東日本大震災復興特別委員会で質問に立ちました。(令和6年3月22日 議事録)
○玄葉委員
玄葉光一郎です。
あの三・一一から十三年がたちました。私も、あのときは、福島県の出身で、原発事故があって、かつ与党の政調会長で、閣僚も兼任するという立場で、夢中で、死に物狂いで対策に当たったわけです。当然、与党も野党もなく、復興の最終的な責任を負うというつもりでこれからも向き合っていきたいというふうに思っておりますが、壁に直面している問題が幾つかございます。
そのうちの一つは、例えば、除染土壌等の最終処分あるいは再生利用であったり、あるいは廃炉の本丸の、いわばデブリの取り出し、これがなかなか思ったようにうまくいかないですね。この問題を取り上げたいと思うんです。
この除染土壌の最終処分、再生利用でありますけれども、最終処分は、我々は法律で、事実上、二〇四五年に県外処分完了というふうにしたわけです。これはなかなか大変ですよね。あと二十一年しかないという状況でございます。
そのためには、まず何より減容化、再生利用というのを最初に具体的に進めなきゃいけないというふうに思うんですけれども、これは具体的にどうするかですね。まず、やはり分かりやすい科学的な説明が必要です。何か科学的な説明が伝わってこないですよね、はっきり申し上げて。国会でも余り説明されていないと思います。それと、IAEAを上手に活用するということだと思うんです、まずは。
私が一番最初に本当に悩んだのは、低線量被曝との戦いだったんですね。あのときは、とにかくどうやったら科学的な説明ができるか。幾ら科学的な説明をしてもほとんど理解してもらえなくて、どうしたか。UNSCEARという、いわゆる国際機関に手伝ってもらったんですね。私はお願いしに行きましたから、頻繁に福島に来て説明してくれと。やはりそれは説得力があるわけですよね、東電関係者なんかが言うよりも。
そういうことがあるので、この汚染土壌の再生利用も、今、実証実験をやっているようですけれども、なかなか理解が進まない。分かりやすい科学的な説明、そしてIAEAの活用、最後は、インセンティブを場合によっては考えていく。実証とあるいは再生利用、例えば、いわゆるインフラ、道路の整備なんかに再生利用をするということであれば、そのためのインセンティブを考えていく。結論から申し上げると、この三点セットじゃないかと考えていますけれども、いかがですか、土屋大臣。
○土屋国務大臣
今のお言葉で、当時の玄葉委員の大変な思いというのが伝わってまいりました。
おっしゃるように、今やはり最も重要な課題としては、汚染土壌の最終処分、再生利用というのが大きな課題だと考えております。
今いろいろお示しいただきましたが、安全性について皆さんに伝わっていない、それは私自身も共有するものであり、それをこれからどういうふうに伝えていくかというのは重要なことだと思っております。
今まさにIAEAからの助言ということがありましたが、ALPS処理水もそうでしたけれども、IAEAが関わったことでかなり世界的にやはり安全性を示すことができたということでは、これから、まさに今、環境省が、再利用については、福島県内の再生利用実証事業の成果、それからIAEAからの助言も踏まえて、必要な基準類を二〇二四年度中に取りまとめるということを承知しているところでございます。これをまず早く基準類を取りまとめてもらうことが、基準類、基準になるもの、いろいろありますけれども、安全性に対するそういうことだと思います、それを取りまとめるということを我々も承知しております。
やはり国民の理解、まずは信頼の醸成につなげていけるかどうかというのが勝負どころかなと思います。
今、政府としても、再生利用に関しましては、地域の社会的受容性を向上させることも重要ですけれども、一月に有識者検討会を設置しまして、対象地域とのコミュニケーションの在り方等について議論を開始したと承知しています、これは環境省が中心になってやっておりますけれども。それと同時に、政府も一体となって、これは環境省だけに任せるものではないということで、関係省庁の連携強化等によりまして体制整備に向けた取組を進めて、地元の理解を得ながら具体化を推進するということで決定したところでございます。
○玄葉委員
分かりやすい科学的な説明と、IAEAを上手に活用する。
おっしゃるとおり、処理水もIAEAの果たした役割は大きいと思います。あとは、中国のいわば失政というか外交的失策で、常磐物をみんなで応援しようと国内が盛り上がった、この二つだと私は思っていますけれども、IAEAの活用は非常に有効だった。さっき申し上げたように、低線量被曝に対する取組もUNSCEARの活用が非常に有効でした。
