と県がとても大事な役割を果たすんですが、国もここは積極的に関与して、住まいとか教育環境とか医療だとかを整えるって結構大変だなと思っているんですよね。一流の研究者の皆さんが来て、先ほど来から出ていますように、そこにとどまってもらうということについてですね。だから、結構、10年、20年計画のまちづくりにこれもなっていくんじゃないかと思っておりますけれども、大臣として、ここをしっかりとコミットしていくということについて言及していただけますか。
○西銘国務大臣 玄葉委員御指摘のように、世界から優秀な人材を集めるためには、住まいや教育の問題、子育ての問題、医療やあるいは交通インフラの分野まで含めて、生活環境を充実させていくということが極めて重要であると考えております。 立地の選定に当たっては、福島県の方で今、市町村と連携しながら取り組んでいると承知をしておりますが、やはり研究者が安心して研究、教育活動に打ち込める、そしてイノベーション・コースト構想の効果が最大化できるように、広域的な視点に立って候補地を選定する考えであると承知しております。 機構の立地を契機として県や市町村が取り組むまちづくりについても、国として緊密に連携しながら機構の施設整備を進めてまいる考えであります。 私も、復興大臣として、その辺のところはしっかり取り組んでいかなければいけないなという認識をしております。
○玄葉委員 あとは財源ですね、これまでも出ておりましたけれども。まず、この機構の年間予算規模というのは、本格的に軌道に乗った場合、どのくらいの規模感というものを想定しておられるのか。 例えばOISTは200億円ぐらいなんですね、年間。要は、九割ぐらいは国の予算であると。先ほどおっしゃっていたように、沖縄振興予算の内数というか中に入っている。たしか3000億円ぐらいあったかと思います、沖縄振興予算は。そのうちの200億円をOISTが使っている。 もっと言えば、独法だったら無理だったんですね、これ。独法じゃないから、一種の特殊法人だから。独法だったらたしか教育費とか研究費の半分までしか国は出さない、だけれども特殊法人だから9割出して、ここまでの研究成果が出て、私は一定の評価をしますけれども、多分、最先端の設備とかを国のお金で整えていったという側面があると思いますよ。もちろん、これからはもっと、委託費だ、共同研究だ、自分でお金を稼がなきゃいけなくなるとは思いますけれども。 この機構がどのくらいの年間予算規模で進んでいくのか、本格的な軌道に乗ったときにどういう想定をされておられるか、お尋ねをしたいと思います。
○西銘国務大臣 予算規模のイメージは、なかなか数字としてお答えできる状況にはないんですけれども、答弁になるかどうか。機構の組織、人員については、五十程度の研究グループで数百名の研究者等が研究開発活動に参画することを想定しております。施設については、御案内のように、面積で十万平方メートル程度を想定しておりまして、機構の機能を踏まえて、令和五年度までに施設の基本計画を取りまとめることとしております。 関係ないですけれども、今、玄葉委員からOISTの話が出たので少し触れさせていただきますが、私が大臣を引き継いだときに、前大臣からは、外部資産の部分が今OISTは弱いので20パーぐらいを目標にしていたという経緯は聞いております。報告書の中にも、外部の部分をもう少し増やすべきだということも聞いておりますが、その辺の課題がOISTにはあるものと認識をしております。 機構に戻りまして、機構に備えるべき人員や施設等を踏まえて今後予算を検討していくことになりますが、機構が長期・安定的に運営できるよう、復興特会設置中は復興財源等で必要な予算を確保して、復興特会終了以降も見据えて、外部資金や恒久財源による運営への移行を段階的、計画的に進めることとしております。 今の時点でどのぐらいの規模と、数字を出して答弁することはできないところは御理解いただきたいと思います。
○玄葉委員 今申し上げたように、OISTで年間200億円ぐらい。先ほど例に出したアメリカのハンフォード・サイトの国立研究所が年間約1000億円、4400人が研究所で働いておられる。 今お話を私が申し上げたように、あるいはこれまで出ているように、数百名規模で5、60の研究ユニットをつくるんだと。何か、聞くところによるとOISTは80ぐらいの研究ユニットがあるということなので、イメージとしてはOISTぐらいの規模なのかなという規模感として考えているんですけれども。 これはあれですかね、より具体的な基本計画を作る段階では大体その辺りの規模感は見せていただける、こういうふうに考えてよろしいでしょうか。夏頃に基本計画ができると聞いているんですけれども、その辺りでは大体の規模感をお示しになっていくということでしょうか。