ですから、ここも、今、私はよく分からないけれども、基準類という調査報告書が今年中に出るということのようでありますけれども、IAEAに大いに来てもらって、処理水もそうなんですけれども、やはりIAEAから国内で発信してもらうということを上手にやる必要がまずあると思います。そのことを改めて申し上げておきます。
最終的には、何らかのインセンティブも、復興大臣が音頭を取って措置をしていくということも考え始めた方がよいのではないかというふうに思うんですね。最終的に、これを道路整備に使うなら、例えばインフラ整備で本来自治体が負担しなきゃいけない分を国が負担しますよとか、そういうことをやらないと、これを受け入れるという判断、覚悟というのは、なかなかそれぞれできないんじゃないかなと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
○土屋国務大臣
何らかのインセンティブをつけるというお話でございますけれども、これは、今いろいろなところから声が出ているような気がいたします。我々としても、一つの選択肢としてしっかりと考えていく必要があるかと思いますが、今の段階では、まず環境省が実験段階のところでございますから、それの結果をしっかりと見極めながら、また政府一体として、インセンティブに関してもみんなで議論していく必要があるかと思っております。
○玄葉委員
いわゆる見直しの中で、今おっしゃったこの問題については環境省だけに任せずに、政府一体となって取り組もうということになったというふうに聞いていますけれども、多分、大きく分けると二つあって、一つは、インセンティブ措置をみんなで考える、これは確かに環境省だけでは考えられませんので、政府一体となって考える、財務省も含めてですね、そういう話だと思います。
もう一つは、やはり総理大臣が全体の責任者なので、総理大臣から、時期を見て、知事会なんかにしっかりと要請するということも必要じゃないかと思うんです。
私が思い出すのは、やはり平成二十三年三月十一日に起こったこの三・一一で、その後、特に災害廃棄物がどうにもならなくなったんですね。処分できないですよね、当たり前ですけれども。これをどうするかという話になったときに、結局、どこも風評があって受け入れたくないと言うわけですよ、嫌だ、そんな今回の震災で出た廃棄物を受け入れたくない、住民の反対があると。結局どうしたかといいますと、時の総理大臣が知事会に行ってお願いしたんです。これはみんなで負担し合おう、分かち合おうとお願いしたんですよ。東京都が真っ先に協力してくれた。
やはりそういう象徴的な人、当時、石原さんですけれども、象徴的な人に内々に根回しをして、しっかりと引き受けてくれそうだという温度感があったら、思い切って総理が出ていって知事会で要請する、そのぐらいのことをやってほしいんですけれども、復興大臣、音頭を取ってください。
○土屋国務大臣
同じことになりますが、今の段階では結論としては言える状況ではありませんけれども、政府一体となってやる、そして長は総理大臣であるということから考えますれば、いろいろなこれから議論の中で、最終的に、もちろん、知事会との折衝も出てくるのではないかと思っておりますが、今後、ありとあらゆる方法を考えながら、確実性を持って進めていきたいなと思っております。
○玄葉委員
処理水もそうなんですけれども、最後は、結局、総理大臣が判断する、ある意味、泥をかぶって判断するということなんですよね。覚悟を持つということだと思うんです。賛否両論あります、これは。あるものを責任を負うのが政治家の仕事なので、まさに、役人の仕事じゃなくて、批判も含めて責任を負うのが大臣の仕事だと思うんですね。
ですから、今申し上げたように、インセンティブ措置にしても、最終的な受入れのための要請にしても、是非これは復興大臣が司令塔として中をまとめて、総理としっかりと話して、覚悟を示すように是非お願いをしたいというふうに思います。
インセンティブ措置、しっかり選択肢として政府一体となって考えていくということでございます。これは、確かにタイミングはあると思います。今すぐやる話じゃない、確かに。しかし、間近に来ている問題なので、しっかりと準備を進めていただきたいというふうに思っています。全く自治体がどこも受け入れないでいたら、何も進まないことになってしまいますので、よろしくお願いをしたいと思います。
それと、この間、私は立憲民主党なんですけれども、復興対策本部、私は本部長で、金子さんは事務局長で、ずっと被災自治体を十数人の国会議員で先般視察をしたときに、双葉の町長さんから言われたことが非常に頭に残っているんです。決して大きな話ではないかもしれませんけれども、いわゆる拠点の中、あるいは拠点外で帰還を進めようとしている地域、つまりは特定帰還居住区域というのがありますよね、それらは、今、帰還ができるように環境整備をしているんだけれども、除染となると、今までのマニュアルどおり、結局二十メートルしかやらない。でも、実は、ここの背後にあるちょっとした丘はまさに憩いの場にしたいんだよなと例えば言うわけですね。でも、二十メートルしか除染しないというマニュアルになっているからやらないということになっちゃうと、せっかくこの辺は憩いの場になるし、いいよと進めようと思っても、進められないというわけですね。これは確かにそうだなと思うんですよ。
実のことを言うと、拠点、いわゆる避難指示が出た地域以外は、逆にやっているんですよね。森林再生で間伐したり除染したり、実はやっているんですね。それが、肝腎の避難指示のところが、しゃくし定規になっちゃっている。
我々衆参両院で採択した附帯決議、この特定帰還居住区域というのを認めていくときに、どういうふうに書いているかというと、住民が安心して帰還できるよう、各地域の現状や住民、地方自治体の意向を十分に踏まえ、生活圏を幅広く捉えながら、除染の手法と範囲を決定する、こう書いてあるんですね。これがやれていないんですね、簡単に言うとしゃくし定規になっちゃっていて。
そこは復興大臣がリーダーシップを取って、もうちょっと柔軟性を発揮しませんかということを言っていただきたいんですね。
○土屋国務大臣
今のお話なんですけれども、生活環境の線量低減を目的として、林縁部から二十メートル、必要な範囲で堆積物の除去等を実施しているというお話ですよね。
その二十メートルを超えたところで住民が身近に利用してきたものをどうするかということでございますけれども、避難指示が解除された区域のうち、森林公園とか遊歩道とか、そういうところに関しては、環境省、農林水産省等の関係機関と連携して除染や間伐等を行う里山再生事業というものがありまして、それで行ってきているところでございまして、全く二十メートルだからいけないという状況ではないと理解しております。
地域によって大分違うと思うんですね。だから、二十メートル、絶対こうですよということではなくて、また地域の皆様と、住民の方たちとも地方自治体とも相談しながら、この里山再生事業の中でもできることではないかと考えておりますので、今後、理解醸成をしながら進めていきたいと思います。
ただし、森林になってしまうと、御存じのように、除染土を排除した場合、台風とか雨とか、そういう状況の中では、泥がなくなったことによって大きな水が出る可能性もあるので、そういうところに関しては除染できない状況にあるということも御理解いただきたいと思います。
○玄葉委員
今のお話は、避難指示が解除になったら、二十メートルといわず、もうちょっと柔軟に除染をしますよということを言っていただいたと理解したんですけれども、つまりは、要は帰還を進めたいと思って、その準備のために今二十メートルまで除染しているわけですね。でも、すぐ背後に丘があって、これをみんなで一種の公園みたいにして、憩いの場にしたいんだ。だけれども、今は駄目なんです。
だから、少なくとも避難指示が解除になったらやりますよということなら、それをはっきり言ってもらった方がいいと思うんです。そうじゃないと、みんな帰る決断をしないから、できなくなっちゃうから、そういう柔軟性は間違いなく発揮しますというふうに言っていただきたいということですね。
○土屋国務大臣
私は、今、説明が不十分だったのかもしれませんけれども、帰還意向のある住民の日常生活に必要な、一体的な日常生活圏を構成している地域であれば対象とするという考え方を持っています。
そういう意味では、今後、地域の各自治体とも話合いをしながら、やはり帰還したい住民とも話合いをしながら進めていく。この中には山林の一部も含まれているものと承知しているところでございます。ですから、一体的な日常生活圏を構成している区域で、それを認めますよと言っている中には山林の一部も含まれているものと承知しています。地域によっては山林の一部も入っている。
○玄葉委員
時間が終わりましたので終了いたしますけれども、柔軟性を発揮してもらう、そのときのやはり先頭に復興大臣は是非立ってもらいたいというふうに思います。
デブリの取り出しを聞きたかったんですけれども、時間がなくなりましたので、時間を守らなきゃいけないので終わります。
どうもありがとうございます。