○西銘国務大臣 今基本構想を策定して、夏頃の基本計画に向かってまいりますが、施設整備の基本計画等も踏まえないとなかなか今の時点で、基本計画ができた頃に機構の全体の予算の規模のイメージが示せるかというと、まだ少しかかるかなという思いではおります。
○玄葉委員 まずは理事長だと思うんですよね、この法案が通ったらまず理事長を説得する。その理事長次第で人がついてくるかどうかというところもあると思います。それで、四分野あるんですか、五分野あるんですか、五分野のリーダー、ここをやはり復興庁を挙げて、もっと言うと日本政府を挙げて、場合によっては総理大臣も動員して説得する。総理大臣を含めて全力で説得するということを、もう一回、いいですか、言っていただいて。
○西銘国務大臣 機構に関して、知事さんや地元を回っていると、非常に大きな期待があるというのは肌で感じておりますし、私は、とにかく地元に喜ばれるものじゃないといけないということも強くスタッフと話をしております。これはまた岸田総理の強い思い入れもあるということもお話をしておりますし、共管する大臣の中に岸田内閣総理大臣の下で復興大臣がいるという形ですから、総理のお力も当然必要になってまいりますし、あるいは与党、野党を超えた国会の力もかりていかなければいけないのかなというイメージではおります。
○玄葉委員 最後に、この機構を検討する有識者の検討会議みたいなものが2、3年前にできていたんですね。自由にいろいろな方々が意見をおっしゃっておられています。その中には、この機構を、要は研究所がスタートだけれども、先ほどのOISTじゃありませんけれども、将来は大学とか大学院をこの機構に設置すべきだろうという意見があります。私も可能ならそうしてほしいと思っているんですけれども、その可能性について大臣としてはいかがお考えでしょうか。
○西銘国務大臣 これまでのイノベーション・コースト構想の取組によって、産業化の動きに加えて、大学や高等専門学校等と連携した人材育成、あるいは国内外の研究機関との連携も進んできております。これを更に発展させ、司令塔となる中核的な拠点として機構を設立することで、研究開発や産業化、人材育成の動きを加速させてまいります。こうした機構の取組を通じて、今後、関係機関との連携や役割分担、人材育成の確保に関するニーズ等の状況を踏まえて、更に検討、具体化を図ってまいります。 新しいこの機構におきましては、クロスアポイントメントや連携大学院制度等を活用して、研究、教育を一体的に行う機能を具体化していくこととしております。まずは、そうした研究、教育体制や、これを具体的に担う研究者を充実していくことが重要と考えております。しっかりと取り組んでいかなければならないと考えております。
○玄葉委員 最後にもう一回確認なんですけれども、まずは研究所としての機構、そしてクロスアポイントとか連携大学院とか、人材育成もそういう形でしていくんですけれども、将来的に大学院大学にするとか、そういったことは検討課題としてこれからも視野には入れていく、そういうことでよろしいですか。
○西銘国務大臣 人材育成は、新しく設立する機構の重要な役割と認識をしております。機構の研究開発や産業化、人材育成等の機能を充実して、地域における人材の厚みを増すことで、今後、関係機関との連携や役割分担、人材育成の取組について更に検討、具体化を図ってまいりたいと考えております。
○玄葉委員 なかなか大変だという認識なのかなというふうには思いますけれども。 まずはとにかく研究所として成功させていく、その中で可能な人材育成もしていく、その先に、私は可能性として残しておいた方がいいと思います、大学院大学も含めてですね。やはりそういうこともどこか大きな夢とか希望を持ちながら進んでいくための課題としてしっかり取り組んでもらいたいなというふうに申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。